2019年5月1日、30年ぶりの改元で密かに注目を集めているのは、1993年の皇太子ご成婚のとき以来の「恩赦」の規模だ。

 昭和から平成に元号が変わった、昭和天皇が崩御した際の「大喪の恩赦」(1989年)では、有罪判決を受けた経歴が消滅する「大赦」が約2万8600人、有罪確定で失ったり停止されたりした資格を回復する「復権」は実に約1014万人に上った。

 翌年、今上天皇の「即位の恩赦」でも約250万人が復権しており、合わせて人口の1割にも達する規模で“皇室の慶弔”の恩恵が行き渡った。

 では「刑務所から受刑者が出てきたのか」といえばそうではない。元刑務官で作家の坂本敏夫氏がいう。

「ほとんどは交通法規違反者や公民権停止中の選挙違反者です。私は昭和天皇の崩御の当時、刑務所の課長でしたが、殺人や強盗のような、被害者のいる事件の受刑者が恩赦の対象になることはありませんでした」

 政府は今回、譲位と即位で合わせて1回の恩赦とする方針とされるが、その規模や対象については明らかにしていない。法務省も「現時点では具体的な検討はしていない」(保護局総務課)と答えるのみだ。

 仮に道交法違反者が対象となるならば、「反則の点数が消えるのか」と期待を持つ人もいるだろう。ノンフィクション作家の斎藤充功氏が解説する。

「罰金刑を受けたという記録は消えても、免許取り消しや違反点数が救済されるわけではない。罰金が戻ってくることもないでしょう」

※週刊ポスト2018年8月17・24日号