人材紹介事業、メンタルヘルスケア事業を行うヒューマン・アソシエイツ・ホールディングスが、4月10日、東京証券取引所マザーズ市場に上場した。同社の渡部昭彦社長に、上場の目的や今後の成長戦略、企業の人材確保やメンタルヘルス施策の状況などについて聞いた。

東京大学卒業後、日本長期信用銀行入行。支店業務、中央官庁出向、国際金融部、本店営業部を経て1994年から2000年まで人事部に勤務。その後、日本興業銀行を経て、セブン-イレブン・ジャパン、楽天グループで人事責任者を歴任。2007年ヒューマン・アソシエイツ代表取締役社長に就任。その他、明治大学専門職大学院兼任講師を務める。著書に「銀行員の転職力」(日本実業出版社)、「日本の人事は社風で決まる」(ダイヤモンド社)。 ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングスの傘下には、人材紹介事業のAIMSインターナショナルジャパン(以下AIMS)、A・ヒューマン、Optia Partners、メンタルヘルスケア事業のヒューマン・フロンティアがあります。当社は1996年にサーチ型人材紹介会社ヒューマン・アソシエイツとして創業し、その4年後の2000年にメンタルヘルスケア事業を開始しました。

 人材紹介事業の3社はミドルマネジメント以上を対象とする点は同じですが、それぞれに特徴があります。

 AIMSは国内外企業の経営層、シニアマネジメント層、上級専門職の求人を扱っています。コンサルタントがリサーチを行って人材を探し出す必要がありますので、企業から人材紹介の依頼を受けた時点で手数料の一部を請求し、候補者が採用に至った段階で残りの手数料を請求するリテーナー型のサービスです。AIMSグループは世界50カ国以上に90カ所以上の拠点を構えるグローバルネットワークで、当社はその日本代表です。 A・ヒューマンは登録型人材紹介会社で、30〜40代のミドルマネジメント層が対象です。担当業界ごとに経験豊富なコンサルタントがそろっています。Optia Partnersは1年半前に買収しました。コンサルタントは外国人で、外資系企業や海外進出企業に対してバイリンガルのグローバル人材を紹介しています。

 メンタルヘルスケア事業のヒューマン・フロンティアは現場出張型のサービスが特徴です。大手企業を中心に約500社と契約し、全国に配置した約80人のカウンセラーが契約企業の社員からの相談に対して、近くまで赴いてカウンセリングを行っています。2015年12月の法改正でストレスチェックが従業員50人以上の企業に義務化されたことも追い風となって、ニーズが大変伸びています。

 人材紹介は社外から人材を獲得することによって適材適所を実現し、メンタルヘルスケアは社員の内面を整えることによってモチベーションを高めます。この両事業によって、当社のミッションである「企業における人材の価値を高める」を実現します。 人材紹介会社の活用、自社のウェブサイトなどを通じたダイレクト・ソーシング、米国では一般的になっている社員などによるリファラル採用など、人材を確保するためにあらゆる手段を講じての採用活動が一層活発になっています。

 労働力人口の減少で人材の量を確保することが難しくなっているため、より生産性の高い有能な人材を求める傾向が強まっています。そのため、採用面接をより慎重に行なっているように感じます。

 メンタルヘルスについては、社員が健康に働き続けられるように予防に対する意識が高まっています。同時に、不幸なことにメンタルヘルス不調を発症した社員に対する復職支援の強化も図られています。 すごく分かりやすい言葉で言えば、AI(人工知能)に代替されないサービスであり続けることが私たち人材紹介会社の生き残る道です。企業や候補者に対して、付加価値の高い情報を提供することがより重要になっています。