人気を得るために過激な動画を投稿するYouTuberが世界的に問題となっているが、国内でもある男性による「いたずらドッキリ動画」が騒動となっている。

動画は8月30日にYouTubeに投稿されたもので、薬物と見せかけたグラニュー糖を警察官の前で落とし、逃走する様子が映し出されている。男性は「覚醒剤 いたずらドッキリ」というタイトルで投稿しているが、パトカーが何台も出動、取材陣も駆けつける騒ぎとなっていた。この動画は68万回以上再生されている。

男性は8月27日にも同様の動画を投稿しており、自身のブログで9月1日、視聴者が増えたことや、今後も「いたずらドッキリ動画」を投稿することを明かしている。しかし、警察官の業務を妨害しているように見える動画に、違法性はないのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。

●偽計業務妨害罪に該当する可能性

「ニュースを聞いて驚きました。最近の動画は度が過ぎるものが多いようですね。Youtubeの閲覧を増やすためだったら何でもありというのは頂けませんね。常識の範囲内で閲覧数を増加させたいですね」

今回のケースを法的に考えるとどうなるのか。

「いたずらだから犯罪にならないということにはなりません。覚せい剤であるかのように騙して警察官に行動をさせるという行為は刑法233条に規定します偽計業務妨害罪に該当する可能性があります。

ここで『偽計』とは、人を欺罔し、または人の不知・錯誤を利用することをいいますが、覚せい剤であるかのように欺くことは『人を欺罔』し、といえますので『偽計』にあたるでしょう。

そして、警察官に不必要な仕事をさせる可能性が出てくるわけですから、『業務』を『妨害した』ということになります。ですから、偽計業務妨害罪に該当する可能性が高いのです」

よく公務執行妨害という言葉を聞くが、そちらには該当しないのか。

「刑法95条では、公務執行妨害として、『暴行又は脅迫を加えた者』とされています。ですので、ただ逃げるだけでは、公務執行妨害とならないと考えられます。

いずれにしてもいたずらでは済まされない問題です。常識の範囲内でYoutubeを楽しみたいですね」

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
弁護士法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/