純正キーボードでも左右寄せが可能になった(筆者撮影)

iOS 11は、かゆいところに手が届く機能が増えている。たとえば、写真や動画を撮りすぎてしまい、容量がいっぱいになってしまった――そんなストレージ不足を簡単に解決できるようになった。また、これまではアプリで追加したキーボードでしかできなかったキーボードの左右寄せが可能になっており、本体がちょっと大きすぎると感じている、手の小さな人でも操作しやすくなっている。


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さらに、閲覧中のサイトを、簡単にPDFとして保存できる機能も追加されている。この機能は、同僚に資料としてウェブサイトを送る際に便利。後でそのコンテンツが更新されてしまっても、PDFとして保存しておけば見ることが可能だ。マークアップもできるため、重要な場所を囲んで、同僚に送ることもできる。せっかく搭載された新機能を使わないのは、宝の持ち腐れ。ここで、その方法をマスターしておこう。

1.使っていないアプリを一括削除できる

ストレージの容量が少ないiPhoneは、価格が安い反面、すぐにデータでいっぱいになってしまう。現行モデルのiPhone 8、8 Plusは64GB以上となったため、容量の心配をする必要は減っているが、32GBや16GBのiPhoneを使っている人には、死活問題といえるだろう。これを機に買い替えてもいいかもしれないが、まだまだ現役で使えるiPhoneを手放すのももったいない。

これまでのiOSでは、容量不足になった場合、不要な写真や動画、アプリを1つずつ選んで削除していかなければならなかったが、特に後者のアプリの削除は手間がかかっていた。iOS 11は、この作業が大幅に楽になったのが特徴だ。


使っていないアプリ本体を、自動で削除できるようになった(筆者撮影)

新たに用意された「非使用のAppを取り除く」という機能を使うと、アプリ内のデータを残したまま、使っていないアプリ本体だけを削除することができる。

筆者のiPhoneの場合、1.23GBのストレージを確保できるようだ。容量の大きなiPhoneだと、1.23GB減っても大した違いはないが、16GBのようなiPhoneを使っていると、効果は大きい。OSで使用されている分を除けば、10分の1程度のストレージが空くことになるからだ。

ストレージの容量は、「設定」の「一般」にある、「iPhoneストレージ」で、まとめて管理できる。ここで、「非使用のAppを取り除く」という選択肢が表示されているはずだ。「非使用のAppを取り除く」は「設定」の「iTunes StoreとApp Store」でも設定することができる。iPhoneの容量不足に悩んでいる人は、ぜひ試しておきたい機能だ。

また、「iPhoneストレージ」では、iCloudフォトストレージを使っていない場合や、iCloudストレージを使っていながら写真の最適化をオンにしていない場合の設定もできる。ストレージ不足のときは、まずこの設定項目を開いてみるようにしたい。

2.キーボードが片手で操作しやすくなった

iPhone 6 Plus登場以降、4世代にわたって5.5インチのiPhoneが発売され続けているが、キーボードが画面の左右いっぱいに広がってしまうため、片手での文字入力がしづらかった。無理に片手で操作しようとすると、バランスを崩して手のひらから落ちてしまうことも。4.7インチのiPhoneも、人によっては大きいと感じるはずだ。

iOS 11では、片手持ちした際の操作性も向上している。具体的には、キーボードを左右のどちらかに寄せることが可能になっているのだ。同様の機能は、これまでサードパーティが開発したアプリには搭載されていたが、純正のキーボードでは初。使い慣れた純正キーボードのサイズを変更できるようになったのは、うれしい進化といえるだろう。


左右どちらかに寄せておけば、片手でも文字が入力しやすい(筆者撮影)

キーボードの左右寄せは、文字入力中に設定できる。キーボードを表示した状態で、キーボードの切り替えに使う地球マークを長押しすると、「絵文字」の項目の下に、キーボード型のアイコンが表示されるはずだ。右を押すと右寄せ、左を押すと左寄せになるため、よく使うほうの手に合わせて、設定を変更しておきたい。

ただし、キーボードの左右寄せは、利用できるiPhoneに制限がある。Plusサイズ(5.5インチ)のiPhoneは画面表示をどの状態にしていてもこのメニューが表示されるが、標準のiPhone(4.7インチ)だと、画面表示が「拡大」になっていると、設定項目が現れないので注意が必要だ。これは、拡大表示だとキーボードのサイズ的に、寄せられる幅に限界が出てしまうためだろう。

同様に、よりコンパクトな4インチのiPhone SEなどでは、画面表示がどの状態でも、キーボードの左右寄せができない仕様になっている。iPhone SEぐらいのサイズであれば、もともと片手で持てるため、あえて設定したい人は少ないかもしれないが、念のため覚えておくようにしたい。

3.閲覧中のウェブサイトをPDFとして保存

通勤中などにたまたま見たウェブサイトが、仕事に役立ちそう。そんなときは、スクリーンショットを撮っておいたり、アドレス(URL)をメモに保存しておいたりするのが一般的かもしれない。Safariの「リーディングリスト」に登録しておくのも手だ。

とはいえ、スクリーンショットだとあくまで画面内に表示されている部分しか記録できず、URLは残しておいても、コンテンツ自体が消えてしまうおそれがある。リーディングリストは同僚などに送ることができず、あくまで自分用という位置づけになる。

資料として残しておき、誰かに送りたい。こんなシーンでは、iOS 11に搭載された、PDF化の機能が便利だ。操作も簡単。サイト閲覧中に、画面下に表示される共有ボタンをタップし、下段のメニューの一番右にある「PDFを作成」を選択するだけでいい。作成したPDFは、ファイルとして保存しておくことができるほか、そのままメールに添付して同僚などに送信することも可能だ。


文字や線などの手書きを加えることも可能だ(筆者撮影)

マークアップにも対応しているため、PDFを作成したあと、右上にあるペンマークのアイコンをタップすると、手書きで文字や線などを加えることができる。重要だと思っている箇所にチェックをつけて送れば、意図が伝わりやすく、送られた相手にも喜ばれるはずだ。マーカーなどで色をつけておけば、あとから自分が読み返すときにも役に立つ。

なお、PDFを保存する際は、これもiOS 11から新たに搭載された「ファイル」アプリが立ち上がり、保存する場所をPCのように指定することができる。ただし、ファイルアプリは完璧ではなく、iPhone内に保存する際は、あらかじめアプリが作成したフォルダがなければならない。また、このファイルアプリから直接iCloudドライブやGoogleドライブといったオンラインストレージにファイルを保存できるため、誰かに送りたいときは、これらを活用してもいいだろう。