サッカーにおける選手とレフェリーの関係とは、突き詰めれば、裁く、裁かれるの関係ではありません。
 
『私たちレフェリーの語源は「refer=ゆだねる、任せる」です。必死に戦っている選手たちでは判断できないから、第三者に判定を任せる。それがレフェリーであり、判定を受け入れるところまでがルールなんです』
 
 選手とレフェリーはともに試合を作り、ともにサッカーを作っていく存在なのだと思います。
 
 西村さんの言葉には端々に心が見えました。すべては「人間関係」のもとにあり、大切なのは「信頼関係」。「両チームからレフェリーという存在が消えていたら良し」。
 
 選手の心に基準を置かれる西村さんの姿勢に、私が抱いてきた感情が両思いであったことが確認でき、嬉しいとも少し違う、晴れやかな空のような気持ちになりました。
 
【プロフィール】
西村雄一(にしむら・ゆういち)/1972年4月17日、東京都出身。1999年に一級審判員として登録され、2004年からスペシャルレフェリー(現・プロフェッショナルレフェリー)に。2010年の南アフリカ・ワールドカップ決勝の第4審判、2014年のブラジル・ワールドカップでは、開幕戦で主審を務めた。2014年まで国際審判員として活躍し、現在はJリーグで笛を吹いている。
 
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。J1通算290試合・35得点。J2通算82試合・10得点。日本代表8試合・0得点/鹿島で不動のCBとして活躍し、2007年からJ1リーグ3連覇を達成。日本代表にも選出され、2010年の南アフリカW杯メンバーに選出された。2014年にはタイのBECテロ・サーサナに新天地を求め、翌2015年にはJ2岡山入り。岡山では2016年のプレーオフ決勝に導いた。今季から在籍する東京ユナイテッドFCでは、選手兼コーチを務める。