20〜30代の独身女性の彼氏がいない確率が50%を超える今。いつの間にやら少数派になった彼氏持ちの女性の中には、彼氏はいるもののセカンドポジションのまま、いつまでたってもファースト(本命)になれない女性たちがいます。彼女たちが本命になれない原因は何なのでしょうか……。彼女たちの過去の恋愛から、その原因を探っていきます。

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今回お話を伺ったのは、都内の自宅にてフリーランスとしてウェブデザインの仕事を請け負う傍ら、派遣で週2〜3で展示場などの受付をしている片岡香織さん(仮名・39歳)。黒髪に白い肌、意思の強そうな大きな瞳が印象的な美人です。服装は白のフリンジのついたカーディガンに、グレンチェックのスリムパンツを合わせています。自身を仕事人間だと語るわりに、話し方は柔らかく、おっとりしています。男性ウケも良さそうに見えますが、そんな彼女のセカンド気質はどこにあるのか――。生い立ちや、学生時代の恋愛から話を伺っていきます。

「出身は東京で、両親と6歳上に兄がいる4人家族です。父親は商社に勤めるサラリーマン、母親もフルタイムで経理の仕事をしていました。家族仲は普通だと思います。特に大きな出来事もなく、一度母親が健康診断で引っかかって手術を受けたことはありますが、それも命に関係あることではなかったし。問題があると言えば、今ですかね。私も兄も未婚で、私の両親共に3兄妹で、従兄弟もたくさんいるんです。その中で結婚していないのは私たち兄妹だけ。お互いに結婚の気配さえないですから、祖父母が生きていた頃まであった親族の集まりは苦痛でしかなかったです」

初めて彼氏ができたのはいつですか?

「中学生の時に、駅で声をかけられた高校生と付き合いました。ナンパですね。高校生といっても2歳上で、当時は恋愛に興味津々で、見た目も悪くなかったからいいかなって。でも実際付き合うと束縛が厳しすぎてすぐに気持ちが萎えてしまいましたね。まだ携帯もなくて、ポケベルも早い子しか持っていなかったような時期で、家電なのに毎日の電話を強要されたり、週に2回以上会わないといけなくて、さらに会うたびに交換日記をさせられていました。受験で忙しいという理由で別れたんですが、家まで押しかけてくるなど、当時はそんな言葉はなかったけど、間違いなくストーカーでしたね……」

中学での彼氏は彼だけだったそうですが、高校ではモテモテだったとか。しかし誰と付き合っても続かなかったと言います。

「急にチヤホヤされましたね。クラスの大半の女子から嫌われるレベルで。始まりは、クラスで人気のある男の子が私のことを気になっているという噂が回ってから。中学から一緒の友達がいたので独りぼっちにはならなかったんですが、すれ違いざまに文句を言われたり、ふでばこから少しずつペンがなくなっていたり……、そのくらいのいじめは受けました。

その中で、他クラスの顔が好みだった子と付き合ったんです。でも、友達の前では私に話しかけてくるのに、2人になったら話なんてまったく続かなくて……。その子とは3か月ほどで別れて、その後も彼氏はできたんですが、どの人とも数か月で別れるばかりでした」

仕事の楽しさをわかった途端に女社長のいじめの対象に……

高校卒業後は短大を経て、デザインスクールの夜学に通いながらアルバイト生活を送っていたそう。そこで紹介してもらったアルバイト先で、仕事の楽しさを知ったと言います。

「最初は昼間コンビニでバイトしていたんですが、学校の先生の紹介でチラシやカタログのデザインをしている事務所でバイトすることになったんです。最初は雑務ばかりでしたが、少しずつ作業を手伝わせてもらえるようになり、それがとても楽しかったんです。1週間ずっと人物写真の切り抜きをする日もありましたが、私の作業は丁寧らしく褒められることが多くて。学校を卒業後はそのままバイト先で契約社員として働くことになりました」

その会社は女性の社長で感情に任せた怒り方をするタイプで、香織さんが怒りの矛先になることが増えてしまいます。その辛さを助けてくれたのは、6歳上の既婚者の男性でした。

「バイトだった頃は女社長と接点がなかったんですが、就職したことで会議に参加するなど会う機会が増えて、よく雑用で使われるようになりました。『タバコ買ってきて』とか、『パン買って来て』とか、一度に言えばいいのに何回もパシらされるんです。そしてそのことで仕事が遅れると、怒られる。精神的にすごく追い詰められました。

そんな時に助けてくれたのが彼だったんです。彼は内緒で上司のタバコをストックしてくれたり、仕事が遅れそうになると画像補正など下っ端がやることを手伝ってくれるんです。『デザインを手伝ってバレたらいけないから』と。既婚者だとはわかっていたのに、好きになってしまい恋愛関係になりました。でもダメなことだとわかっていたから、数年別れていた時期もあるんです。でもやっぱり彼じゃないとダメで。付き合いはトータルして15年以上になります。今では奥さんにバレないように、ある切ないクセがつくようになりました……」

不倫はいけないことと誰もがわかっている。香織さんもまさか自分がという思いがあったそう。

最初の頃の付き合いは結婚したくてたまらなかった。しかしヨリを戻してからは、彼の生活を邪魔して捨てられたくないという思いに変わり……。〜その2〜に続きます。