ヘルスケア
 GEベンチャーズのヘルスケア投資部門の上級管理ディレクター、リサ・スネネンは、たとえ最新のテクノロジーが生まれても、人々が必要とするヘルスケアを実現することができなければ意味がないと述べています。臨床的な専門性に裏打ちされた技術は、患者の満足度と臨床成果の向上という恩恵を医療業界にもたらすことができるのです。

 こうした変化はすでに進行中です。例えば、大量のデータにアクセスすることで、患者の腫瘍に対してどの薬が最も効果的であるかを医師が理解するのに役立ちます。

 医師は、免疫系細胞を強力な抗ガン作用を持つ細胞に再プログラムすることができます。また、予測分析および処方分析により、医療事故が起こる前に臨床医が対処できるようにします。さらに3Dプリンターによって、オンデマンドで医療機器を製造することができます。

 しかし、医療というものは依然として人間の力を利用するものです。「医療から人やヒューマンタッチを遠ざけようとすることは間違っているのです。」とスネネンは言います。「私たちは、より個別化され、より正確で、より効率的な医療を実現する必要があります。ただし、技術のために技術を利用することは決しておこなってはいけません。」

技術移転とライセンシング方針
 現在のグローバル市場は、発明を特許化し、他社にライセンスするという何十年も存在していた伝統的なシステムとは異なる戦略的モデルを作り出してきました、とGEベンチャーズのライセンシング部門長パット・パットノードは述べています。

 例えばGEはエクイティパートナーシップなどの新たなモデルを通じて大きな知的財産ポートフォリオを活用しています。パットノードは「私たちは、戦略的なパートナーを活用して、ビジネスプランを構築し、資金を調達し、チームをつくり、新しい方法で市場に我々のテクノロジーをもたらしています。」と述べています。

新たなクラウドテクノロジー
 インダストリアルな企業は、クラウドコンピューティングの中核となるベネフィット、すなわち効率性、俊敏性、スケーラビリティを活用しています。GEベンチャーズのデジタル・ベンチャーのマネージングディレクター、マイケル・ドルベックによると、ソフトウェアの「コンテナ」と「エッジ」技術はこれらの利点を今後さらに拡大するとしています。

 「コンテナを使用している伝統的な企業では、たくさんのリソースとサポートがあるにも関わらず、クラウド内にあるコンテナについてしか気にしていない。」とマイケルは述べています。

 「システムのエッジ側である風力タービン、航空機エンジン、貨物列車などに、巧妙に設計された軽いソフトウェアを、コンテナに組み込まれたセキュリティを含めて適切に設計すると、正しいプロセスを正しいスケールアップまたはスケールダウンによって産業グレードのパフォーマンスで走らせることができます。機械学習とディープラーニングの恩恵によって、エッジコンピューティングもさらに賢くなり、デバイスをリアルタイムで制御することができるようになるのです」

機械学習とディープラーニングによって、エッジコンピューティングもさらに賢くなり、デバイスをリアルタイムで制御することができるように。 (画像提供:ゲッティイメージ)
まとめ
 2018年は、画期的なテクノロジーとビジネスリーダーを融合させ、よりスマートで意思決定が可能になる一年になるだろうとGEベンチャーズは考えています。シンプルになったデータ分析によってビジネスリーダーはより良い情報を得て決定を下すことができます。

 医師は治療を計画する前に何千もの遺伝子のライブラリーを利用することができます。消費者は、消費者ニーズに合わせて個別に生産された製品を利用することができます。そして、再生可能エネルギーは、これらを実現するためにより身近な電源になっていくでしょう。

 本稿にてご紹介した新たなテクノロジーは積層造形技術のように、人々をより高い価値を提供し、そして効率的にしていくと考えています。2018年、ビジネスリーダーは、新たなダイナミックな方法でイノベーションの潜在能力とこれらへの投資にフォーカスしていく年になるでしょう。

(最上部と上):GEグローバルリサーチのVR制御ロボットのような画期的な技術を賢く統合させ、よりスマートに、より迅速にビジネスリーダーの意思決定を促します。(画像提供:GEグローバルリサーチ)