by 350z33

ダイヤモンドは地下数十キロの深さでマントルの中で結晶化し、火山の噴火によって地表に運ばれてきたといわれています。ダイヤモンドに含まれるインクルージョン(不純物)と呼ばれる鉱物は、そのダイヤモンドがどこから来たのかを語るものですが、最新の研究によって、ホープダイヤモンドで有名なブルー・ダイヤモンドに含まれるインクルージョンは古代の海に存在したホウ素に由来することがわかりました。

Blue diamonds come from ocean floor that is pushed nearly to Earth’s core | Ars Technica

https://arstechnica.com/science/2018/08/blue-diamonds-are-born-buried-deep-below-but-bear-ocean-bottom-boron/

Blue boron-bearing diamonds from Earth’s lower mantle | Nature

https://www.nature.com/articles/s41586-018-0334-5

ダイヤモンドの中でも青みを帯びたブルー・ダイヤモンドはダイヤモンド全体の0.02%しかない非常に希少な存在ですが、12億年前の火山堆積物や比較的新しい9000万年前の火山堆積物など、さまざまな場所で発見されています。不思議なのは、地球の外殻であればともかく、マントルの中でホウ素がダイヤモンドがを青くすることは極めて珍しいということ。ブルー・ダイヤモンドは一体どこで形作られているのだろう、ということは長年の疑問でした。

ジェモロジカル・インスティテュート・オブ・アメリカ(GIA)のEvan Smith氏らは、このことを探るため、高価なダイヤモンドを砕いて分析。ダイヤモンドの分析は、X線や低出力レーザーなど、非破壊的な方法では行えないそうです。

46個のブルー・ダイヤモンドを検証した結果、ブルー・ダイヤモンドは、大陸プレートの下で形成される通常のダイヤモンドに含まれる一般的な鉱物を含まないことがわかりました。鉱物は地下深くに存在するほど、地上に浮上する際に不安定になり、その後の判別が難しくなります。このことや他の観測から、ブルー・ダイヤモンドは通常のダイヤモンドよりもマントルの深い位置、下部マントルにあたる深さ660km以上の場所で生成されていることがわかりました。



しかし、ここには「ブルー・ダイヤモンドはマントルの深い位置で形成されるにも関わらず、ホウ素は地表でダイヤモンドを青く色づけている」という、一見すると相反する事実が存在します。

プレート理論によると、プレートは海底から深部に押し込まれ、最終的にマントル下部にまで再循環します。地球表面の物質もこのとき同時に再循環すると考えられているのですが、これまで化学的な証拠は希薄でした。

しかし、ブルー・ダイヤモンドはホウ素に加えて海洋プレートを作っていたとみられる玄武岩を含んでいたことから、研究者らは「海底プレートが地底に潜り込み、ホウ素をマントル深くに運んだことから、ブルー・ダイヤモンドが作られた」と考えているとのこと。その後、ダイヤモンドはゆっくりした動きで地底から上昇し、噴火と共に地表に現れます。ホウ素は海水との水熱反応で海洋プレートに取り込まれるため、ブルー・ダイヤモンドは文字通り「海の青さ」を帯びているというわけです。



by Yannis Papanastasopoulos