ハイパープロジェクション演劇と銘打ち、最新技術を駆使して人気漫画「ハイキュー!!」が初めて舞台化されたのが2015年の10月。それから、第1作の再演“頂の景色“(2016年4月〜)、第2作“烏野、復活!“(同年10月〜)、そして最新第3作“勝者と敗者“と、ふたりはシリーズの中心となる役を担い、濃密な1年半をともに駆け抜けてきた。誰も見たことのないものを作り上げてきたという自負。シリーズを重ねるごとに上がるハードル、そして深まる絆――いまの心境を語ってもらった。

撮影/川野結李歌 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.



前作の時点で「次もあるだろう」と確信していた!?



――おふたりそろってこちらのインタビューにご登場いただくのも、再演“頂の景色““烏野、復活!“上演に続き3度目になります。

須賀 よっ!(拍手) 毎度、お世話になってます!
木村 そうですね、今回の作品では…。
須賀 いやいやいや、早い!(笑) まだ何も聞かれてないから。

――須賀さん演じる日向翔陽、木村さん演じる影山飛雄を中心に、バレーボールに青春を燃やす高校生たちの戦いを描く作品ですが、初演、再演、2作目とハイペースでシリーズを重ねてきて、今回の3作目“勝者と敗者“の上演決定を知らされたのは…?

須賀 前作の稽古の段階でも、僕らとしては、次もあるだろうなって意識ではいたよね? 原作はさらに先に進んでいる作品ですし。
木村 当然、やるだろうという気持ちだったよね。またこのチームで、ウォーリー(木下)さんの演出のもとでどんなことができるんだろうって考えると、ワクワクしかなかった。ただ、いまの段階(※取材が行われたのは1月下旬)ではどうなるのか? 僕らもわからないんですよ。




須賀 ついこのあいだ、達成とウォーリーさんと3人でご飯に行ったんですよ。すごく気になるから、「あのシーンはどうなるんですか?」って聞いたんですけど、「いい感じよ」「大丈夫! 大丈夫!」しか教えてくれない(笑)。
木村 そういうこと聞きたいんじゃないし(笑)。
須賀 具体的に、どうなるのか聞きたいのに! 初演からずっとご一緒させていただいて、最近ちょっと、僕らへの対応が…(笑)。
木村 前作の“烏野、復活!“で、トスの上げ方を変えたんですよ。きっかけはウォーリーさんの「トス、なんかつまらないから上げ方変えてよ」ってひと言で。そこから悩みに悩んで、直前のゲネプロまで試行錯誤しながらやっていたんだけど、やったらやったで「ちょっと違うな…。別のやって」って感じ(笑)。
須賀 なんかウォーリーさんのグチ大会みたいになってきたよ…(笑)。



――初演から再演、再演から“烏野、復活!“、そして今回と1段階ずつ先へと進んできました。

須賀 初演から再演のときは、ブラッシュアップというか、できあがっていたお芝居に、さらに磨きをかける作業でした。“烏野、復活!“は初演時と同じで、またゼロから作り上げていく作業で、すごく不安でした。どんな反応が返ってくるか、まったく想像がつかない。今回もそれに近い感覚ですね。
木村 初演時は、いま考えると不安で押しつぶされそうな自分がいました。でも、回を重ねていくごとに、影山像にも自信が持てるようになって。それをさらに確立したのが再演。前作のときに感じたのは、作品のなかでもカンパニーでも、周りと急に仲良くなるんじゃなくて、徐々に関係を深めていって“いま”があるんだなということ。




――劇中の日向と影山、カンパニーでの須賀さんと木村さんの関係がリンクしていて、過ごした“時間”が確実に作品に反映されている?

木村 「もっと! さらに上がある」という感覚は確実にありました。その積み重ねがあったうえでの、今回の“勝者と敗者“なんだなと。とはいえ、また今回も不安で押しつぶされそうになるのは間違いない(苦笑)。何が正解なのか? それはウォーリーさんが答えを持っているわけではなく、お客様が持ってる。
須賀 初日の公演の休憩に入る瞬間が、僕らが最初に、明確に評価されるときなんじゃないかって思います。お客様は、期待を抱いて作品の世界にどっぷりと浸かり、休憩で一度、現実に戻る。そのときの反応で、僕らが間違っていなかったのかどうかがわかる。

――それは、これまでの公演でも感じたことですか?

須賀 そうです。それまではとにかく不安なんですけど、休憩に入ったとき、お客様の発する熱が、舞台袖の僕らのところまで伝わってくるんですよ。その快感を僕らはすでに知っているから、そこまで持っていかないといけないってプレッシャーもあります。
木村 どこで笑いが起こるのかも、正直、まったく予想できないもんね。
須賀 休憩に入る時点で、スタンディングオベーションが起こるくらいのことをしたいね(笑)。



――今回の“勝者と敗者“で、とくに楽しみにしているシーン、「ここはどう表現しようか?」と策を練っているシーンはありますか?

須賀 原作では、ワイドブロード(移動攻撃)を日向が使うので、演劇でもやるならそこは個人的にどう表現するか楽しみです。あと、お芝居の話でいうと、今回は初めて自分が俯瞰で見られそうだなと思ってて…。

――俯瞰で?

須賀 今回の話はセッターの話がメインなんですよね。影山だけでなく及川 徹(演:遊馬晃祐)、菅原孝支(演:猪野広樹)といった、アタッカーにボールを託すセッターにフィーチャーしてるんです。達成さんの演技を、じっくりと見られるのを楽しみにしております(笑)。
木村 …(笑)。まずは稽古場でウォーリーさんをビビらせたい! これまでも僕らが「ここまでできるんだよ」ということを見せることができたら、ウォーリーさんも「じゃあ、こうしてみよう」ってどんどん表現のキャパを広げていってくれた、ということがありました。結果、それがお客様の驚きにつながると思うので。




演劇「ハイキュー!!」はすでにひとつのジャンル



――改めて、このシリーズがご自身にとってどういう意味を持つ作品なのか? 教えていただけますか?

須賀 みんなでゼロから作り上げたという意識――“創始者”としての自負はあります。2.5次元と言われる作品のなかでも特殊で、演劇「ハイキュー!!」というのは、自分にとって、ストレートプレイでもなく、ミュージカルでもない、ひとつのジャンルだと思ってます。

――ひとりの俳優としても、ここでの経験は特別なものといえそうですね?

須賀 役者人生のなかでも、めったに経験できないことをさせてもらえているという感覚はあります。ただ、この1年半で、演劇「ハイキュー!!」がほかの出演作品に影響してしまっていると感じたことがあって…。



――近年では映画『シマウマ』や『ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-』で、狂気に染まった男や殺人者を演じてきましたね?

須賀 日向が“陽”のエネルギーを発するキャラクターなので、ほかの役を演じるときわからなくなったり、逆に映画の仕事の後にカンパニーに戻ると、「あれ? 日向ってどうだっけ?」となる瞬間もあって(苦笑)。

――振り幅の大きな、多彩な役を任されているからこそのうれしい悩みでもありますね。

須賀 めちゃくちゃ幸せなことなんですけど、前回、本当に日向がわからなくなって、ウォーリーさんにも「前作を見た須賀健太のファンが演じてるみたい」って言われてしまいまして…(苦笑)。本人なんですけど。常に「いろんな役をやりたい」と言っていますが、そのためには、常にフラットな気持ちで役に臨まないといけない――課題ですね!



――『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの子役のイメージが強く残っている須賀さんですが、本シリーズがあり、そして最近の映画ではトリッキーな役柄を演じ、激しいアクションも披露されていますね。

須賀 周りの人や、映画関係者からは「いろいろやってるね」と言っていただけるんですけど、世間ではまだ子役のイメージが強いのは事実ですね。やっぱり、もっともっと挑戦していかないと!

――世間のイメージは、なかなか自分でコントロールできない部分でもあるかと思います。

須賀 年齢もありますしね。自分にできるのは、一生懸命動いて、全力で芝居して、汗かいて…ということだけ。少なくとも演劇「ハイキュー!!」で、いましかできない芝居をやらせてもらっていると思うし、いつか振り返ったとき、間違いなくこのシリーズは僕の20代を代表する作品になると思います。



――木村さんにとってのこのシリーズはいかがですか?

木村 健太がこれだけ熱く語ってくれた後であれなんですけど…僕、けっこう淡白で。言い方は良くないかもしれないけど、すべては人生の1ページって感覚なんです。もちろん、大切な時間なんですけど、作品も僕の人生で「いまを生きている」というタイプの人間でして…。
須賀 わかるよ、わかってるよ!
木村 こうやってカンパニーのみんなはわかってくれると思うんですけど、「THE いまを生きる人!」なんです(笑)。自分が「楽しい」とか興味を持った方向、可能性を感じたことに足を踏み出さずにはいられない。この作品もそうです!



――ズンズンと心の奥に響いてきて進まずにはいられないくらい、心をつかまれましたか?

木村 やっていてすごく楽しいです。しんどいこともあるけど、「楽しかった!」という感覚以外、昨日のことでも忘れちゃうんですよ(笑)。

――そういう意味で、おふたりは性格的にわりと違うのかもしれませんね?

須賀 けっこう違うよね?
木村 いや、ホント。



最初は「たくさんいる共演者のひとりだった」



――そんなおふたりがこれだけ長く一緒にいて、意気投合して…。

木村 この2年くらいのあいだで、2週間以上、顔を合わせなかったことがないもんね?
須賀 公演や稽古だけでなく、取材も一緒。
木村 マカオ、マレーシア、シンガポールまで一緒に公演で回ったよね。
須賀 普通のカップルよりも一緒に旅してるね。地方まで一緒に回ってるんだから。




――そのあいだに、関係性は微妙に変化してるんですか?

須賀 めちゃくちゃ変わってますね。やっぱり深くなりますよ。最初に会ったのはライブ・スペクタクル「NARUTO -ナルト-」で、そのときは敵同士の役だったし、たくさんいる共演者のひとりだったし、性格もタイプも違うし。まさかこんなにつかず離れず、長い付き合いになるとは…。
木村 あのさ、最近、取材でこの手の質問多いじゃん? ちょっと恥ずかしくならない…?(笑)
須賀 そりゃ恥ずかしいよ! 面と向かってさぁ…。
木村 今後、この質問はNGにしようか?(笑)



【プロフィール】
須賀健太(すが・けんた)/1994年10月19日、東京都生まれ。A型。1999年、俳優デビュー。連続ドラマ『人にやさしく』(フジテレビ系)、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズなどに出演。2017年、映画『ダブルミンツ』『獣道』の公開を控える。舞台では、ライブ・スペクタクル「NARUTO -ナルト-」、『七人ぐらいの兵士』などに出演。現在『世界の村で発見!こんなところに日本人』(朝日放送)にレギュラー出演中。
【公式HP】http://www.horipro.co.jp/sugakenta/
【ブログ】http://lineblog.me/sugakenta/
【Twitter】@suga_kenta1019

木村達成(きむら・たつなり)/1993年12月8日、東京都生まれ。A型。2012年、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンの海堂 薫役でデビュー。ライブ・スペクタクル「NARUTO -ナルト-」、舞台『暁のヨナ』に加え、映像作品ではBSスカパー!オリジナル連続ドラマ『弱虫ペダル』にも出演。2016年12月に写真集『paradox』(幻冬舎コミックス)が発売された。
【公式HP】http://www.tatsunari-kimura.com/


■ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」“勝者と敗者“

(C)古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会

<スタッフ>
原作:古舘春一「ハイキュー!!」(集英社「週刊少年ジャンプ」連載中)
演出:ウォーリー木下
脚本:中屋敷法仁・ウォーリー木下
<キャスト>
須賀健太/木村達成 ほか

▼公演スケジュール
【東京】2017年3月24日(金)〜3月26日(日)
 @TOKYO DOME CITY HALL
【宮城】2017年3月31日(金)〜4月2日(日)
 @多賀城市民会館 大ホール
【大阪】2017年4月13日(木)〜16日(日)
 @梅田芸術劇場 メインホール
【福岡】2017年4月21日(金)〜23日(日) 
 @キャナルシティ劇場
【東京凱旋】2017年4月28日(金)〜5月7日(日)  
 @TOKYO DOME CITY HALL

▼詳細は下記にアクセス!
http://www.engeki-haikyu.com/


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★★須賀健太さん&木村達成さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント★★

今回インタビューさせていただいた、須賀さん&木村さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

■応募方法:ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT


■受付期間:2017年3月23日(木)18:30〜3月29日(水)18:30

■当選者確定フロー
・当選者発表日/3月30日(木)
・当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し)のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
・当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから3月30日(木)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただきます。4月2日(日)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。

■キャンペーン規約
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