「今の仕事は自分に合っているの?」や、「この先どんな仕事をしてキャリアを積んでいったらいいのかしら…」とか、働いていると誰しも、こんな風にキャリアについて悩むことがあるもの。

そんなとき、「偉業を成し遂げた女性が、人生の挫折をどう乗り越えたのかを知ると、キャリアを考える視点が変わります」と人材育成やスキルアップのセミナー講師などで活躍する新井淳子さんは話す。

そこで、働く女性ならぜひ知っておきたい、キャリアに迷ったときに新しい視点を与えてくれる、20世紀に世界的な人気を誇った2人の女性の言葉を紹介しよう。◆オードリー・ヘップバーン「自分を客観的に見なくてはなりません。自分を一種の道具とみなして、なにをすべきか決めるのです」

絶大な人気を誇った映画女優、オードリー・ヘップバーン(1929-1993)。彼女のもともとの夢は女優ではなく、バレリーナだった。しかし、オードリーは戦時中に十分な栄養を摂れずに筋肉が発達しなかったうえ、背が高すぎて当時の男性バレリーナとつり合いが取れなかったため、20歳でプリマ・バレリーナにはなれないと宣告されてしまう。バレリーナになることを断念したオードリーは、生活費を稼ぐためにミュージカル出演やモデル活動などをはじめた。

「オードリーの強みは、『戦争さえなければプリマになれたのに』と不遇を言い訳にせず、つらい経験やコンプレックスを新しいキャリアにつなげる“自分を客観視する力”。モデルの仕事を得るために、自分の体型的な短所を隠し、自分の長所を引き立てる術を熱心に研究したそうです。その結果、彼女の卓越した着こなしのセンスを身につけ、世界中の女性の憧れの的となりました。オードリーの言葉は、自分を客観視することで、自分でも意識しなかった道を見つけ出すことができると教えてくれます」(同)

◆ダイアナ元英国皇太子妃「私は人々の心の王妃でありたい」

わずか20歳のときにチャールズ英国皇太子と結婚したダイアナ(1961-1997)。しかし皇太子から十分に愛されることがなく、ダイアナは愛情に飢えていた。さらに皇太子とカミラ夫人の不倫問題が追い打ちに。結婚11年後の1992年から2人は別居し、ダイアナは慈善事業に力を入れるようになる。この言葉は、1995年にBBCのインタビュー番組で、「国の王妃になりたいか?」という質問に対しての回答。

「ダイアナにとってなによりも大事だったのは、ひとりの女性として愛情を注ぐことや注がれることでした。だからチャールズには愛されなくても、国民に愛される女性でありたいと望んだのでしょう。ダイアナのように自分にとって人生で大事なものはなにかを理解して、それを得るためにどう生きるかを必死に探すことも、キャリアを作っていく方法のひとつ。キャリアについて迷うときは、彼女のように、仕事以外の大切なことに目を向けてみるのもいいでしょう」(同)

キャリアに迷ったときは、オードリーやダイアナの言葉を思い出して、自分自身と向き合ってみよう。そして、自分が本当にしたいことを見つけたら、新たな一歩を踏み出して。

新井淳子
オフィスフローラン代表。日本プレゼンテーション協会認定講師、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー。職場の課題発掘と人材育成、モチベーションアップなどを図るコンサルティングやセミナー開催などを行い、スキルアップのサポート役として多方面で活躍中。