超!脱獄歌劇「ナンバカ」(通称“ナンゲキ”)で初共演を果たす、赤澤 燈と北園 涼。稽古がはじまる前の、ふたりの交流がまだ浅い段階での取材だったが(※取材が行われたのは7月下旬)、トークはどんどん弾む。終始、笑いの絶えなかったインタビュー同様、舞台も爆笑必至になること間違いなし。「このキャストなら絶対に面白いことができる」と、そう断言する赤澤の自信の秘密は…タイトルにふさわしい、いい意味で“バカ”ばかりのキャストが揃っているから!?

撮影/後藤倫人 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.
ヘアメイク/門口明加

こんな自由なアニメってある!? と思った(北園)

おふたりがお会いになるのは、7月11日のLINE LIVE(※日本2.5次元ミュージカル協会 「超!脱獄歌劇「ナンバカ」キャストトーク〜生配信で生脱獄!?〜」)以来なんですよね。
赤澤 あ、ホントだ。
北園 そうですね〜。
番組内で北園さんのあだ名をどうするかお話されていて、結局決まりませんでしたが、それからあだ名は決まりましたか?
赤澤 それはもちろん、もう決まりましたよ!
北園 おっ!? 何ですか?
赤澤 ゾーノです。
▲ジューゴ役・赤澤 燈
北園 LINE LIVEのときと、さっそく呼び方が変わってますね(笑)。
まだ考え中ということですね(笑)。北園さんの呼び方が確定するのはいつでしょうね。
赤澤 “ナンゲキ”の初日までにはなんとかね。
北園 なんとかしましょう。(呼び方の)稽古もしていきましょう(笑)。
赤澤 そうだね(笑)。
果たしてどんなあだ名になるのか楽しみにしています。さて、おふたりが出演する、超!脱獄歌劇「ナンバカ」。comicoで連載されているマンガが原作で、昨年と今年にかけてアニメも放送されました。おふたりは作品のことを知っていましたか?
赤澤 (もともと面識のある)汐崎アイルさん(ロック役)と、Kimeruさん(三葉キジ役)がアニメで声優をやっている作品ということは知っていたのですが、マンガやアニメは見たことがなかったです。
北園 僕も、お話をいただいてからアニメを見はじめました。
▲ウノ役・北園 涼
赤澤 ビジュアルがカラフルで派手なので、どんな作品なのかなと思ったんですが、実際に見たらけっこうゆるい感じで、何も考えなくても見られるなと。
北園 そうですよね。僕も、見た目のポップさはありますけど、刑務所のお話と聞いていたので、シリアスな要素も多いのかなと思っていたんです。でも、実際見たら…でした(笑)。
赤澤 ホントだよね。
北園 こんな自由なアニメある!? って思ったくらいです(笑)。
架空の刑務所・南波刑務所を舞台に、囚人と看守たちが繰り広げるドタバタコメディですよね。こういうコミカルで自由な作風だからこそ、舞台化の発表に「どうなるんだ!?」と思った原作ファンの方も多いと思います。
赤澤 僕らも、どういうストーリーになるのかすごく気になっています。(舞台上演時間の)2時間くらいで収まるのか!? って考えちゃいますよね(笑)。
北園 たしかに。そうですね。
赤澤 ギャグを楽しくやるだけでも僕は十分好きですけど、ずっとそのままだとお客様を満足させるものはできないので、難しいところですね。
北園 こういうコミカルな作品だと、切り替えやメリハリは大事ですよね。見ているお客様にダラッとしたストーリーだと思われてしまうので、締めるところは締めないと。
赤澤 ね。悪ふざけだけで終わらないようにしないとね。
歌劇なので、歌とダンスもあるそうですね。
赤澤 そこもどうなるんですかね!? キャラクターたちが歌って踊る姿がまだ全然想像できない!
北園 アニメではエンディングテーマを歌ってたので、資料としてはそれくらいですよね。
赤澤 ニコ(安川純平)なんて、足に鉄球がついてるけど、どうやって踊るんだろう?
北園 あはは! たしかに! 持つんですかね?(笑)。
北園さんが演じるウノは髪が長いですが、そのあたりは?
北園 もう、周りに当てながら踊りましょう。
赤澤 (笑)。
北園 実際やるかはわからないですけど(笑)、そういう部分も、面白さにつながったらいいなと思います。楽曲としてはポップな感じが多そうですし。
赤澤 そうだね。歌って踊って、楽しい感じになりそうだね。

このキャストだからこそ、全然心配はしていない(赤澤)

赤澤さんが演じる、天才脱獄囚だけど、それ以外のことは絶望的な少年・ジューゴと、北園さんが演じる、楽観的で女好きのギャンブラー・ウノ。それぞれの役作りのプランとして、現状考えていることを教えてください。
赤澤 ジューゴは、アニメを見ていて、自分のなかに「こうしたい」という欲があまりないキャラクターなのかなと感じました。そういう意味で、ウノ、ロック、ニコの3人の稽古の様子を見て作っていけたらなと考えています。役ができあがるのは、ジューゴが最後なんじゃないかなと思うんですよね。
北園 ウノは4人のなかでも、一番周りを見ているタイプかなと思うので、そういう一面は垣間見えるようにしたいです。…まだ台本が来ているわけじゃないので、そういうシーンがあるかわかりませんが。ジューゴが楽しくなさそうにしていることが多いので、そこに切り込みをいれられる存在になれたらなと考えてます。
赤澤 ウノはいいヤツだよね。
北園 いいヤツです! いつもふざけていて、チャラチャラしているように見えるけどすごくいいヤツなんですよ。そういう部分がサラッと見えたらいいですね。
赤澤 うん。そこが表現できたら素敵だよね。あとは、アニメのことをよく知っているアイルさんやKimeruさんたちが舞台にも参加されるので、よきアドバイスをもらえたらなと思います。もちろん、キタゾーノとも……。
北園 もう呼び方が変わってます(笑)。
赤澤 (笑)。キタゾーノともいろいろ話して作れたらと思いますね。
4人の関係性を作りあげることにおいても、アニメでも声優を務めている汐崎さんがいらっしゃるので、とても頼りになりそうです。
赤澤 やっぱり『ナンバカ』のキャリアがあるので、作品のこともいろいろ教えてくれそうです。LINE LIVEの帰りにも、アイルさんが「何かあったらいつでも聞いてね」って言ってくれてたしね。
北園 はい。いろいろと聞けますね。
赤澤 そこは甘えていいところかなと思います。
北園 「みんなでご飯に行こうな!」とも言ってくださっていて、4人のなかでも、カンパニーのなかでも、どんどん引っ張っていってくれそうです。
4人のなかだと、年齢としては、北園さんと安川さんが年下のポジションですね。
北園 僕は純平くんと初共演で、LINE LIVEのときも会えなかったので、今から会うのが楽しみです。
赤澤 そっか! 初共演か! 安心して。アイツ、ホントにバカだから(笑)。
北園 そうなんですか(笑)。
赤澤 彼がひとりでワイワイガヤガヤやっているなかで、僕らはそれを微笑ましく見守るポジションでいられたらいいなと思います。
北園 「アイルさん! (安川を)お願いします〜!」って?(笑)
赤澤 そうそう(笑)。そういう意味で、アイルさんもいるし、Kimeruさんもいるし、(郷本)直也さん(双六 一役)もいるし、しゅんりーさん(高木 俊/一声三鶴役)もいるし、カンパニーとして、全然心配はないですね。稲垣成弥(五代大和役)もいて……って、コイツもバカだから(笑)。
北園 そうなんですか!?
赤澤 うん。タイトルにふさわしい、いい意味でバカばっかりのキャストが揃ってます。直也さんはとくに面白いと思います(笑)。
北園 直也さんはホントに面白いですよね!
赤澤 天然なほうのバカと言うんですかね…って先輩に対して、すごく失礼なことを言いまくってますが(笑)。
北園 でも、一(ハジメ)役ですよ? ハジメがバカなのはちょっと…(笑)。
赤澤 いやいや、それが逆に面白いんだよ! ホントにキャストに関しての心配はないので、このキャストとなら絶対面白い作品が作れるんじゃないかと思います。
北園さんは初共演の方が多いですね。
北園 はい。なので、今からお稽古が楽しみです。僕は初対面の相手だと、だいたい「この人とは仲良くなれなさそう」「嫌いかもしれない」っていうマイナスなイメージから入るんです。そこから…。
赤澤 「意外にいい人じゃん!」ってなっていく?
北園 そうです! いい人じゃん〜! って自分のなかで感じるのが好きなんです。
赤澤 あはは! バカだ(笑)。
北園 あとで「嫌いかもと思ってごめんなさい」って落ち込むんですけど、最初のイメージを低くしていくと、交流を深めていくうちにその方のイメージがプラスにしかならないので、仲良くなれるんです。
それが、北園さんの初対面の方と向き合うスタンスなんですね(笑)。赤澤さんは初対面の方だと、どんな感じなんですか?
赤澤 マジで壁を作っちゃいますね。僕は「誰とでも仲良くなれるね」ってよく言われるんですけど、実際はそんなことなくて。気まずくなるのがイヤなので、超頑張って笑顔でふるまっていることが多いんです。
北園 最初はそんなもんですよ!
ちなみに、今のおふたりの関係は…?
赤澤 いやでも、もう(北園の)人となりがわかってきたので、楽になってきました。
北園 わかります。一回わかってしまえばすごく楽なんですよね。

「人見知りだけど、ひとりは寂しいタイプ」に共感!?

お話をうかがっていて感じましたが、もしかしたらおふたりは、人となりが似ているのかもしれないですね。前回、赤澤さんを取材させていただいたときには、「人見知りだけどひとりは寂しいタイプ」って自己分析されていました。
赤澤 そうそう、そうなんです。前回のときからそこは変わってないですね。
北園 わー、めんどくさいですね(笑)。
赤澤 うるせぇ!(笑)
北園 でも、すごくわかります。人見知りって、人と一緒にいたいからこそ緊張しちゃうんですよね。
赤澤 そうそう、そうなんだよ!
隣にいるスタッフさんから、思わず「深い…」って言葉が漏れました(笑)。
北園 人と一緒にいることを大事にしたいから、逆に距離感を考えてしまって、距離を置いてしまうってことも…。
赤澤 そうなんだよ〜。失礼なことしないように、って慎重になっちゃうんだよね。(北園とは)考え方が近いのかもしれない!
赤澤さんは、座長としてどういう姿勢でお稽古に臨みたいですか?
赤澤 そうですね…みんなで一生懸命やって、ひとつのものに登っていけたらなとは思います。というのも、僕は「頑張っていこうぜー!」って引っ張ることができないので…。普段の稽古場でも、カンパニーのなかで、あまり重要な役どころにはいたくないタイプ。
北園 あはは!
赤澤 「ご飯行こうぜー!」って自分が言えないからこそ、そういうポジションにいたくないし、その二番手みたいなところにもいたくない(笑)。かといって、空気になるのもイヤだから…ガヤみたいなポジションにいることが多いかな。
北園 ガヤみたいなポジションってめっちゃわかります。中心とはまた違うところで、小さく盛りあがっていたいんですよね。
赤澤 そうなんだよ!
ちなみに、北園さんは普段、お稽古場でどんな感じでいることが多いんですか?
北園 最近は年下の子が増えてきたので、お兄ちゃんみたいな感じでいることも多くなりました。
赤澤 撮影中に聞いたら、長男って言っていたので、もともとお兄ちゃん気質なのかな。
北園 ですかね。面倒見ちゃうところがあります。
赤澤 僕も面倒見てもらお〜っと。
北園 いやいや、(赤澤のほうが)年上でお兄ちゃんですよ(笑)。
これまで、お互いの出演作品をご覧になったことはありますか?
赤澤 僕は、ないんだよなぁ…。話は聞いたりするけど。
北園 ホントですか? 僕は見たことあります。
赤澤 マジ!? 何を?
北園 「クジ砂」(※舞台「クジラの子らは砂上に歌う」)です!
赤澤 ああ! (崎山)つばさがいたから?
北園 そうです、そうです。(佐伯)大地くんもいて。
実際に赤澤さんのお芝居を見て、どうでしたか?
北園 存在感があるなと思いました。
赤澤 そのときは主演だからね、存在感がなかったらヤバい(笑)。
北園 もちろん、名前は知っていましたけど、お芝居を拝見するのはそのときがはじめてで。「これが赤澤 燈くんか…」と。
赤澤 適当だな(笑)。
北園 いやいや、ホントです!(笑) いつか共演できたらと思っていたので、こうして“ナンゲキ”で共演できてうれしいです。
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