籾井会長のハイヤー問題で揺れるNHK

写真拡大

 NHKが揺れている。

 何かと問題発言の多い籾井勝人会長が、私的なゴルフで使用したハイヤー代をNHKに請求していたことが発覚。批判が出てから料金を支払ったようだが、監査委員会(注1)は、以下のようにNHK経営委員会に報告したという。

「受信料で成り立つNHKにとって公私の区別は極めて重要」

 だが、そのお題目に反してNHKの金銭感覚がおかしいことは、多少なりとも付き合いのある人間なら分かるはず。報道にしろドラマにしろ、番組制作費が民放の数倍なのは、まだ「質の高い番組製作のため(注2)」と理解できる。だが……。

「すごい家だね。持ち家じゃないの? じゃあ家賃数十万円はするだろ?」

 都内有数の高級住宅地にある友人Q君の自宅に招かれ、思わず下世話なことを口走ってしまったのは大学生時代の筆者。しかしQ君は涼しい顔。

「俺の親父NHKで、ここは社宅。家賃なんてタダみたいなもんだよ」

 こうしたNHKの借り上げ社宅が都内だけでも数多あり、職員は相場の10〜20%で住むことができる。2012年度のNHK職員の平均年収が1185万円と指摘されて(注3)衝撃を呼んだが、こうした住宅補助等の福利厚生、保険料の援助、さまざまに手厚い手当などを加えると、1780万円まで跳ね上がるという。これはもう完全に特権階級、つまり「貴族」だ。となると当然、既得権を世襲させようとする。

 再びQ君と筆者の大学時代の会話。4年生となり、就職活動真っ盛りの頃だ。

「Qは就職どうするんだよ?」
「あ、俺はNHKで決まっているし、勤務地も希望通りになる」
「おまえの親父がNHKなのは聞いたけど、そこまでワガママが通るのか?」
「だって俺の親父、NHK労組委員長だもん」

莫大な受信料とNHK職員の高待遇……

 さすがにこれらは古い例なので、最近の話を。こちらも就職活動中の女子大生がNHKを受験。横柄な態度だった面接官が、彼女の名前と履歴書を見て急に慌てだした。

「〇〇さんって…もしかして〇〇局長のお嬢さん? ですか?」

 Q君と違い、彼女は幹部職員である父親の名前を出さずに受験していた。途端、面接官が敬語を使いだしたので、呆れてしまったという。

 莫大な受信料を、職員の高待遇と公私混同した用途に使う。さらに社屋建替え資金3400億円という常軌を逸した金額(注4)の捻出のためか、テレビ受像機の有無と関係なく、全国民からの受信料徴収の野望を隠さない。上ばかり見るヒラメ職員が横行し、既得権を世襲させようとする。……公共放送というのもおこがましい。放送で偉そうに政権批判を繰り返す前に、まず徹底的な浄化と自己反省が必要だろう。

 ある有名女子アナウンサーは公然と司会や講演といったバイトにいそしみ、旧知の筆者にこう言ってのけた。

「NHKの給料なんて手をつけないで暮らしていける。お金貯まるわよ」

 もはや実態に則してキャッチフレーズは変えるべき。<みなさまのNHK>ではなく、<NHKのために国民のみなさま働け>と。

(注1)監査委…経営委員3人で構成。NHK役員らの職務執行を監査。
(注2)質の高い番組製作…現在、報道番組「クローズアップ現代」のヤラセ問題が噴出中。
(注3)好待遇を指摘…小田桐誠著「NHKはなぜ金持ちなのか?」
(注4)常軌を逸した建設費…東京スカイツリーの総工費は650億円。

著者プロフィール

コンテンツプロデューサー

田中ねぃ

東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。DMMニュースではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ