勝点12なら、日本はサモア戦とアメリカ戦で「2勝+ボーナスポイント1」を得れば上回ることができます。こちらも「サモア戦かアメリカ戦かどちらかで4トライ以上をあげて2連勝する」が目指すべき現実的なラインであり、それならばサモア戦で強引にトライを狙うよりも、より勝ちやすいであろうアメリカ戦でボーナスポイントを狙うほうが適切でしょう。

つまり、サモア戦が勝点4でも勝点5でも大差なかったのです。

実際には南アフリカVSスコットランド戦は両者ともボーナスポイントナシで南アフリカが勝ちました。南アフリカは2勝1敗の勝点11、スコットランドは2勝1敗の勝点10という状態でプールBの最終戦に臨みます。南アフリカとスコットランドがどちらも勝てばどうやってもダメですが、どちらかが引き分け以下なら(※「4トライ以上をあげて引き分け」というレアケースが起こらない限り)、「日本が4トライ以上あげて勝つ」ことでベスト8進出となります。


<ライバルの結果ごとの、日本がベスト8に進出するための条件>

●次の試合で南アフリカとスコットランドがどちらも勝つ
⇒可能性ナシ

●次の試合で南アフリカかスコットランドかどちらかが引き分け
⇒その引き分けが4トライ以上してのものなら可能性ナシ
⇒4トライしない引き分けなら「日本が4トライしての勝ち」でベスト8

●次の試合で南アフリカかスコットランドかどちらかが負ける
⇒「日本が4トライしての勝ち」なら必ずベスト8
⇒その負けが「4トライ以上」「7点差以内」の片方だけを満たしたもの(ボーナスポイント1)ならば、「日本が勝ち」でベスト8
⇒その負けが「4トライ以上」「7点差以内」の両方を満たさないもの(ボーナスポイントナシ)ならば、「日本が4トライしての引き分け」もしくは「日本が勝ち」でベスト8

※日本が「4トライしない引き分け(勝点2)」「負け(勝点0〜2)」の場合は、相手がどうなっても可能性ナシ


一番あり得そうなのは「スコットランドがサモアに負けるor分ける」というケース。サモアに頑張ってもらうことが、日本がベスト8に進むための大きなポイントとなります。サモアの頑張りを考えたとき、日本VSサモア戦で日本が4トライを取らなかったことは、むしろプラスに働きます。

この試合を終えての日本とサモアの勝点差が4なので、サモアは「日本が次戦で勝点0、自分たちが勝点5」なら日本を抜いて3位に入ることができます。この3位というのが重要で、もし3位に入れば、次回大会の予選が免除されるシード国となるのです。日本が4トライをしていれば、サモアの4位以下が確定していましたので、モチベーションの差は雲泥のはず。サモア戦で4トライしなかったことで、むしろ日本がベスト8に進む可能性は大きくなったとさえ言えるのです。

ここまで先の展開を見据えた上で、「サモア戦で頑張ってもしゃーない」という計算をしていたのだとしたら、日本代表のしたたかさというのは相当なものです。南アフリカ戦では勝利のためにギャンブルをし、サモア戦では冷静な計算で手堅く戦う。攻めるときと引くときの絶妙なさじ加減。ボーナスポイントで一喜一憂していたコチラが恥ずかしくなってきます。ラグビー日本代表、プレーだけでなく頭も冴えていますね。

(文=フモフモ編集長 http://blog.livedoor.jp/vitaminw/)