現代とは違うエネルギーに満ちた昭和への憧れ



――オリジナルの舞台が発表されたのは1985年（昭和60年）。間宮さん自身は平成生まれで、昭和の時代は体感や記憶としてはまったくないと思いますが、どんなイメージをお持ちですか？

昭和とひとことで言っても長いですよね。僕の祖父はまさに昭和を生き抜いた世代だし、両親は50代です。「激動」と僕が勝手に言えることではないですが、いろんなことがあって、成長も知っているし衰退も見てきて、肌であの時代を感じながら生きてきた人たちは、僕らとはどこか違うんだなというのは感じますね。




――あの時代を生きたからこその価値観やたくましさを持っている。

強さがありますよね。いまの若者にはないハングリー精神というか。僕らは「ナンバーワンよりオンリーワン」「個性を伸ばせ」という方向で育ってきた世代。祖父たちは「一番じゃなきゃ認めてもらえない」という思いで生きてきた。そのエネルギーで作られたものってやはりすごいし、ヌルッと育ってきた僕らはこれからどうなるんだ？ と思うことはあります。やっぱり根性が違うなと…。

――「根性」という言葉自体、久々に耳にしました（笑）。

根性！ 気合！ 男気！（笑）僕自身はそういう昭和くささが嫌いじゃないです。「男くさい」ともよく言われますしね。

――時代ごとの変化という意味では、スマホの普及によって、ファンや視聴者との距離も以前とは大きく変わったかと。間宮さんはTwitterをされてますね？

面白いと思うのは、リアルタイムで反応を感じられるところですね。昔で言うところのファンレターが、いまのSNSなんでしょうけど、特にTwitterは反応が返ってくるのが早い！ ドラマの放送中にシーンごとに感想のコメントが送られてきますから。

――普段からそうした声はよくチェックされてるんですか？

「こんなところを見てるんだ？」と勉強になります。一方的に発信するだけでない、相互性が面白いですね。それはファンとの交流だけでなく、たとえば好きなミュージシャンについてツイートしたら、ご本人から「ありがとう！ ライブに来てよ」と返事をいただいて、それがきっかけで飲みに行くようになったこともあって。楽しみながら使っています。

先輩・小栗旬さんの世代に「追いつきたい！」






――俳優としては自分たちの世代はどういう世代だと思いますか？ この映画で共演した面々を含め、いま20代前半の世代は「豊作」と言われることも多いかと…

「層が厚い」「色がバラけていて個性が光ってる」「面白い世代だ」と言っていただけることが多くてありがたいですね。横のつながりがあるというか、互いに共演経験も多いので仲が良いのは確かです。あとは真面目だと思います。僕がではなく（笑）、世代として。演技への向き合い方もプライベートも。

――それは良くも悪くも？

事務所の先輩である小栗旬さんと、まさに世代についてお話させていただいたことがあるんです。旬さんたちも「あの世代」と言われてきたじゃないですか。僕自身、すごく気になっていたことがあって…。

――小栗さんたちの世代に関して？

あの世代のみなさんが共演している作品――例えば『クローズ ZERO』シリーズとか見ると、ヒリヒリ、バチバチした感じが伝わってくる。あれは絶対、芝居としてにらみ合っているだけじゃ出ないもので「役者としてもこいつに負けねー！」って思いがにじみ出てる。それこそナンバーワンになろうとして、ぶつかり合って勝負してるんです。



――だからこそ、痛みや切なさ、疾走感が伝わってくるんですね。

「僕らの年齢のころってどうでしたか？」と聞いたら、若いときは芝居の話をしていて、言い合いになったりケンカになったこともあったと。僕ら、それがないんですよ。そもそも、他人の芝居に口を出すヤツがいない。「今回の芝居、よかったよ」とは言っても「お前、酷かったよ」とか「つまんなかった」なんて言わないですから。

――それぞれの個性を尊重し、「多様性」を認め合う時代ですからね。

相手がどうのってより、自分が役と真摯に向き合う。「他人のことよりも自分のことでしょ」と育てられてきて、それが染みついてるから仕方ない部分もあるし、正論でもあるんですが…。

――クリエイティブの現場としては物足りなくも感じる？ 小栗さんたちの世代のようなヒリヒリ感に憧れる部分もあるんでしょうか？

僕自身は、何をやるにも一番になりたいし、「負けたくない！」という気持ちもすごく強いです。年上の人たちと一緒にいる機会が多かったので、「上のレベルの人たちに何とか追いついて、勝負したい」という気持ちが自然に芽生えてくるんでしょうね。

――同世代だけでなく、年上の世代に刺激され、伸ばされていく部分が大きいんですね。

やはり、小栗さんたちの世代を下から見てきたのはすごく大きいですね。ぶつかり合って、互いに高みに登っていく感じ。「お前が80点なら、オレは次で90点獲ってやる！」という、売り言葉に買い言葉で切磋琢磨してる。それは結果的にそうなってるだけで「みんな、切磋琢磨して頑張りましょう」っていうのとも違う。そういう関係が、ちょっとうらやましくもあります。



【プロフィール】
間宮 祥太朗（まみや･しょうたろう）／1993年6月11日生まれ。神奈川県横浜市出身。O型。『スクラップ･ティーチャー〜教師再生』（日本テレビ）で俳優デビュー。ドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン☆パラダイス〜2011』（フジテレビ）、『弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜』（日本テレビ）、『水球ヤンキース』（フジテレビ）、『学校のカイダン』（日本テレビ）、映画『希望の国』などに出演。現在、主演ドラマ『ニーチェ先生』（読売テレビ）が放送中。2016年は『ライチ☆光クラブ』に加え、『高台家の人々』の公開も控える。
【Twitter】@shotaro_mamiya

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