旭山動物園の「かば館」といえば、水中を自由自在に動く様子をさまざまな角度から見られることで人気の施設。でも、面白いのはカバだけじゃないんです!

旭山動物園・ダチョウとイボイノシシの屋内放飼場/(C)旭川市旭山動物園

「かば館」の地下に下りると、水中のカバを下や横から観察できるアクリルガラスがありますが、そのすぐそばに、「ダチョウ・イボイノシシ」の案内看板があります。カバやキリン(「きりん館」とは地下で繋がっています)と同様に、ダチョウやイボイノシシもアフリカを生息地とする動物なんですね。ちょっと地味に感じるかもですが、実はじわじわくる要素が詰まっているんですよ!

案内看板に従って進むと、イボイノシシとダチョウの屋内放飼場が現れます。手前にあるのは、イボイノシシ用の通路。屋外放飼場と繋がっていて、自由に行き来できるようになっているんです(冬期開園時は屋外には出られません)。ダチョウがいるのは、この通路の奥。とても距離が近いのでダチョウのデカさもしっかり体感できますよ。

まずはイボイノシシ。旭山ではオスの「ドゥニア」1頭のみ飼育しています。名前の通り、目の下と牙の後ろに2対のイボがあり、上あごの犬歯が上に向かって伸びる牙もインパクト大。

ちなみに、頭から背中に生えるタテガミも意外と長くて、「薄い髪の毛っぽい……」と見るたび感じます。

また、エサを食べる姿も特徴的で、前肢を折り曲げて、ひざまずくような姿勢になるそう(足が長いため)。夏期開園中は「もぐもぐタイム」で見られるかも知れません。

「猪突猛進」なんて言葉がありますが、こちらのイボイノシシ、立派な牙を持っているものの戦うより逃げるほうが得意なのだとか。驚いた時には時速50Kmもの速さで逃げるというから、とんでもない逃げ足の速さですね。さすがに施設内の通路は狭いのでそんなスピードは出ませんが、走っている姿は見られるかもしれませんよ。

そしてダチョウ。オスとメスをペアで飼育していますが、見分け方としてはオスが全体的に羽が黒く、メスは茶色いそう。

ダチョウというと、やっぱりデカさや長い首に目がいきますが、足の指がまたすごいんです。

「まるで恐竜みたいな指!」と思っちゃうのですが、指の数は2本。鳥類で足の指が2本なのはダチョウだけなのだそう。接地面が小さいことで地面に力を伝えやすくしているほか、大きな爪が地面を引っかく蹄のような役割をしていて、時速60〜70Kmもの速さで走ることができるんです。「飛べない鳥」ですが、その分すごい脚力を持っているんですねぇ。ちなみに、「飛べる鳥」は4本指が多いそうですよ。

また、ダチョウは春から夏の繁殖期になると、オスが座りこんで翼を広げながら首を左右交互に揺らす、という独特な求愛ディスプレーをするそう。見られるのはまだ先ですけど、どんな「求愛ダンス」か、見てみたくなりますね!

「かば館」に行った際には、ぜひこの脚力がすごい2種類の動物にも注目して、館内を回ってみてはいかが?

※写真提供:旭川市旭山動物園

【北海道ウォーカー/出村聖子】