自民党杉田水脈(みお)衆院議員(51)が雑誌への寄稿でLGBTなど性的少数者について「生産性がない」などと主張した問題は、国外にも波紋を広げている。

杉田氏の発言が批判されていることを伝えるのはもちろん、過去にも自民党議員から同様の発言があったことや、失言に対して擁護する声があがることに着目した報道も目立つ。

与野党問わずす批判の声が相次ぐ

問題とされたのは、2018年7月18日発売の「新潮45」(新潮社)に、「『LGBT』支援の度が過ぎる」と題して掲載された寄稿。LGBTのカップルのために税金を使うことを疑問視した上で、

「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」

と主張していた。

英インディペンデント紙は、杉田氏に対して与野党問わず批判の声が相次いでいることや、二階俊博幹事長が7月24日の記者会見で

「人それぞれ政治的立場、いろんな人生観、考えがある」

と述べたことを、ほとんど論評を交えずに報じたのに対して、米CNNは、杉田氏について

「自民党内ではほとんど無名だが、突出した右翼的価値観で、多くのメディアの関心を集めている」

とする専門家の指摘を紹介した。さらに、

「自民党議員が反LGBT感情を表明するのは初めてではない」

として、竹下亘総務会長が17年11月、宮中晩さん会の国賓に同性パートナーが出席することについて「私は反対だ」と述べたことが問題になったことや、杉田氏は過去にも同様の持論を展開していたことに言及した。

「部下の誤った行動や言葉を指摘して正すより、擁護して同調」

韓国のソウル新聞は、二階氏の発言を取り上げて

「同じ党の大物政治家がこれを容認する発言をして波紋を広げている」

と指摘。麻生太郎財務相兼副総理が事務次官のセクハラ問題について「セクハラ罪という罪はない」と主張したことを引き合いに、

「日本では、同僚や部下の誤った行動や言葉を指摘して正すより、擁護して同調する事例が続いている」

と分析した。京郷新聞は、杉田氏が日本維新の会や次世代の党など「保守右翼政党」を経て自民党の比例代表から当選したとして、

「日本軍慰安婦強制連行を否定し、米国の慰安婦少女像設置に反対するなどの活動をしてきた。 14年の国会質疑では『男女平等政策が妄想』と『男女平等政策が女性に対する暴力と離婚を増加させた』と主張した」

とした。

中国でも、環球時報が「多くの人が、自民党議員の主張は『重大な人権侵害』だとして批判している」と報じている。