3日、日本代表は札幌で再始動した。初日はまだ帰国していない植田直通、中島翔哉、南野拓実、堂安律を除く19人でスタート。ゆったりしたランニングと、お互いの名前を呼び合いながらのボレーでのパス交換というメニューをこなした。

今回の招集メンバーには、GK、DF、MF、FWの各ポジションに一人ずつ30代の選手が選ばれている。FW登録されている3人のうち、最年長は30歳の小林悠だった。

小林は食事会場で驚いたという。

「隣にいたのが冨安(健洋)君、19歳。いやぁちょっとびっくりしました。ほぼ一回り違うので。最初はどう接していいのかと思いましたが、でもフロンターレにも若い選手がいるので、そのように接していけばいいのかと思ってます」

小林はこれまでの代表との雰囲気の違いを「フレッシュ」だと表現した。また自身については「新鮮な気持ちでまた頑張りたい」と決意を語る。

川崎のチームメイト、大島僚太からは森保監督が「すごく人間性がいい」と聞いていたそうだ。そして実際に監督と会話してみて「話した感じはすごくいい人なんだろうという感じです」と微笑んだ。

「呼んでもらえていることは光栄に思いますし、必要とされているのなら、しっかり結果にこだわってやっていきたいと思っています」。そう決意を語りつつも、複雑そうな心境もにじみ出る。

ロシアワールドカップを前に西野朗前監督が最終候補メンバーを発表する当日の朝、小林は負傷で代表入りを辞退した。小林にとっても苦しい決断だっただろうし、ワールドカップ後には自分の年齢を考え「4年後のことは正直考えていない」と語ったこともあった。

そして、まだカタールにまでは目が向いていないのかもしれない。

「代表は特別な場所ですし、刺激的な場所ですから、呼ばれたからにはしっかりチャンスをモノにしたいと思います。ただ4年後を見つめるよりも、毎回目の前に集中して、自分自身を出せるようにしたいと思います」。大言壮語する人物ではないが故に、謙虚に臨んでいるとも言えるだろう。

だが、決して小林から野望が失われたというのではなさそうだ。練習でパス交換していた相手のひとりが、追加招集された天野純だった。初招集の選手に気を遣っていたように思えたのだが、と聞かれて小林は心配りを認めつつ、こうも語った。

「(天野の)プレーをすごく見ていて、いいパスを出してくれているイメージもありますから、そういう選手からコミュニケーションとっていこうと思ってます」

いいパスをもらって、狙うのはもちろんゴール。そして小林がゴールを積み重ねる限り、年齢には関係なく招集され続けるはずだろう。

【森雅史/日本蹴球合同会社】