とはいえシーズン前は、懸念事項があったという。
 
「やっぱり彼自身、アジアが初めてだった。夏の蒸し暑さが大丈夫なのかなというところと、日本に来た1月の時点ですでに半年プレーしていたから、最終的には1シーズン半を休みなく働くことになる。体力がどこまで持つのかなと。実際に夏に少し落ちて、怪我もあったりで休んだりしながらここまで来た。実質、1年くらいの感じですかね(笑)」
 
 分かりやすいロールモデルはチェルシーに籍を置くスペイン代表FWだ。
 
「うちと同じシステムというのもあって、選手たちにはよくチェルシーの映像を見せるんですけど、とくにファンマには『彼のようにプレーしてくれよ』と、ジエゴ・コスタの話をよくしました。したら、ファンマも自分のイメージに合うからよく観ていると言ってましたね。ファンマの身体は本当に凄い。僕の現役時代? いやいや、ぜんぜん彼のほうが強いですよ。ぶつかったらさぞかし痛いんだろうって思いますから」
 
 ファンにどんなプレーを観てほしいかとファンマに尋ねると、「持ち味というより、全力でのプレー。チームに貢献するところを観てほしい。そのうえで、ゴールという結果が付いてくると最高だね」と、笑顔で答えてくれた。
 
 指揮官と厚い絆で結ばれる前線の核は、V・ファーレンを悲願の1部昇格へと導く水先案内人となれるか。残り4試合、この“ビッグウォール”から目が離せない。
 
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)