新作『A』をリリースしたASH DA HERO(Styling=三島和也・Tatanca、撮影=冨田味我)

 ロックシンガーのASH DA HEROが24日に、2ndフルアルバム『A』をリリース。2015年にミニアルバム『THIS IS ROCK AND ROLL』をインディーズからリリース。同年『THIS IS A HERO』でメジャーデビュー。収録曲「反抗声明」は、日本テレビの「MIDNIGHTテレビシリーズ」のエンディングテーマに起用された。その後も『THIS IS LIFE』と“THIS IS 三部作”をリリースし精力的に活動。“ASH DA HERO”として一つの物語を完結させた。『A』は同シリーズから1年弱の歳月を経てのリリースとなるが、その間も今作への構想を考えていたという。彼自身「“SEASON 2”、新しい幕開けを告げる作品」と話すように、多彩な音楽性と日本語詞や英詞を含む様々な表現方法で壮大な物語を表現した作品となっている。今回はその制作への過程やそこに込められた真意、音楽に対する彼の考えなどを聞いた。

最高のバランスを求めながら作りあげた

インタビューに応じたASH DA HERO(Styling=三島和也・Tatanca)

――ASH DA HERO(以下、ASH)さんは、最新アルバム『A』を作るにあたり、「ゼロから生まれる衝動ではなく、一周したうえでの衝動で作品を作った」と言っています。まずは、このアルバムを作るまでの経緯から教えてください。

 『A』は作品としては通算4枚目、フルアルバムとしては2枚目になるんです。これまでに出してきた『THIS IS ROCK AND ROLL』『THIS IS HERO』『THIS IS A LIFE』の3枚の作品は、1枚毎にしっかりとコンセプトを立てて、それぞれの物語が繋がるように作り続けてきました。つまり、この3枚を完成させたことで、物語に一つの区切りを付けることが出来ました。

 昨年に三部作を作り終えたときから「次の作品までは、しばらく期間を置く」と口にしていましたが、水面下では、この1年間ずっと新しいアルバム作りを進めて、出すタイミングを窺っていました。そのタイミングを模索していく中で、今年メジャーデビュー2年目、フルアルバムも2枚目ということから、その時期にASH DA HEROとしての“SEASON 2”となる動きを始めたかったんです。

 その新しい幕開け、“SEASON 2”の始まりを告げるのが、今回の2ndフルアルバム『A』になります。

――つまり『A』というアルバムは、次のステージの幕開け?

 そうですね、序章というべき作品になります。先に言われた「ゼロから生まれる衝動ではなく、一周したうえでの衝動で作品を作った」ということに関してですが、THIS IS シリーズ三部作は自分の内から沸き上がるインスピレーションをそのまま具現化した作品なんです。

 つまり、初期衝動をすごく大事にしながら作った作品たちでした。その『THIS IS シリーズ三部作』を作っていく工程の中で、いろんな人たちに出会い、様々なイベントやライブの経験も重ねてきました。そういう中から芽生えた感情、今の自分の立ち位置などいろいろなことが見えてくる中、今回はもう少しだけロジカル(論理的)に作っていこうと思いました。

――ロジカルにですか?

 そう、もちろん初期衝動を大切にしながら。その作り方を180度変えたのではなく、360度変えてみたんです。

――えっ、どういうことですか?

 以前までのASH DA HEROは、角度がゼロの状態で作品を作り続けてきました。でも今回は、作り方を180度変えて作りあげ、完成した楽曲を客観視した上で、さらに180度変えてみました。360度回転して、再び「ゼロの位置」に楽曲は戻ってきた。ただし、一周したことで、もとの0度の状態とはまた違う作品にブラッシュアップしているんです。

 別の言い方をするなら、衝動を元に作った0度の段階でも完成はしているけど、その作品を、さらに細かく綺麗に磨いたり、あえて引き算をしながら絶妙な黄金比のバランスを模索して、一つひとつの楽曲を作りあげた。それこそ、「ジェンガ」というゲームのように抜き過ぎてはいけない。その最高のバランスを求めながら1曲ずつ作り、それを一つの物語としてまとめたのが、この『A』というアルバムなんです。

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