初めて会った瞬間から「この子は大物になる」と、広瀬すずの才能をいち早く見抜いていた大根 仁監督と、「オーディションで落とされたことは忘れませんよ!」と笑う広瀬すず。フランクに会話するふたりが、8月31日公開の映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』で初タッグを組んだ。2011年に韓国で公開された映画『サニー 永遠の仲間たち』を大根がリメイクした本作。そこで、篠原涼子が演じる主人公・阿部奈美の高校生時代を演じているのが広瀬だ。出会いから本作の撮影までを振り返り、ふたりの関係性に迫った。

撮影/平岩 享 取材・文/馬場英美 制作/iD inc.
スタイリング/丸山 晃【広瀬】 ヘアメイク/牧田健史【広瀬】

篠原涼子と広瀬すずには、共通する何かがある

広瀬さんのキャスティングを提案したのは、大根監督だったそうですね?
大根 そうです。先に篠原さんの出演が決まっていて「ならば、高校生時代は広瀬すずでどうでしょうか」とプロデューサーの川村元気さんに話しました。
キャスティングの理由は、篠原さんと広瀬さんが似ていると感じたからというのは本当ですか?
大根 誰も似ているとは思わないですよね(笑)。たしかに顔のパーツとかは全然違うんだけど、僕の中では共通する何かがあって。それが何なのかはまだわかってないんですけど、このふたりなら大丈夫だと直感的に思いました。
広瀬さんはもともと大根監督のファンだったとお聞きしました。
広瀬 はい。最初に見た作品は(2013年公開の)『恋の渦』で、ほかの作品にも共通するんですが、光がとてもキレイだなと思いました。今回の『SUNNY』では現場でモニターを見ながら、“虹色”だと思って。そのカラフルさが映画にそのまま出ていたのでスゴいなぁと。
オリジナルの『サニー』はご覧になられていましたか?
広瀬 もちろんです! 大好きな作品なので! しかも、ちょうどオリジナル版を見た直後に、大根さんがリメイクするらしいという噂を聞いて。大根さんが撮るんだったら絶対に面白いものになると感じていたし、出演したいと思いました。だから、出演できると聞いた瞬間は「やったー!」と叫んでました(笑)。

会った瞬間から確信した。「この子は大変なことになる」

広瀬さんが大根監督の作品に出演するのは今回が初めてですが、過去にオーディションを受けたことがあったと聞きました。それは本当ですか?
広瀬 本当です。でも、落とされました(笑)。
大根監督は、そのときの広瀬さんのことを覚えていますか?
大根 もちろん覚えてますよ。今もそのときのオーディション映像を持ってますから。
広瀬 ぎゃー! イヤだぁ(笑)。
大根 いつかお金に困ったら売ろうかなと思って(笑)。…というのは冗談ですけど、あのときは年齢的なことが一番大きくて、まだ中学生ぐらいだったよね?
広瀬 『海街diary』の前だったので、中学2年生ぐらいだったと思います。
広瀬さんは『海街diary』で注目を集め、『三度目の殺人』では日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞を受賞されました。オーディション当時、大根監督の中で「広瀬すずは大物になる」という予感はありましたか?
大根 落としておいて言うのもなんですけど(笑)、会った瞬間から、この子は大変なことになるとわかっていました。“演技的な運動神経”が抜群だったので。
“演技的な運動神経”とは?
大根 たとえば、サッカーをやったことのない初心者の子どもたちを集めて、「さぁ、ボールを蹴ってごらん」と言ったときに、ひとりだけ飛びぬけている感じ。すずちゃんにはそんな印象を受けました。
でも、『海街diary』を見たときに、やっぱり広瀬すずはこの作品で世に知られるべきだったと感じたので、落としておいてよかったと思いました(笑)。
広瀬 えー!(笑) 今回の『SUNNY』では「一緒にやるべきだ」と言ってくれましたよね。オーディションで落とされたことは忘れないぞ、と思ったけど(笑)、そう言っていただけたのはすごくうれしかったです。
大根監督がオーディションで重視されるのは、どういったところでしょうか?
大根 オーディション会場のドアを開けた瞬間ですね。芝居はそんなに重視してなくて。(広瀬さんに向かって)でも、もうオーディションなんて受けないか(笑)。
広瀬 受けに行きます!

「広瀬すず=『SLAM DUNK』の宮城リョータ説」を広めたい

『SUNNY』で広瀬さんが演じられた奈美は、淡路島からの転校生で、仲間たちに刺激されて田舎者からコギャルになっていきます。撮影で大変だったことは?
広瀬 ずっと白目をむいていたり、すごい変な顔ばかりしているので、あの顔が世に出るのかと思うと…。映画の公開前にこんなに緊張しているのは初めてだと思うぐらい、ドキドキしてます(笑)。
映画『ちはやふる』シリーズでも変顔をされていた印象がありますが?
広瀬 いや、もう『ちはやふる』どころの話じゃないです(笑)。
大根 たしかに今回はヤバいよね(笑)。変顔どころじゃないというか…けっこう、無茶ぶりなところもあったし。
広瀬 ずっと白目でいて、みたいな。
ずっと白目でいることなんて、できるんですね(笑)。
広瀬 つねに目線の先が真っ暗な感じです。たまにカメラが動いているのは見えるんだけど、誰の姿も見えてないという(笑)。
そんな白目姿でもキュートなのが広瀬さんのスゴいところです。大根さんが現場で広瀬さんを見ていて「一番かわいい」と思った瞬間はどこですか?
大根 奈美の家族とのシーンで、(コギャルが着ているカーディガンを買ってくれと騒ぐ奈美に対し)お母ちゃんが「寒いんか。そんなのおとうのセーター貸したるわ」と言うんですけど、そこで奈美が「そんなんいらんわ!」というところですね。あそこは何度見てもキュンとします。
広瀬 キュンとですか!?(笑)
大根 今回のベストショットだと思います。あれは自分にしか撮れない広瀬すずだなと。
広瀬 うれしいです。家族とのシーンはすごく楽しかったので。でも一度、家族役のキャストのみなさんとのおしゃべりが止まらなくて、大根さんが「うるさい!」と怒鳴ったことがありましたよね。(女子高生6人の)サニーのメンバーとのシーンだったらわかるけど、家族のシーンで叱られるという(笑)。
大根 はははは! そう言ったのは覚えてないけど、うるさかったのは覚えてます(笑)。
広瀬 言いましたよ。けっこうマジなトーンで(笑)。みんなしゃべりだしたら止まらないんですよね。それがすごく面白くて、この家族、いいなと思いました。
本作で、大根監督が広瀬さんの女優力を感じたところはありますか?
大根 集中力が途切れないというか、長い芝居を何度やっても役に入っているのは、飛びぬけた部分だなと思いました。あと、ずっとバスケをやってきたからなのか、全体を見渡すことができているんですよね。それは大きいなと。
広瀬 たしかに女の子だけで集まっているときに、自分の立ち位置は何となくわかります。性格的にも客観的に見てしまうので、うわーっとなっていても、今はどういう状況かというのは冷静に見ているところはありますね
大根 『SLAM DUNK(スラムダンク)』(集英社)で言うところの宮城リョータなんですよね。
広瀬 読んでないから、わからないです(笑)。
大根 マジで! バスケをやっていたのに、何で読んでないの?
広瀬 あっ、でも友達から借りて、今、家に全巻あるから読んでみます!
大根監督は、どんなところが宮城リョータ的だと?
大根 彼はひとりだけ体が小さいんですけど、みんなにパスを出す司令塔みたいなキャラクターで。そういうところが似ていると感じるんです。なので、これからは「広瀬すず=宮城リョータ説」というのを押し出していこうと思っているんですよね(笑)。

大根監督のイメージは“面白い親戚のおじさん”

広瀬さんにとって『海街diary』、『三度目の殺人』の是枝裕和監督は「お父さんみたいな存在」と言われていましたが、大根監督はどういった存在ですか?
大根 面白い親戚のおじさんみたいな感じなんじゃない?(笑)
広瀬 本当にそんな感じです(笑)。オーディションの1年後ぐらいに、大根監督に映画祭でお会いしたことがあったんですけど、そのときに川村元気さんと一緒に登壇されている姿を見て、漫才師みたいだなと思って。何て面白い人なんだろうと思いました。なので勝手に、何度もお仕事しているような感覚があるんですよね。
監督というと、カチッとしていて偉い人というイメージがありますが、そういう感じではない?
広瀬 そうですね。たとえば、是枝さんの場合はわりと「監督」と呼ぶことが多いんですけど、大根さんは「大根さん」というか。現場でもラフな感じでお話をしてくださるので、すごく話しやすいです。
大根 たしかに役者から「監督」と呼ばれたことはないかも(笑)
広瀬 前に大根さんとお仕事をしたことのある俳優さんと共演したときに、みなさんが大根さんのことを「アイツ」と呼んでいて(笑)。そういう距離感の方なのかなと思っていました。
現場で仕事をしている大根監督は、また違った感じなのでしょうか?
広瀬 それがあまり変わらないんですよ。
大根 じゃあ、俺は現場で何をしてるんだよ(笑)
広瀬 あはは! だけど、現場全体のことをすごく見ているなと思いました。あと、大根さんの頭の中には、(映画の完成図の)映像が流れていて、それを的確に教えてくださるので、芝居のイメージがつかみやすいです。
実際、大根監督の頭の中に映像は流れているんですか?
大根 芝居以外は何となく見えてますね。セットや小道具とかは、わりとディテールをつめてからやろうと思ってますけど、芝居は現場でつけることが多いです。
だから、自分で脚本を書いても現場で直すことが多いし、役者からポロっと出た言葉をセリフとして採用することもありますね。今回の「(貧乳の意味の)−Aカップ」という言葉も、サニーのメンバーから出た言葉です。
『SUNNY』は女子高生グループが大人になって再会する物語。大根監督は今、若い頃に思い描いていた大人になっていると思いますか?
大根 20代の頃も今もまったく変わってないですね。もうちょっとちゃんとするかなと思っていたけど…しねぇなぁ(笑)。このまま、ずっとちゃんとしないまま死んでいくんだろうな〜と。
今でこそ、数多くのヒットを飛ばす監督ですが、当時「ヒットを飛ばしたい」、「こういう監督になりたい」と考えたことは?
大根 映画はもともと好きでしたし、そういう監督像を意識していなかったといえば嘘になるけれど、ここまで何本も撮れて、いろんな人に見てもらえて…というイメージは、当時の自分にはなかったですね。
では、広瀬さんは今後、どんな大人になっていきたいですか?
広瀬 ずっと普通でいたい、平均でいたいというのはありますね。でも、私の場合、今欲しいものとか、ほめられてうれしいものは全部お芝居なので、お芝居がうまくなっていたいです。たぶん年齢を重ねることで、感じることや見えてくるものが違ってくると思うので、その変化を感じて、お芝居に反映させていけたらいいなと思います。
大根 (広瀬さんの今後が)楽しみですね。いやぁ〜、長生きしないと(笑)。
大根 仁(おおね・ひとし)
1968年12月28日生まれ。東京都出身。O型。2008年の『週刊真木よう子』、2009年の『湯けむりスナイパー』(ともにテレビ東京系)などのテレビドラマを手掛け、2011年に『モテキ』の劇場版で映画監督デビュー。主な作品に、2015年の『バクマン。』、2016年の『SCOOP!』、2017年の『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』などがある。
広瀬すず(ひろせ・すず)
1998年6月19日生まれ。静岡県出身。AB型。2013年にドラマ『幽かな彼女』(フジテレビ系)で女優デビュー。その後、『学校のカイダン』(日本テレビ系)で連続ドラマ初主演を務め、映画『海街diary』では多くの新人賞を受賞。『ちはやふる』シリーズ、『怒り』、『三度目の殺人』でも、さまざまな映画賞に輝いた。2019年前期放送のNHK連続テレビ小説『なつぞら』では、ヒロイン役に抜擢された。

出演作品

『SUNNY 強い気持ち・強い愛』
2018年8月31日(金)ロードショー
http://sunny-movie.jp/
©2018「SUNNY」製作委員会

サイン入り生写真プレゼント

今回インタビューをさせていただいた、広瀬すずさんのサイン入り生写真を抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2018年8月29日(水)12:00〜9月4日(火)12:00
当選者確定フロー
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  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから9月5日(水)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき9月8日(土)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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