「『これしかできません』は通用しません。オーナーの意向を踏まえ範囲を限定せず主体的に動けることが第一です。地域特有の文化に飛び込み、信頼を勝ち得るコミュニケーション能力と柔軟性も必須です」

 ―小城さんご自身も経済産業省からカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に転じ、その後も企業再生に携わるなど、さまざまなキャリアを重ねてきました。自身を貫く「軸」となる思いは何ですか。
 「健康でさえあれば、何をやってもメシは食っていけると腹を括ったようなところはありましたね。僕は天然資源がない日本にとって、人材こそ資源だと固く信じて仕事をしてきました。人材問題はライフミッションと言っても過言ではない。ならば現場を知らなければと当時はまだ小さな企業だったCCCに入社しました」

 「働く場こそ変わっても、あるいは官でも民でも、人が力を発揮できる社会を作りたいという思いは変わっていません。自分の力とミッションとの距離感を考えながら仕事を選んできた結果、現在に至ります」

迷ったら早いほうがいい
 ―いずれ転職を考えるであろう20代や30代のビジネスパーソンに訴えたいことは。
 「転職を考えるなら、早い方がいい。多くの大企業では40歳前に社内選抜が行われるのが通常でしょう。大きな組織での出世は運や巡り合わせといった実力以外の要素も大きい。いまいる場所でたまたまうまくいかなかったとしても、活躍の場は数多くある。とはいえ、組織を飛び出すことは勇気を伴うもの。だからこそ、自身の可能性を試す『お試し期間』として副業・兼業の推進が意味を帯びてくると考えます」

  ―リンダ・グラットンさんのベストセラー「ライフ・シフト」の影響も大きいですね。
 「長寿社会とは、より長く働く社会であるとのメッセージが、企業と働き手に新たな緊張関係をもたらしつつあります。企業に一方的に雇われるのではなく、主体的に働き方を『選び取る』時代がやってきていると思います」