「専業主婦になりたい女たち」が知るべき4つのこと
女性の社会進出が叫ばれ、さらには経済不況の最中にありながらも、専業主婦に憧れる“隠れ専業主婦願望”を持つ若い女性が後を絶たないといいます。そんな現状に警鐘を鳴らしているのが、ジャーナリストで作家の白河桃子さん。白河さんは結婚や子育てを望む女性にこそ“働き続けることが大切”で“結婚だけではもう食べられない”ことを知ってほしいといいます。
著書『専業主婦になりたい女たち』(ポプラ社)の中で、白河さんが専業主婦を望むことのリスクについての深い考察がありますが、今回はその中から主な4つのリスクについてご紹介していきましょう。
■専業主婦を望むことのリスク1「専業主婦の幸せは夫次第である」
人がうらやむような専業主婦ライフを送っている人に取材をしてみると、その幸せの根底にあるのは、やさしく理解ある夫の存在であることがわかったといいます。家事や子育てにも協力的で、浮気もせずマジメで優しく、「俺が食わせてやってるんだぞ」という亭主関白タイプではない男性を夫に持つことが専業主婦の幸せの条件なのだとか。逆に言えば、いくら夫に稼ぎがあったとしても、やさしさのない夫では不幸になってしまうことが考えられます。自分の幸せは自分でつかむことができず、夫の資質に左右されてしまうことから、専業主婦という選択肢はリスクがあると言えるのです。
■専業主婦を望むことのリスク2「男の養いたい願望はファンタジーである」
20代独身男子の座談会で彼らの結婚観を探ってみたところ、多くの男性は妻が専業主婦になることを望んでいました。しかし女性が望む専業主婦像である「夫の年収が600万円以上あったら仕事を辞めて専業主婦になりたい」という現実を突きつけたところ、「奥さんにはゆるく働いてほしい」「自分よりは稼がない程度に稼いでほしい」「お小遣い制はいや」「転勤になったらついてきてほしい」などという意見に変化。つまり男性の根底には「妻を専業主婦として養いたい」願望はあるものの、その多くは現実味がなくファンタジーであるので、真に受けないほうがよいということがわかります。
■専業主婦を望むことのリスク3「専業主婦の復職は厳しいものがある」
日本の子育て女性たちは、1回離職して専業主婦になると、なかなか正社員の職にはつけないため年収も回復せず、ほとんどが年収100万円前後のパート主婦になるという現実があります。それは一度専業主婦となったために、家族にとって「主婦」の立場のまま復職しようとするので、時間的制約が生じてしまうからです。
■専業主婦を望むことのリスク4「専業主婦が女性の貧困につながっている」
離婚や夫のリストラ、給与カットいった結婚後のリスクに直面した際、専業主婦であることでこれらに対処することが非常に困難となり、貧困に窮してしまう恐れが高いといえます。そして何よりも大きな専業主婦のリスクは老後です。現在65才以上の単身で暮らす女性の2人に1人が貧困なのだといいます。専業主婦である彼女たちの夫が亡くなったり、または離婚した後、簡単に貧困になってしまうのだとか。戦後の専業主婦システムは「貧困女性」を量産する恐ろしいシステムなのだと考えられるのです。
そのほかにも、専業主婦をめざすことで婚期が遅れたり、少子化につながるという危険性を白河さんは説いていますが、単に厳しい現実を突き付けて恐怖をあおっているわけではありません。
現在女性の真の幸せのつかみ方、そして働き方を具体的に指南してくれる著書『専業主婦になりたい女たち』は、働く女性にとってこれ以上ない叱咤激励となるでしょう。
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(文=吉田奈美/ 恋愛ユニバーシティ)
◇プロフィール吉田奈美 / 恋愛ユニバーシティ フリーランスライターフリーランスライター。女性誌を中心に、タレントインタビュー、恋愛企画、読み物企画、旅企画、料理企画などを担当。また書籍の企画・構成も行っている。B級裁判や恋愛にまつわる裁判傍聴ライターとしても活動しており、『恋愛saiban傍聴記』(主婦の友社)を出版。フジテレビ『ホンマでっか!? TV』、テレビ東京『暴露ナイト』、関西テレビ『今週のスポットライト』、BSスカパー『ダラケ!』等、テレビ出演も。