バレエダンサーとしてそのキャリアをスタートし、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンでは跡部景吾を演じ注目を集めている三浦宏規。ダンスボーカルユニットDream5のメンバーとして活動したのち、現在はさまざまな舞台に出演している高野 洸。このふたりが、ミュージカル『刀剣乱舞』の新作公演「つはものどもがゆめのあと」に、新“刀剣男士”として出演する。芝居、殺陣、ダンス、歌と求められることが多く、人気作ゆえに期待値も高い本作。ふたりは「やってやる!」という闘志に燃えていた。

撮影/倉橋マキ 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.
ヘアメイク/Hitomi Haga

プレッシャーはある。でも…「負けていられない」

名だたる刀剣が戦士の姿となった“刀剣男士”を束ね、歴史改変をもくろむ敵を討伐していく刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」を原案としたミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ。待望の新作公演が11月4日からはじまります。今回は、「トライアル公演」、「阿津賀志山異聞」に出演していた三日月宗近(黒羽麻璃央)、小狐丸(北園 涼)、岩融(佐伯大地)、今剣(大平峻也)の4振りの刀剣男士がふたたび出演し、おふたりは初参加となりますね。
三浦 わからないことは先輩たちの姿を見て、ついていきたいと思っています。見に来てくださるお客様にとっては、僕らがはじめての出演だから…ということは関係ないので、負けないように、誰よりも努力をしないといけないと思っています。
高野 ミュージカル『刀剣乱舞』は、お芝居に加え、歌もダンスも殺陣もあって、すごくハードルの高い作品だと思います。みなさん、それをここまで乗り越えての今回の公演なので、僕も負けないように乗り越えて…本当にくらいついていく勢いで頑張りたいです。
非常に高い人気を誇る作品ですが、その点はいかがでしょうか?
三浦 もちろんプレッシャーはあります。でも「やってやるぜ」っていう気持ちのほうが大きいです。ビクビクしていても仕方がないので。ね?
▲髭切役・三浦宏規
高野 うん。僕も挑んでいくっていう気持ちのほうが大きいです。
三浦 でも一見、洸はそういう「やってやるぜ!」っていうアツい雰囲気を出しているように見えないじゃないですか。
高野 え?(笑)
三浦 しっかりしていて、「いい子だな」っていう雰囲気。でも、このあいだふたりでご飯に行ったときに、すごくアツいものを内に秘めているんだと感じて。
高野 ははは(照)。
それは、お話をしているときなどに感じた?
三浦 はい。今回のことを話しながらお芝居へのアツい姿勢が見えて…すごくエネルギーに満ちている感じがしました。
高野 恥ずかしいですね(笑)。
逆に高野さんは、そのときお話した三浦さんの印象はいかがでしたか?
高野 年齢は僕のひとつ下なんですが、経験もあってしっかりしていて…。負けていられないなと思いましたし、すごく刺激を受ける存在だなと感じました。新キャスト同士仲よくなって、かつライバルとしても一緒に頑張って、ミュージカル『刀剣乱舞』を成功させたいですね。
撮影中も仲のよさがすごく伝わってきましたが、一緒にご飯に行って仲が深まったんですね。そのときはどちらから誘ったんですか?
三浦 どっちだっけ? ビジュアル撮影終わりで…。
高野 お互い、次の仕事まで少し時間があるから「じゃあ、ご飯に行こうか」って。
三浦 そうだった。そのときは洸からだね。今日もこのあと一緒にご飯に行くんですよ。
▲膝丸役・高野 洸
いいですね!
高野 誘うのは僕からかもだけど、ご飯に誘う雰囲気にさせるのは宏規だよね。
三浦 そう!?(笑)
高野 うん。
三浦 そうらしいです(笑)。
高野 「まだこのあとちょっと時間があるんだよね」って“可能性”を見せてくる。
三浦 あははは! 女子が友達をご飯に誘うパターンみたいだ(笑)。
高野 でも、僕もご飯に行きたいっていつも思っているので、誘っちゃダメかな? と気を遣ってしまうより、そう言葉にしてくれたほうが誘いやすいです。
三浦 照れくさいよ〜(笑)。
おふたりがはじめて会ったのは、お話に出てきたビジュアル撮影のときですか?
三浦 いや…道(笑)。
高野 道(笑)。1年以上前に、同じ稽古場でお互い違う作品の稽古をしていて。たまたま共通の友人がいたので、稽古場の近くの帰り際で紹介してもらったんです。
三浦 共通の友人が「いいヤツなんだよ〜」って洸を紹介してくれました。そのときに、お互い「はじめまして」って挨拶して(笑)。
その出会いから、共演が決まったときは…。
三浦 「うぉおおお!?」ってなりました。
高野 あはは。僕もオーディション会場で会って、「もしかしたら?」って思っていたんですけど、まさか共演できると思っていなかったのでびっくりしましたね。

実年齢は逆! 兄弟を演じるうえで意識したいこと

三浦さんが演じる髭切(ひげきり)と、高野さんが演じる膝丸(ひざまる)は、共に源氏の重宝として伝えられる太刀です。今の段階(※取材が行われたのは9月中旬)で、演じるうえで意識しようと思っていることは?
三浦 台本を読んで感じる髭切のイメージを大事にしたいので、今は役作りのヒントを得るためにゲームをやったり、髭切の由来を勉強したりしています。
高野 ゲームは静止画だけなので、ヒントが少なくて難しいなと感じています。「このセリフを言っているときはどんな気持ちなんだ」というのが読みづらいからこそ、台本のイメージをしっかり読み取っていきたいです。
髭切と膝丸は兄弟ですね。
高野 宏規が演じる髭切が兄で、僕が演じる膝丸が弟ですが、僕らの実年齢では逆で。それに僕は兄弟の役を演じたことがなかったし、実生活でも長男なので、弟の気持ちを考えながらできたらいいなと思っています。「こういうとき、弟は何を考えるのだろう?」って探っていきたいです。
三浦 リアルお兄ちゃんだもんね。
高野 そう。小学生の弟がふたりいます。長男気質なのかはわからないですけど、兄にはわからない弟の気持ちもあるはずなので、研究しないと、と考えていますね。
三浦 僕はひとりっ子だから、お兄ちゃんの気持ちも、弟の気持ちもわからないです!(笑)
(笑)。三浦さんが思い描く兄像としては、どんなことを意識しようと?
三浦 とりあえず、写真を撮るときに自分から肩に手を回してみるとか…意識してやっています!
高野 あはは、そうそう役作りのひとつとしてね(笑)。
ちなみに…三浦さんは2015年のROCK BALLET『義経』の2作で源義経を演じていらっしゃいましたし、源氏に縁があるなと思いました。
三浦 そうなんですよ。当時、義経を演じるために勉強で鎌倉に行ったり、源頼朝のお墓を見に行ったりしたので、じつはけっこう源氏には詳しいんです。
高野 うらやましい!
三浦 だからこそ、源氏をテーマに描かれた「阿津賀志山異聞」は見ていてとても面白かったです。歴史を知っているとこんなに楽しめるんだ! と思いました。
高野 勉強のために鎌倉に行きたいな。
三浦 一緒に行こうか?(笑) でも、洸も頑張って歴史を勉強しているみたいで、源義経について書かれた本を持ち歩いているんですよ。今日もカバンのなかに入っていたよね。
高野 そうなんです。もともと歴史は得意じゃないので…勉強しないとマズいと思って、最近買いました。今、ちょうど源氏について勉強中です!
三浦 ミュージカル『刀剣乱舞』は、歴史を知っているとさらに楽しめる作品だと思います。物語の深みがより理解できるというか。だから僕ももっと勉強して公演に臨みたいと思っています。

刀を持ってのダンス…ふたりならではの感覚とは?

共演する4人の刀剣男士キャストはこれまでの公演にも出ていますし、おふたりにとっては先輩と言える存在だと思います。そういった4人の姿から盗みたいものはありますか?
高野 殺陣は経験が浅いので、みなさんの稽古姿を見て、勉強させていただきたいですね。
三浦 そうだね!
高野 オープニングの刀を振る見せ場とかは、どうやって表現するんだろうってすごく気になっています。
三浦 殺陣をやっているけれど歌も歌っているし、踊りの感覚にも近そうだよね。
踊りの感覚にも近そう?
三浦 僕の感覚ですけど、刀を持つと手が長くなったような気がするんです。より自分を大きく見せられるという意味で、僕は普通に踊るより刀を持って踊るほうが好きかもしれません。ただ、ミュージカル『刀剣乱舞』でどうなるかはわからないので、現段階の感覚で、思うことですけど…。
高野 手が長くなったような気がするっていうのは僕もわかります。動きのひとつひとつが美しく見える感じ。オーディションではじめて刀を持って踊ったのですが、もちろん殺陣の型もあるし、そのなかで綺麗な動きを意識しながら踊るというのは、はじめての経験で楽しかったです。
ジャンルは違えど、踊りをやってきたおふたりだから出る言葉ですね。
高野 そうですかね。あと、個人的には踊りながら歌うという経験をあまりしてこなかったので、そこも課題です。
三浦 わかる。けっこうキツいんです。
高野 そういう意味でも、スタミナは今のままじゃ足りないなと思っていて。
三浦 僕も体力は心配です。…カンパニーのなかで最年少なのに(笑)。でも本当に公演数が多いので、それに耐えられるような体力作りを稽古中からやっていかないと、と考えています。
体力作りのために、どんなことをしようと考えていますか?
三浦 僕は、とにかく稽古を全力でやろうと。一瞬たりとも気を抜かない。走ったりするのが苦手なので、全力での稽古を通して本番に向けて体力をつけていけたらと思っています。
高野 僕もランニングとかは続かないタイプなので、稽古を一生懸命やって体力をつけたいです。稽古も長い時間やるでしょうし、集中力を保ちながら体力作りもできたらと思います。
三浦 筋トレもしながらね。
高野 うん。でも、これまでの刀剣男士のみなさんも筋トレは一緒にされていますよね。
「阿津賀志山異聞」のときは、石切丸役の崎山つばささんと佐伯大地さんが稽古が終わったあと、ストイックに筋トレをやっていたようです。
三浦・高野 稽古後に!?
三浦 スゴいね。
高野 スゴいですね、そういうところを見習わないとダメですよね…!
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