とはいえ、すべてを受け入れて応援すべしと言っているわけではない。攻撃から守備への切り替えがスムーズではなかったり、フィニッシュの局面での精度はお世辞にも高いとは言えない。危険なパスミスや不注意からFKやPKを与え、全体的なスピードの不足、相互理解の欠如など、課題は挙げだしたらキリがないほどだ。いますぐにワールドカップで通用するかと言えば、ノーだ。通用しない。
 
 
 ただ、ここからの2週間でチームはいくらでも進化できる。質の高い準備を施せば大いに変われるし、だからこそ他の出場国も事前キャンプに注力するのだ。普段は数日しかないキャンプが2週間も用意されている。さまざまなトライができるだろう。
 今回のロシア・ワールドカップで、日本代表は3連敗するかもしれない。無得点で終わるかもしれない。しかし、このような可能性はいつだってある。
 
 少なくても日本には、シビれるような3試合がある。やってみなければ結果は分からない。勝つと、格別な喜びになる。負けたとしても……それこそ(まさにイタリアとか!)出場さえできない国々の選手やファンからすれば、ワールドカップの舞台に立っているだけでも羨ましいのだ。6回連続で出場していることがどれだけの栄誉で、他国がなかなかなし得ない偉業か! 選手もファンも、98年大会のチャレンジャー・スピリットを想い起こしてほしい。日本に生まれて良かったと思うほど素直に自信を持って、サムライブルーを応援してほしい。
 
 そして上手く行けば、ラウンド・オブ16で日本とイングランドが対戦するかもしれない!もし実現したなら、わたしにとってこれ以上の喜びはない!
 
――――――――――◆―――――――――◆――――――――――――
 
著者プロフィール
マイケル・プラストウ/1959年、英国のサセックス州出身。80年に初来日。91年に英国の老舗サッカー専門誌『ワールドサッカー』の日本担当となり、現在に至る。日本代表やJリーグのみならず、アジアカップやACLも精力的に取材し、アジアを幅広くカバー。常に第一線で活躍してきた名物記者だ。ケンブリッジ大学卒。