ニンテンドースイッチの本体ソフトウェアには、ファミリーコンピュータのエミュレータと1984年のゲーム『ゴルフ』が隠されていることが分かりました。

隠しファミコン版『ゴルフ』はニンテンドースイッチ発売当時のシステム1.0からすべての本体ソフトウェアに含まれていました。

解析で得られた得た手がかりからは、日付を7月11日にセットしたうえでJoy-Conで特定のモーションを入力することがトリガーとなるようだ、考えられています。

更新:起動方法が判明。ニンテンドーダイレクトでおなじみだった「直接!」のモーションでした。追記参照。

7月11日といえば、Nintendo Switch の開発を陣頭指揮した責任者であり、ファミコン版ゴルフのプログラマーでもあった岩田聡 任天堂 前社長の亡くなった日にあたります。隠されたファミコン版『ゴルフ』を発見したのは、3DSのハックでも実績ある Yellows8 氏。

ニンテンドースイッチで自作ソフト起動を目指す情報共有サイト SwitchBrew への投稿によると、システムソフトウェア内部で見つかったモジュール(タイトル)「flog」はファミリーコンピュータ / NES のエミュレータであり、バイナリに直接『ゴルフ』が埋め込まれた状態で隠されていたとのこと。(GOLFを逆から書いてFLOG)

Yellows8 氏は本来想定されていない「非公式の方法」でこの隠しファミコンエミュレータを起動し、ゴルフがプレイアブルであることを確認したと語っています。

スクリーンショットからは、オリジナルのファミコン版『ゴルフ』と同じボタン操作に加え、スイッチのコントローラ Joy-Con のモーションセンサを使った操作にも対応していることが見て取れます。

Yellows8 氏や他のコンソールハッカー plutoo 氏が逆アセンブルで突き止めたと主張するところによれば、この隠しファミコン版『ゴルフ』はスイッチ本体の日付が7月11日であるときに、ジョイコンである特定のモーションを入力することで起動することが分かったとのこと。

しかし実際にどんな動きなのかは分からず、今のところ起動に成功したとの報告もありません。



任天堂は来年から正式稼働のオンラインサービス Nintendo Switch Online の有料会員特典として、オンラインマルチプレイ対応の古典ファミコンソフトを提供する方針を明らかにしています。

また過去のゲーム機のゲームをダウンロード販売するバーチャルコンソールも各プラットフォームで展開しており、ファミコンのエミュレータがスイッチに含まれていても特に不思議はありません。

任天堂スイッチのオンラインは年内無料、以降は月300円〜年2400円。ファミコン古典のオン対応版も提供

奇妙なのは、ニンテンドースイッチの発売時から、特に存在を明かすこともなく隠し機能として含まれていたこと。

「FLOG」は汎用のファミコンエミュレータアプリではなく、ゴルフのROMを直接埋め込んだ単体アプリであるとされていることから、将来のサービスに向けた準備というよりも、ニンテンドースイッチの開発を指揮した故・岩田聡氏へのトリビュートとして、岩田氏が30年以上前にプログラマーとして手がけた『ゴルフ』をイースターエッグに仕込んであった、と考えるのが自然かもしれません。

追悼・岩田聡氏。ゲームで辿る天才プログラマの軌跡 (1. 初期ファミコン編)
任天堂の岩田聡 社長が胆管腫瘍で死去。55歳 (2015年7月)
もう少しで flog を起動できそう、とつぶやく yellows8 氏。

更新:



" flog " を発見したyellows8 氏いわく、トリガーとなるモーションは直接!の動きであるものの、日付以外にも条件があるのか、現時点で「本来の」方法では起動できていないとのこと。

日付は一度でもネットに接続するとntpにつながりフラッシュメモリにキャッシュされてしまうとされるものの、未接続で手動設定すれば条件を満たすはずですが、買ったばかりのスイッチで起動できなかったとの報告も多数。

ネット未接続の本体で試したができなかったという声が複数ある一方で、いまだにスイッチ版のプレイや起動を記録した動画も見当たりません。(成功の証拠という動画もあるものの、静止画を表示しただけに見える。ファミコン版のゴルフそのものなので、ジョイコン操作の画面までないと信憑性が低い)。

解析班の起床を待ちつつ、来年の7月までには誰でも再現できる起動方法の確立か、もし無効化してあるなら任天堂による有効化に期待したいところです。