2015年クラシック候補たち
■第6回:ダノンプラチナ

 昨年末のGI朝日杯フューチュリティS(以下、朝日杯FS。2014年12月21日/阪神・芝1600m)を制し、"2歳チャンピオン"となったダノンプラチナ(牡3歳/父ディープインパクト)。同馬は、GIIスプリングS(3月22/中山・芝1800m)で始動し、3歳牡馬クラシック第1弾の皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)に向かう。

 ダノンプラチナがデビューしたのは、昨夏の2歳新馬(2014年9月6日/札幌・芝1500m)。同レースでは、前がゴチャつく不利を受けて2着に敗れたものの、続く2歳未勝利(2014年10月13日/東京・芝1600m)は、後続を4馬身突き放す圧勝劇を演じた。さらに、クラスが上がったベゴニア賞(2014年11月30日/東京・芝1600m)でも、再び3馬身差で完勝した。

 そして迎えた朝日杯FS。トリッキーな中山競馬場から阪神競馬場に舞台を移したことで、例年以上に豪華なメンバーが集結。ブライトエンブレム(牡3歳/父ネオユニヴァース)をはじめ、クラリティスカイ(牡3歳/父クロフネ)、タガノエスプレッソ(牡3歳/父ブラックタイド)など、重賞馬がズラリと顔をそろえた。

 そんな状況にありながら、一番人気に推されたのは、重賞初挑戦のダノンプラチナだった。同馬が高い支持を得たのは、毎年クラシック候補を輩出しているディープインパクト産駒ということ、そして連勝のパフォーマンスが際立っていたことが理由だろう。

 レースがスタートすると、ダノンプラチナはそれまでの先行策から一転して、後方待機の競馬を試みた。レース後、鞍上の蛯名正義騎手が「意識的に前へは行かなかった」と話したとおり、最後の直線まで後方でじっと我慢。そして、直線に入って仕掛けると、ダノンプラチナは大外から一気に突き抜けた。"末脚"という新たな武器を身につけて、3連勝でGI制覇を決めたのである。

 ダノンプラチナを管理する美浦トレセン(茨城県)・国枝栄厩舎のスタッフは、これまでの戦いを振り返って「レースを使いながら成長してきた」と語ったという。その詳細を、関東競馬専門誌のトラックマンが伝える。

「昨夏のデビューの時点では、『まだトモ(後肢の付け根)に緩さがあり、成長途上』という声がスタッフから聞かれました。しかし、2戦目のあたりからトモがパンとしてきたようで、徐々に陣営の評価が上がってきていました。実際、3連勝の内容もレースごとによくなっていましたよね。

 朝日杯FSを勝ったあとは、放牧に出して、2月に厩舎に戻ってきました。『前は馬房でイライラすることがあったけど、帰ってきてからは落ち着いている』とのこと。ダノンプラチナは、精神的にも成長しているみたいですよ」

 全4戦で手綱をとってきた蛯名騎手も、これまで何度か、ダノンプラチナの「テンションの高さ」を指摘していた。その課題が解消されたとなれば、今後に向けてますます期待が膨らむ。

 ただ、ダノンプラチナには、精神面以上に気になる問題がある。距離適性だ。3連勝を飾ったレースはすべてマイル(1600m)戦。2000mの皐月賞でも、同様の能力が発揮できるのか、一抹の不安が残る。が、陣営からは「距離延長にも対応できそう」との声が聞こえるという。前述のトラックマンが説明する。

「陣営としては、これまでの感触から『2000mの皐月賞まではこなせる』という手応えを得ているようです。それでも、その先の日本ダービー(5月31日/東京・芝2400m)については慎重な様子。『スプリングSや皐月賞でのレースぶりを見てから決めたい』と話しています。もしそれらのレースで、ゴール前で脚が鈍ったり、スタミナ面で苦しそうな様子を見せたりすれば、無理せずにNHKマイルC(5月10日/東京・芝1600m)へと進む選択肢もあるみたいですよ。もちろん、何ら問題がなければ、ダービー参戦ということになるでしょう」

 GIの勲章を得たあと、満を持して春のクラシック戦線に臨むダノンプラチナ。距離延長だけでなく、強力なライバルたちが台頭する中、"2歳王者"として変わらぬ強さを見せることができるのか。まずは、復帰戦となるスプリングSを注視したい。

河合力●文 text by Kawai Chikara