テレビの薄型・大型化が進む中で、液晶とプラズマの競合も激化し、「次世代ディスプレイ」SED(表面伝導型電子放出素子ディスプレイ)の参入も確実と言われているフラットパネルディスプレイ(FPD)市場。東京都江東区の東京ビッグサイトで開催中の「第1回国際フラットパネルディスプレイ展」にも、液晶、プラズマ、SEDの新製品が出展されている。それぞれの特長や利点は何か。各FPDメーカーのスタッフに話を聞いてみた。

 液晶ディスプレイ(LCD)製品を出展するNECでは、液晶の強みを「コスト面で抜きん出ていること」と話す。LCDは生産規模が大きく量産体制が確立されているため、販売価格を抑えることが可能。同社では汎用モニターではなく、放送・映像・医療用などに特化した製品開発を進めており、オリジナル画像の色彩を重要視するプロユースのニッチマーケットを見据えているという。

 一方、プラズマディスプレイ(PDP)は「大型化しやすいこと」が武器。液晶と比較しても大型化にコストをかけずにすむので、32インチ以下のテレビは液晶、37インチ以上ではプラズマといった棲み分けの傾向もある。パナソニックは今年5月に販売開始予定のハイビジョンプラズマテレビを出展。フィルターを改善し、コントラストのはっきりした映像を実現したという。「動画の鮮度を高め、視野角を広げた。消費電力も抑えられた」と担当者は説明する。

 「21世紀の本物の高画質はこれにある」と自信を見せるのは、SEDを出展した東芝のスタッフだ。「ブラウン管テレビが実現していた高画質を、いかにFPDでも再現するか」を考え、99年からSEDの研究・開発に着手。暗コントラストを10万対1まで引き上げることに成功した。暗所でも黒色が引き立ち、液晶やプラズマに比べ、ぼけもない。今年8月にはパネル量産を開始する予定だ。「07年の本格量産が目標です。ここからが本当の勝負ですね」。

 ブラウン管テレビに代わって台頭してきた薄型テレビは、省スペース・軽量で人気を集め、電子情報技術産業協会(JEITA)によると、04年のテレビ市場では、金額ベースでブラウン管テレビを抜き、出荷台数では全体の約35%を占めている。06年には日本全域でデジタル放送が開始され、サッカーワールドカップドイツ大会、北京五輪などのイベントも目白押しだ。11年のアナログ放送終了の影響もあり、一般消費者のテレビ買い替えが進むのは必至で、今後もFPD市場のシェア争いに拍車がかかると見られている。【了】