農水省は14日、改正出入国管理法(入管法)に基づく外国人労働者受け入れの新制度で、農業分野の対応方向をまとめた。外国人の受け入れ先に農家だけでなくJAも認め、農家での作業と組み合わせることを前提に、JAの集出荷施設でも働けるようにする。肉牛経営での受け入れも、和牛精液などの海外流出を防ぐ制度見直しを進めつつ、可能にする。法務省など関係省庁と詰めの協議をした上で、17日にも制度の詳細を固める。

 改正入管法では、新在留資格「特定技能」を来年4月に創設。農業では、通算5年を上限に日本で働けるが、家族の帯同は基本的に認めない特定技能「1号」で受け入れる方針だ。政府は農業をはじめ14業種で、制度の詳細を盛り込んだ運用方針を年内にまとめる。

 農業の運用方針案取りまとめに向けて同省が14日に自民党に示した対応方向によると、受け入れ先が外国人を直接雇用する他、人材派遣業者が複数の受け入れ先に派遣する形態も可能にする。農業経営体に加えJAも受け入れ先として認める。

 農業全般で一定の技能を持つ人材を受け入れるのが制度の主旨のため、JAの集出荷施設だけで外国人が働くことは認めない方向。JAが外国人を直接雇用し、組合員から請け負った農作業に就いてもらいつつ、集出荷施設でも働いてもらう形態が想定される。

 派遣事業者の派遣先として、農家と並んでJAの集出荷施設を位置付けて外国人がそれぞれで働き、農業全般に従事するという枠組みを認めるかも調整事項だ。

 肉牛経営は、和牛精液などの遺伝資源の海外流出の懸念から、技能実習生の受け入れ対象外だが、新制度は可能にする。来年の通常国会で、不正流出時の罰則強化に向けた法改正も行なう。

 外国人は3年間の技能実習を修了すれば新制度で就労できるが、技能実習は「耕種」と「畜産」の2分野に分かれる。外国人が実習した分野とは違う分野で働く場合、その分野の技能を問う試験に合格する必要がある。