富士通が、Windows Mixed Reality(Win MR)対応ヘッドセットを発表しました。従来Win MRヘッドセット発売を予告していたのは海外の大手PCメーカーが主でしたが、ここに富士通も参入する形となります。

商品形態は、マイクロソフトのWin MR用コントローラー2個が付属したセットとしての販売。ヘッドセット単体構成はありません。発売予定日は11月下旬、予想実売価格は5万円強。
また、ノートPCとのセットモデル『FMV LIFEBOOK AH-MR/B3』も用意。こちらは12月14日発売予定で、価格は24万円強となります。

【ギャラリー】富士通 Windows MRヘッドセット (8枚)



ディスプレイパネルは2.89インチ液晶×2枚。解像度は1440×1440(両目で2880×1440相当)で、リフレッシュレートは最高90Hz(PC本体側性能により制限を受けます。詳細は後述)。

このあたりはWin MRヘッドセットとして標準的ですが、視野角はPC本体側の制限を受けるものの、最高100度と、標準の95度からは若干広めです。



なお推奨環境は「富士通パソコンでご利用ください」との一文はあるものの、他のWin MRヘッドセットと共通です。表中の右側にある〜Ultraは、本機の性能を活かせる環境。リフレッシュレート90Hzや100度の視野角を引き出すためには、こちらの要件を満たすPCが必要となります。



もちろん動き検出には、Win MRヘッドセット共通となる「インサイドアウトトラッキング」方式を採用。周囲の物体をカメラで認識し、それらのずれを連続的に検知することで、外部マーカー(センサー)を設置せずとも使えます。
内蔵センサーは加速度、ジャイロ、磁気検知用と、こちらも標準的な仕様。

また、こちらもWin MRヘッドセットで共通となる、便利な跳ね上げ式構造も継承。バンドを外さずとも目の前にあるユニットだけを上げられるため、一時的に非使用となる場合に便利です。



そして隠れた特徴が、マイク・ヘッドホン兼用端子。実はこの端子の有無や搭載位置は各メーカーによって大きく異なるのですが、本機は液晶パネル部の底面側という、非常に扱いやすい位置に搭載します。

既にいろいろなメーカーのVRヘッドセットを使っている方であれば、この位置にあることで、取り回しがかなり便利になるであろうことがおわかりいただけるのではないでしょうか。

合わせて地味ながら重要なポイントは「デザインが日本向けである」というところ。これまで発表された大手PCメーカーから発表されたヘッドセットは、デザインがどことなくアメリカンテイストなものが多く、日本の家庭のノリには若干合わせにくいモデルもありました。

対して本機は、いい意味で富士通製品らしい落ち着いたデザイン。本体色も深いブラックなので、目立ちません。



コントローラーは、マイクロソフトがWin MR用と位置づける仕様そのまま。
位置検出用の手がかりとなるリング状の天面とそこにマウントされたLEDをベースにした「ソフトクリームコーン型」の全体シルエットや、握った際の親指位置にタッチパッドとアナログジョイスティックが並ぶ配列など、特徴的な仕様も継承します。



PC本体との接続はBluetooth 4.0で、電源は単3電池×4本(左右、各2本)。



『FMV LIFEBOOK AH-MR/B3』は、同社の15.6インチフルHD液晶搭載ノートPCとのセットモデル。本体側はCPUとして、インテルの『Core i7-8550U』を採用する、比較的高性能なモデルとなっています。

さらに360度動画再生に対応するマルチメディアプレーヤーアプリとして、サイバーリンク製『Power Media Player MR for FUJITSU』を同梱します。

このように富士通のWin MRヘッドセットは、仕様こそベーシックではありますが、取り回しなどに配慮した設計など、細かな箇所に気配りが見られるモデル。
価格に関しても、実売価格ベースでは(現状で発表されている海外PCメーカー勢の「内外価格差」が芳しくないこともあり)むしろ比較的有利とも取れる点もポイントでしょう。

また大手PCメーカーである富士通の参入は、VR専門店以外でのPC売り場での店頭デモも開催が期待できることから、スマートフォンにおけるGear VR的な「Win MRの普及を下支えする」重要度の高い製品ともなってくれそうです。

VRの普及に取り組んでいるアプリ開発者などにとっても、こうした点は歓迎すべき動きと呼べるのではないでしょうか。