理研は小保方さんの告訴を見送ったが……

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 3月22日に放送された『Mr.サンデー』(フジテレビ系)による野々村竜太郎元兵庫県議への行き過ぎた取材は、ネットを中心に大きな批判の声があがった。一方、同じフジテレビは、STAP細胞問題事件で渦中の人となった小保方晴子元研究員にも食指を伸ばしているという情報をキャッチした。

 小保方晴子さんの動向を追跡している週刊誌記者によると、「野々村元兵庫県議のような直撃取材ではなく、バラエティ番組のMCやコメンテーターに起用しようという動きがあったようです」と語る。

 事実、フジテレビのある番組の制作を請け負っている制作会社社員は、「フジテレビから『オボちゃんで番組を作ったら数字取れるだろうか』と話題に上ったことはある」と、小保方さんの起用計画があったことを匂わせた。

 フジテレビ以外の在京キー局もこうした動きに同調するかのように小保方さんの番組起用に水面下で動きをみせている。TBSの番組制作を主に請け負っている制作会社社員も、「野々村元兵庫県議と違い、小保方さんは犯罪を犯したわけではない。なので番組への起用は十分有り得る話だ」と話す。

某宗教系大学の教授招聘計画もあった!?

 だが、ここにきてこうした在京キー局の動きに変化が表れてきた。TBS関係者は、「フジの『Mr.サンデー』のオン・エアーで在京キー局の番組制作モラルが問われるようになった。今、小保方さんの番組起用は得策ではない」とその局内の形勢が変わってきたことを暗に認めた。

 とはいえ、小保方さんへのマスコミ登場を望む声は大手マスコミの間では根強い。とりわけネットの台頭で広告収入が減少しているテレビ局ほどその傾向が顕著だ。大手広告会社・電通の「日本の広告費」によると、2000年のテレビ局の広告費は約2兆円だったが、2007年に2兆円を切り、現在は1兆7000億円と横ばいの状況が続いている。

「テレビ局は数字が命。これは昔も今も変わらない。だが昔は番組制作にも質が求められた。しかし今は違う。制作会社に丸投げ。制作会社側の企画を見て“数字取れそう”と思えば安易にゴーサインを出す。もし何か問題が起きたとしても、いざとなれば制作会社を切ればいい。そういう発想」(TBS関係者)

『Mr.サンデー』による野々村竜太郎元兵庫県議への行き過ぎた取材も、フジ局内では、「制作会社の責任」(フジテレビ関係者)という捉え方だという。

 広告収入増を目的とする視聴率狙いで奇をてらった番組制作が在京キー局では加速化しつつあるなか、大きな視聴率が見込めると踏んだ野々村竜太郎元兵庫県議取材のオン・エアーにより、ドル箱と目された“オボちゃん”の番組起用が潰えたというのは何とも皮肉な話だ。

 テレビ局以外でも、某宗教系大学が教授に招聘する計画もあったという。小保方さん本人は、渡米してフリーの研究者になるとの話もある。果たして、彼女はテレビ局のこうした動きに関して何を考えているのだろうか。メディアの前で語ってほしいところではある。

(取材・文/川村洋)