「佳代子夫人が結婚した当時、小泉家には小泉純一郎の母のほか、長女・道子、三女・信子の2人の姉など、いわば佳代子夫人は姑、小姑多き中に身を置かざるを得なかった。加えて、小泉家の“家訓”には、嫁は選挙運動に加わらないということであったが、夫人はそのあたりが理解しきれていなかったようだ。とくに、選挙に関しては信子女史がスケジュールなどの指示をすべて出していた。
 信子女史は、小泉の父親が防衛庁長官時代から秘書を務め、憲政史上初の女性大臣秘書官をこなしたヤリ手、ハラもすわった人で選挙のノウハウを熟知している。そのあたりで、佳代子夫人との折り合いが悪く、家事も含めて小泉家で出る幕がなかったことが離婚の大きな原因になったと思われる。小泉本人も政治活動に忙しく、彼女を守ってくれる人が一人もいなかったということではないか」

 すでに次男・進次郎も出産していたあとの離婚時、佳代子のお腹の中には、6カ月を迎えた三男・佳長がいた。“お嬢さん妻”は、若くして骨肉の争いにも直面するのだった。
=敬称略=
(この項つづく)

小林吉弥(こばやしきちや)
早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。