【試合内容】
闘莉王を3年ぶりのFWに据え、フォーメーションを4バックに変える大胆策に出た名古屋が賭けに勝った。序盤から闘莉王が安定したポストプレーでチームを牽引すると、竹内、牟田が指揮した最終ラインも積極的にプッシュアップし攻撃をサポートした。
 
35分にセットプレーから闘莉王が押し込み先制すると、53分にも闘莉王のプレスバックから奪ったボールを磯村、闘莉王とつないで最後は小川が流し込んだ。神戸はスピード系のFWを並べて名古屋の裏を狙ったが、アグレッシブな名古屋のDF陣に阻まれ枠内シュートはわずか1本。充実の内容で名古屋がリーグ5試合ぶりの勝利を手にした。
 
【J1採点&寸評】全9試合の評価をチェック!

【チーム採点】
名古屋 6.5
闘莉王をFWに上げた利点を最大限に活かし、守備陣もアグレッシブに戦った。主導権を渡すことなく2得点は素晴らしい出来。
 
神戸 5
FWのタイプが似通ったためか、バリエーションに欠けた攻撃に怖さがなかった。守備陣は粘っていただけに、残念な内容に。
 
【名古屋 | 採点・寸評】
GK
1 楢粼正剛 6.5
枠内シュートがほとんどなかった展開で、至近距離での相手の決定機をきっちりビッグセーブ。試合を締める別格の存在感。
 
DF
19 矢野 貴章 6
前半の序盤はやや守備に迷いが見られたが、小川と役割分担を明確にした後は安定した守備を披露。この日は攻撃ではなく守備で貢献した。
 
3 牟田 雄祐 6 
スピードを活かしたプッシュアップと、シンプルな守備でチームにリズムをもたらした。カバーリングの意識も高く、安定感あるプレー。
 
2 竹内 彬 6.5
闘莉王不在の最終ラインをきっちり統率し、先制点のきっかけとなるトリッキーなシュートまで。守備のMVPは間違いなくこの男。
 
6 本多 勇喜 6.5
対人プレーの強さをいかんなく発揮し、相手のスピードを完全に封殺した。4バックのSBとしても安定したパフォーマンス。
 
MF
10 小川 佳純 7
右サイドで柔軟な守備対応を見せ、ディフェンスの安定に貢献。そこからの積極的な攻撃参加で後半に追加点を挙げる活躍を見せた。
 
13 磯村 亮太 6.5
守備での圧力に攻撃面でのパス能力と、これぞボランチという動きで中盤を支え続けた。次節が出場停止なのが惜しいほどの出来。
 
7 田口 泰士 6.5
パスの中継地として広範囲に動き回り、セットプレーのキッカーとしてもチャンスを連発。持ち前の守備の強さも存分に見せ、中盤の支配者となった。
 
20 矢田 旭 6
慣れ親しんだサイドハーフのポジションで、サイドでの突破や中央でのコンビネーションなど、多彩な動きで攻撃にアクセントをつけた。
 
FW
9 野田 隆之介 6
試合ごとに運動量も上がっている印象で、ポストプレーと時折見せるドリブル突破で攻撃に変化をつける役割をこなした。
 
4 田中マルクス闘莉王 7.5
出色のポストプレーと1得点・1アシストのハイレベルな攻撃力。底なしのサッカーセンスを感じさせるプレーは驚嘆しかなかった。
 
交代出場
32 川又堅碁 5.5
ブロックされたがようやくシュートは打った。闘莉王との相性は悪くないだけに、連係を磨けば本来の動きは取り戻せるはず。
 
14 田鍋 陵太 ―
試合終盤に投入され、果敢な突破で見せ場も作った。出場時間は少なかったが、 きっちりと役割は果たした。
 
監督
西野 朗 6.5
4バックとFW闘莉王は大成功に近い成果を得た。この1試合に限れば采配はドンピシャ。あとは継続できるかが課題になる。
【神戸 | 採点・寸評】
GK
22 山本 海人 5.5
2失点はノーチャンスも守備陣のまとめ役としての存在感が足りなかった印象。身体を張った守備でチームは鼓舞したが。
 
DF
25 奥井 諒 5
左に比べて攻撃への参加回数も少なく、対面の相手に主導権を握られっぱなしの90分だった。
 
5 岩波 拓也 5.5
空中戦では存在感を示し、ロングキックの飛距離でも驚かせたが失点を抑えることはできなかった。能力の高さは垣間見せるも苦戦。
 
4 北本 久仁衛 6
闘莉王を相手に果敢に挑み、空中戦でも五分以上に渡り合う活躍。守備陣のリーダーとしてチームを牽引したが、無念の敗戦。
 
8 高橋 祥平 5
対応が後手に回って空回りの印象。時折見せるカバーリングでは鋭い動きを見せるも、失点を食い止めることはできず。
 
3 相馬 崇人 5.5
果敢なオーバーラップで重要な攻め手のひとつに。クロスでチャンスを作るも得点にはつながらなかった。
  
MF
16 チョン ウヨン 5.5
切り替えの速い展開の中で攻守ともに後れを取ることが多く、本来の存在はなかった。攻撃面での貢献度も今ひとつ。
 
10 森岡 亮太 5
ボールタッチ、周囲を活かすゲームメイクと本来とは程遠いプレーに終始。57分での途中交代もやむなしの出来か。
 
20 増山 朝陽 5.5
持ち前の突破力を見せたいところだったがドリブルはほぼ完封。前半には決定機もあったが、これを決めていれば試合も変わっていた。
 
7 ペドロ・ジュニオール 5
ボールを触る回数も少なく、引き出す動きも気迫。馬力のあるドリブル突破も見せたが効果的にチームに活かすことはできなかった。
 
FW
9 石津 大介 5
シャドーの位置からチャンスメークを試みたが、ボールにあまり触れず存在感もあまり出せなかった。
 
交代出場
MF
24 三原 雅俊 5
ボランチに入り流れを変えたかったが、相手のプレスの前にテンションでも後れを取った。
 
FW
29 田代 容輔 5
スピードを活かした突破で驚かせる場面もあったが、決定的な働きができなかった。
 
監督
ネルシーニョ 5
序盤から後手に回るチームをうまく導けず。交代策も実らずに完封負けし、これでリーグ戦では3連敗。

取材・文:今井雄一朗(スポーツライター)

※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を平均とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。