観ている人にしっかりと爪痕を残す、中井和哉の芝居

物語の軸となるキースと黒羽は、互いに少し離れた距離感から始まって、ふたりが交差するところから物語は核心に迫っていきますね。今回のような感じで平田さんと梶さんが共演されたことって……。
梶くんとお芝居で会話する作品は、ほぼ初めてです。同じ作品に出演していても絡みがなかったり、すれ違ったりっていうのは何度かあります。
梶さんと共演されてみて、どんな印象でしたか?
「真面目で、お芝居が好きな人なんだな」と感じました。僕がいつも、初めて絡む役者さんに思うのは、「相手の発するセリフが、僕にグンと圧力をかけてくれると嬉しいな」ということなんです。
というのは?
僕自身もそういったお芝居ができるように心がけていますが、台本に書いてある事柄やセリフをつらつらっと言うだけじゃなくて、きちんと役のメッセージを乗せて、生きた言葉として話す。その言葉を相手がきちんと受け取って、そのリアクションとして言葉を発する。
それが“会話が成立する”ということだと思うので、それを梶くんと上手くできれば楽しいだろうなと思っていましたし、その結果、楽しくお芝居をさせてもらいました。
今作は、「RIS」の面々や、事件を追う中で出会う、黒羽を追う謎の組織「マーケットメイカー」のメンバーなど、個性的なキャラクターがたくさん登場しますが、平田さんがとくに気になったキャラクターは誰でしょう?
「RIS」の老捜査官、ボリス・マイアー(声/稲葉 実)かなあ? アメリカ映画に出てくるような典型的な“おまわりさん”みたいな雰囲気のキャラクターがいてくれると、なぜかホッとしますよね。
「RIS」の中で一番普通の人間っぽい存在ですが、ああいう人物がいるからこそ、対する「マーケットメイカー」の奇妙なキャラクターたちが「変なヤツらだなあ」と際立ってきますし、「RIS」という組織自体のバランスもよく映りますよね。
「RIS」のメンバーもそれぞれに特徴がありますからね。
あのほら、パソコンをパチパチ叩く女の子……あ、(吉永)カエラ(声/小清水亜美)のアクティブな面や、(星名)リリィ(声/瀬戸麻沙美)のキュートな部分やまっすぐな部分も際立ってくる。
チームみんながとっても人間臭くて、キース自身も人間臭いところがたくさん描かれていたので、人間模様を描くドラマを作っている感じがしましたね。だから、誰かひとりというよりも、チームとしての「RIS」の面々がそれぞれに魅力的なキャラクターだったと思いますし、それが作品の魅力のひとつだとも思います。
「マーケットメイカー」のカムイという、すごくトリッキーな役を中井和哉さんが演じていました。
やってましたねえ。すごく楽しそうにお芝居していましたよ。「普段溜まっている何かを、一気にぶつけたのかな?」と思ってしまうくらい楽しそうで、素敵でした。カムイが出てくるシーンはあまり多くないので、印象を残すのが難しい役だと思うのですが、彼はしっかりとピンポイントで爪痕を残していましたね。
強烈でした。
僕にはなかなかできない役だと思いますし、とても難しいキャラクターだと思いますが、あの役をきっちりと成立してさせている中井くんはスゴいなあと思っています。さすが、中井和哉です。

若い声優が多い現場は「僕がガチガチになる(笑)」

声優というお仕事についても伺っていきたいのですが、平田さんは「声優」をどのように捉えていらっしゃいますか?
アニメの声優に関して言えば、「キャラクターに“命”を吹き込む大事なポジション」と考えています。アニメ制作の順序としては最後のほうですから、仕上げ作業のひとつですので。漫画家さんはよく“最後に目玉を描く”と聞きますが、そういった役割に近いのがアニメ制作における声優の仕事だと思っています。
声優というお仕事を続けていらっしゃる中で、「ここだけは譲れない」というところはありますか?
いや、とくにないです。
マイルールみたいなものは…?
あんまり意識したことはないですねえ。あえて言葉にするのなら、どのキャラクターも「リアルに演じたい」という思いはあります。三頭身キャラだろうが、動物だろうが、どんな非現実的なキャラクターだろうが、それぞれの作品の世界観におけるリアルに基づいて演じようと思っています。
そのためには僕の自己は滅するようにしています。「キャラクターやストーリーの素敵な部分を、どれだけストレートに引き出せられるか」を追求していくうえで、「平田ここに在り」という自己アピールはいらないんです。だから、マイルールがあるとしたら、「自己を滅する」ことですかね。
声優というお仕事を続けている中で、一番やりがいを感じる瞬間は?
作品をご覧のみなさまからいい反応をいただいたときです。音響監督から威勢のいい声で「オッケー!」って言われれば、「あ、欲しい音声が録れたんだな」と思って嬉しいですが、それよりも何よりも、最終的にはみなさまに喜んでもらえたときですね。
ベテランや若手関係なく、役を演じる声優さんたちが一斉に集まってアフレコをするスタイルは日本独特のものですが、そういった中で、若手の方とはどのように接しているのでしょうか?
僕は若手からのウケがよくないかもしれないです。わざとムスッとしているわけではないですが、こちらから積極的に話しかけることもしないですから。ただ、話しかけやすいようにいようとは思っていますよ。
でもいまの若手たちは、堂々としていますし、和気あいあいとリラックスしていますからね。その中に入れない僕のほうが、固くなっているのかな。
(笑)。今作はベテランの方も若い方もいらっしゃる現場だったと思いますが。
とてもバランスがよかったです。若手ばかりで「ここにいていいのかな?」と思う現場では、それこそ僕がガチガチになりますが、その逆もありまして若手がひとりやふたりで、あとは超ベテランばかりという恐ろしい現場も稀にありますからね。そう考えますと、今回は若手とベテランのバランスがすごくいい現場だったと思います。
現場の雰囲気はいかがでしたか?
アニメ作品で人気の若手たちと、吹き替え作品でも経験豊富なベテランの役者たちが、じつによい雰囲気で共演できた現場でした。待ち時間はみんなでひとつの話題で盛り上がり、おしゃべりを楽しんでいましたし、リラックスした雰囲気の中で演技にも集中できた素晴らしい現場だったと思います。
最後に、『B: The Beginning』の見どころなどについて教えていただけますか?
ご覧になったみなさんが「いいなあ」って思ってくださったところが見どころなので、僕からはとくには申し上げることはありませんが、この作品はネット配信を前提としたアニメですので、全話を一気にご覧いただくのもいいでしょうし、観ていく中で新たな疑問がわいて、それに対する答えを探して話数をさかのぼったり、複数回観たくなる作品だと思います。
僕もまだ2回しか観ていません(※取材が行われたのは2月下旬)が、解きたい疑問がいっぱいわいてきましたので、みなさんにも何度でもご覧いただき、じっくりと『B:The Beginning』をお楽しみいただきたいと思います。
ネタバレなので言えませんが…ラストは衝撃でした!
ねえ。「え?」って思ったでしょ?
平田広明(ひらた・ひろあき)
1963年8月7日生まれ。東京都出身。A型。アニメ作品や洋画の吹き替えなどに数多く出演。主な出演作に『ONE PIECE』(サンジ)、『デジモンアドベンチャー』シリーズ(ナレーション、レオモン)、『最遊記』シリーズ(沙悟浄)、『TIGER & BUNNY』(ワイルドタイガー/鏑木・T・虎徹)、『宇宙兄弟』(南波六太)など。洋画では『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのジャック・スパロウ役をはじめ、ジョニー・デップの吹き替えを多く担当している。

出演作品

『B: The Beginning』
3月2日よりNetflixにて全世界独占配信中
http://www.b-animation.jp/

©Kazuto Nakazawa / Production I.G

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2018年3月22日(木)12:00〜3月28日(水)12:00
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  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから3月29日(木)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき4月1日(日)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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