そんな現在55歳となったカイザーは、『The SUN』の取材に対し、嘘に嘘を重ねたサッカー人生を振り返り、雄弁に語っている。

「とにかく、プロとして私が生き残るためには、誰かを騙すしかなかった。でも、誰も私を解雇できなかったね。私がサインをして、すぐに出ていく。その繰り返しだった。

 ブラジルでサッカー選手は、一種のステータスなんだ。だから、私は毎晩ナイトクラブへ行き、そして『サッカー選手だ』と言うと群がってくる女を抱いたよ。一日に3人と寝ることも珍しくなかった。

 私みたいに貧しい場所から出てきた人間がブラジルで成功するためには、サッカーで財を成すか、ギャングになるか、女と上手くやるか、その3つしかなかった。私はアルコール依存症の母親に育てられ、何とか生き延びようと必死だった。だから、いくら批判されようとも、嘘をついたことに罪悪感はない」

 ちなみに『The SUN』によれば、カイザーは現在、女性向けのパーソナルトレーナーとして“本当に”汗を流しているという。

 あらゆる技術が進化し、各クラブのスカウティングスキルもアップしたいまでは、カイザーのような選手が生まれることはあり得ず、なんとも不思議な話ですらある。