クレームが発端で、除夜の鐘や餅つき大会など、年末年始に行われる伝統行事の自粛が相次いだ。

 1月9日放送の『小飼弾のニコ論弾時評「年末年始のニュースから見る〜日本のITもうオワタ〜」』では、山路達也氏と、海外在住歴のある小飼弾氏が、海外での事例や、プログラマー視点で、「クレームが増える原因」について語った。

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■除夜の鐘が近所迷惑として自粛する寺が相次ぐ

山路:
 除夜の鐘がうるさいというクレームが入って、取りやめるところがでたりとか。

小飼:
 それって、人生やめた方がいいというシグナルですから。除夜の鐘がうるさいんじゃなくて、除夜の鐘にうるさいっていう人がうるさいでしょ? この場合。

山路:
 こういうクレームみたいなものって、結構0か1かじゃないところがあるじゃないですか?

小飼:
 クレームは出すべきときには出すべきなんですけど、除夜の鐘を叩いてた寺のほうが先にあるなら、寺に先主権があるよね。

山路:
 除夜の鐘に近い騒音ってあると思うんですよ。例えば、自治体が夕方5時になったら音楽を流したりとか。

小飼:
 だったら、必ず死人が出ると話題の、6年に一度開催される『御柱祭』もクレームで中止になるんですか? なんであれはクレームで中止にならないんだろう?

山路:
 あれこそ、よっぽど実害があると言えばありますもんね。

小飼:
 実は俺の親父の実家が御柱が通る近所にあって、普通にあれは近所迷惑なものでしたね。「クソが」と思ってました。

山路:
 流石にクレームは言わなかったんですね(笑)。

小飼:
 日本のクレームはかわいいんですよね。除夜の鐘でうるさいとかね。銃声でうるさいとか、本当にそういうレベルですよ。米国とかだと。

山路:
 うるさいというよりは、それはもう事件ですよね(笑)。

■良いクレームや、命に関わるクレームだってある。

山路:
 クレームが大きな話題になってきたのって、ソーシャルメディアとかもあるし、それをメディアを取り上げるようになったからなんですよね。これってなんかいい決着は結局ないものなんですかね? こういうクレーム問題って。

小飼:
 クレームに関しても、良い事例を集めていきたいですよね。

山路:
 今は、結局おもしろ炎上させるネタとして、瞬発的に取り上げて終わりみたいな。

小飼:
 命に関わってることもあるんですよ。米国での事例ですけれども、黒人の女性の医者が飛行機に乗っていて、誰かが心臓発作を起こしちゃったのかな? それで、「お医者様いませんか!?」って言ったので、彼女が手を挙げたらガチスルーされてって言うのが、これはクレームを出しておかないといけないです。

山路:
 その記事って確か、スルーした理由というのが、その空港から乗ってくる人というのは、だいたいそういう医者みたいな人がいなくてみたいな先入観が乗務員にあったみたいな話でしたね。

小飼:
 これはもう、乗務員のほうが120%間違ってたわけで、やっぱり平謝りでしたけど。だから、クレームというのは馬鹿にしちゃいけませんよ。本当に命にかかわるんだから。時と場合によっては。

■ソーシャルメディアがある事によってクレームが起きやすくなっている

山路:
 昔ってクレームをやるための敷居って、結構高かったような気がするんですよね?

小飼:
 クレームを出しやすくなったように感じる。クレームを出したあとに、副作用というのが昔ほど重たく感じられなくなった。例えて言うと、銃の威力が増したのに引き金が軽くなった。そんな感じですかね。

山路:
 事実と違うことなんかを流して、名誉毀損みたいなことをやっちゃうのは簡単になっているんだけれども、その及ぼす影響って、結構大変なものだったりしますよね?

小飼:
 本当にクレームするというのは、民主主義の根幹ですよ。だからこそ、引き金はある程度重くしておきたいというのがあります。安全装置もつけたいです。読書感想文書かせている暇があったら、そういったことも学校で教えるべきと、僕は思いますね。学校にクレームを入れるべきですかね?(笑)。

山路:
 引き金を重くするのって、結局個人の心の問題みたいなところもありますよね。

小飼:
 ただ、ソーシャルメディアがあることによって、第三者がそれを見るという機会が増えて、第三者が知らない間に応援団になっていると、本来だったら無関係な人のはずなのに、そのクレーマーはおかしいと、クレーマーに対するクレーマー・クレーマーになったりとかっていう、そういったことが明らかに起こりやすくなりましたね。

山路:
 それで激しくなりますもんね。炎上案件みたいなものは。

小飼:
 そういうことです。増幅されるわけですね。昔は、マッチだけがあったんだけども、今は。

山路:
 周りに燃えるものがいっぱいあるみたいな。

小飼:
 可燃物がより近くなったと、それは確かだと思います。