「王子様」みたいな男性っていますよね。整った容姿、素敵に見えてしまう職業、パーフェクトな気がする経歴…思わず恋に落ちそう。でも、それって本当に王子様なんでしょうか?作詞家として華やかな世界もたっぷり見てきた緒田茉莉が、様々な男性を分析していきます。第6回は「捨てられない男」。そう、物が捨てられないのは女性だけの話じゃありません。そしてそこから読み取れることとは?

■捨てられない男


新年だからと言って何が変わるわけではないけれど、気分的には年末は片付けをしたくなるし、年始は新しいことを始めたくなる。これって日本人特有の感覚なんだろうか?
ご多分に漏れず私も年末に大掃除をした。いらないものを捨てる時は思い切って捨てる方だが、何でこんなものまで大事にとっておいたのか?!と我ながら呆れることも多い。
今回は断捨離しながら考えた「捨てられない男」について。

■「捨てる」能力はなかなか身につかない


学校でも職場でも、片付けの下手な男は多い。物が多ければなおさらだ。カバンの中にはあらゆる書類が本人しかわからないルールで詰め込まれ、いつ買ったかもわからないガムやフリスクが散乱、使用済みのティッシュやマスクまで入っている。
当然机の上は常に書類や本で雪崩が起きていて、作業スペースを作ることから1日が始まることも多い。これだけペーパーレスの時代になっても捨てられない男の机は汚いままだ。例えば会社で頂き物のお菓子が配られたとき、すぐに食べれば良いのだが、何らかのタイミングで食べられなかったとする。そうするとそのお菓子はデスクの上に放置され、いつしか消費期限も切れる。きっと本人も食べる意思があったのだろうし、消費期限が切れた認識も少なからずあるんだと思う。でももう用をなさないそれを男は捨てない。
いや捨てられないのだ。

子どもの頃は親が定期的にカバンや部屋をチェックして、整理整頓もしてくれたりして問題は大きくならなかっただろう。しかし成長するにつれて自立を求められ、自己管理という能力が問われる。しかし本人に変わろうというきっかけや強い意思が芽生えない限り、性質に大きく由来するこの「捨てる」という能力はなかなか身につかないものである。

■優しさゆえに捨てられない。つまり…


捨てられない男というのはだらしないと言ってしまえば、その通りなのだが、その優しさゆえに捨てられない側面もある。そして10年に1度の可能性ではあっても「捨てなくてよかった!」という経験が少なからずあったりする。私自身、数年前のプロジェクトの企画書を当時一緒に働いていた男が捨てずにいたおかげで、参考にできた経験がある。(その節はありがとうございました。本当に助かりました!)

他人の役に立ったり、喜ばれた経験は成功体験として心に残るものだ。
愛されたい、喜ばれたいという感情は人を社交的にし、他者への共感力や思いやる気持ちを育んでいく。捨てられない男の部屋には妹の修学旅行のお土産から、祖父母から持たされた数年前のお守りまであらゆるもので溢れている。自分を思ってしてくれたこと、そんな思いを感じて捨てられないのである。だからこそだらしない割には誕生日や記念日は忙しくて会えなくても電話やメールを欠かさないという一面もある。パッと割り切って捨てられない性質ゆえに、頼まれごとも多く断れないし、程よい手抜きもできない生真面目さと優柔不断さを兼ね備えた男でもあるのだ。

「本当にだらしないんだからー」と言いながら、あなたが片付けをすることがイヤでなければ、案外いいかもしれない。そのうちあなたは男に気づかれないうちに、そっと捨てる技術も身につけてしまうかもしれない。そして捨てられない男がゆえ、あなたのことも簡単に捨てたりしない。自分が許されている分、他者も許す度量の大きさがある男が多い。
ただ一つ気をつけて欲しいのは、過去の女も捨てきれないという弱さもあるということである。

ライタープロフィール


緒田茉莉
1997年 小室哲哉の計らいにより作詞家デビュー。華原朋美をはじめとする多くのアーティストに作品に参加する。活動は作詞提供のみにとどまらず、エッセイ執筆やスペシャリストのプロデュースなど多岐にわたる。

近年の参加作品:
チャン・グンソク「抱きしめたい/ボクノネガイゴト」(2016/12/14リリース) 
チャン・グンソク「Darling Darling/渇いたkiss」
KARA「Girl’s Story」
KARA「サマー☆ジック/Sunshine Miracle/SUNNY DAYS」 ほか
Twitter:@odamarinda

webサイト:アルデンテ・エンターテインメント