今ではあまり見かけなくなったが、かつては体温計といえば水銀を使ったものが一般的だった。体温計を誤って割ってしまった時に、コロコロと転がり落がる水銀の球は美しくもあり、「毒がある」と聞いて怖い存在だった。中国メディア楚天都市報は23日、湖北省武漢市で交際相手の足に水銀を注射して重傷を負わせた女に対し、現地の裁判所が有罪判決を下したと報じた。

 記事は、今年35歳になる女は5年前に中学の同級生だった男性と再会、既婚者どうしだったが不倫関係に発展したと紹介。3年間不倫状態が続いた後で2人はそれぞれ離婚し、同居するようになったが、昨年の春節に男性が突然「外地に仕事に行くから」と別れを切り出したとした。別れたくなかった女は「彼が病気になれば別れずに済む」と考え、男性の体に水銀を注射することを思いついたと伝えた。

 女は薬局で注射器とともに、2度に分けて89本の温度計を購入、全部で約5リットルの水銀を集めた。そして2016年2月21日、睡眠剤入りのコーヒーを飲ませて男性を寝かせると、注射器で水銀を男性の腿に注入したという。その結果、男性は重度の水銀中毒となり、肺、肝臓、腎臓の機能にダメージを受ける重傷を負った。

 記事は女が同6月に起訴され、このほど裁判が結審し、女に対して傷害罪で懲役6年が言い渡されたと紹介。また、付帯の民事訴訟では医療費など77万元あまりの支払いが命じられたと伝えている。

 記事によると、女は「水銀を注射すると中毒を起こすが、死には至らない」という情報をどこかで得ており、犯行を思い立ったという。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)