2015年3歳クラシック
■Sportivaオリジナル番付(第2回:牡馬編)

 3月8日、皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)トライアルの第1弾となる弥生賞(中山・芝2000m)が行なわれた。

 例年、直近の皐月賞だけでなく、その後の日本ダービー(東京・芝2400m)を含めた、春の牡馬クラシックに直結する一戦として、注目を集めている同レース。昨年は、勝ったトゥザワールドが皐月賞で2着となり、2着のワンアンドオンリーがダービーを制し、その注目度はますます増している。

 そして今年も、無敗の重賞ウイナー2頭を含む、7頭もの重賞勝ち馬が出走。本番の行方を占う、重要な位置づけのレースになると目されていた。

 そんな中、レースを制したのは、2戦2勝で臨んだ2番人気のサトノクラウン(牡3歳/父マルジュ)。3戦無敗でクラシックに駒を進めることとなった。以下、札幌2歳S(9月6日/札幌・芝1800m)の勝ち馬ブライトエンブレム(牡3歳/父ネオユニヴァース)が2着、デイリー杯2歳S(11月15日/京都・芝1600m)を制したダガノエスプレッソ(牡3歳/父ブラックタイド)が3着に入った。

 一方、1番人気に推されたもう一頭の2戦2勝馬シャイニングレイ(牡3歳/父ディープインパクト)は、馬場入り時に放馬しかけるなど、レース前からイレ込みがきつかったのが影響したのか、7着と惨敗。本番へ向けて、やや不安を残した。

 今回は、この弥生賞の結果を受けて、3歳牡馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表する。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、日刊スポーツの木南友輔記者、デイリー馬三郎の吉田順一記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者がそれぞれに、現時点における3歳牝馬・牡馬の実力を分析しランキング付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位は、弥生賞を制したサトノクラウン。アグネスタキオン(2001年の皐月賞馬)やディープインパクト(2005年の三冠馬)と同じ、3戦無敗の弥生賞馬となり、前回のランキング(2月19日配信「2015年クラシックを占う『3歳馬ランキング』」)圏外から、一気にトップに躍り出た。3カ月の休み明けながら、堂々たる"横綱相撲"のレースを見せて、識者からも「隙が見えない」と絶賛する声が挙がった。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「東京スポーツ杯2歳S(11月24日/東京・芝1800m)で見せたゴール前の爆発力が強烈過ぎたため、勝手に"粗削りな馬"と判断してしまいましたが、弥生賞では、小脚が使えて、スタートでスッと流れに乗れる器用さを披露。収穫の多いレースで、早めに仕掛けていっても、最後まで伸び切った内容は、文句なしですね」

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「弥生賞の鮮やかな勝ちっぷりには驚きました。パドックの際には、前を歩くシャイニングレイをあおっているように見えましたから、あの時点で2頭の格付けが決まった、と言えます」

土屋真光氏(フリーライター)
「父マルジュの牡馬産駒で走るのは、香港のインディジェナス(1999年ジャパンカップ2着)やビバパタカ(2008年ドバイシーマクラシック2着)など、どちらかと言えば、古馬になってから活躍する馬が多く、晩成傾向。しかし、そのイメージをひっくり返すほどの完成度の高さが、サトノクラウンにはあります。それでいて、さらなる奥行きも感じます」

 2位〜4位は、前回ランキングの1位〜3位がそのまま降格した形で、前回1位のリアルスティール(牡3歳/父ディープインパクト)が2位となった。それでも、総合ポイントは前回より3ポイント下げたのみ。二者がトップ指名と、依然評価は高い。次走は、スプリングS(3月22日/中山・芝1800m)に出走予定だ。

木南氏
「現状でも、3歳ナンバー1はこの馬だと思います。父ディープ×母父ストームキャットという配合どおりのスケール感が、逆に(小回りでトリッキーな)中山では仇(あだ)になる不安もありますが、無敗のまま本番を迎えてもらいたいです」

吉田氏
「テン良し、中良し、終(しま)い良しの共同通信杯(2月15日/東京・芝1800m)の内容から、世代トップクラスの力量馬であることは間違いありません。唯一気になるのは、四白(爪が4本とも白い)の馬は爪が柔らかく、若駒のうちは無理使いができないことから、牡馬のクラシックを長らく勝っていないこと」

 3位は、朝日杯フューチュリティS(以下、朝日杯FS。12月21日/阪神・芝1600m)の覇者、ダノンプラチナ(牡3歳/父ディープインパクト)。2位リアルスティールとは、前回と同じく1ポイント差のまま。こちらも、次走の予定はスプリングSで、両者の直接対決が注目される。

木南氏
「ベゴニア賞(11月30日/東京・芝1600m)、朝日杯FSと、緩い馬場のレースで快勝しているように、とにかく走りのバランスが優れています。あのバランス感覚を見ると、ディープ産駒の中では最も中山をこなせそうな馬。距離への融通性もあると思います」

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「3歳の重賞レースがいくつか消化されてきたにもかかわらず、2歳時の朝日杯FSの指数(※)が、弥生賞の指数に次ぐもの、ということ自体が評価できます。(ダノンプラチナが出走する)スプリングSの結果次第で、牡馬クラシックの勢力図はかなり固まりそうな気がします」
※市丸氏が独自に編み出したTF(タイムフィルター)指数。

 4位は、共同通信杯でリアルスティールと接戦を演じたドゥラメンテ(牡3歳/父キングカメハメハ)。

吉田氏
「共同通信杯では、血統からくる不安要素が爆発し、力み通しのチグハグな競馬でした。さらに(外を回る)距離的なロスがあった中で、リアルスティールとコンマ1秒差は強さの証明。ただ、皐月賞にはぶっつけで、もし除外ならば、青葉賞(5月2日/東京・芝2400m)からダービーという青写真には、不安を感じます。実戦での経験値が増えれば、もっと能力を発揮できると思うのですが......」

 5位には、弥生賞での2着が評価されてブライトエンブレムが圏外からランクインした。

市丸氏
「指数では、4コーナーで通ったコースも考慮されていることから、勝ったサトノクラウンより上になります。さらに上がり3ハロン(600m)のタイムも、サトノクラウン(35秒7)を上回って最速の35秒2。人気を考えると、ブライトエンブレムは、かなり美味しい存在になりそう」

 一方、弥生賞7着惨敗でランク外に落ちたシャイニングレイだが、吉田氏は以前同様、高い評価を与えている。

吉田氏
「弥生賞では、前向きな気性面がすべて悪い方向に出てしまいました。結果、大きな課題が浮き彫りになったものの、あまりのボロ負けで『能力負けではない』と思えるのが救い。素材的には、巻き返しできる能力の持ち主で、本番では気楽な立場で挑めることがプラスに作用しそう」

 また、惜しくもランク入りは逃したものの、京成杯(1月18日/中山・芝2000m)を勝ったベルーフ(牡3歳/父ハービンジャー)の評判も高かった。

土屋氏
「京成杯は、17頭立ての大外発走。この時期の3歳馬には酷な枠順にもかかわらず、大外から差し切った内容にスケールのでかさを感じました」

 今後、皐月賞のトライアルは、3月21日に若葉S(阪神・芝2000m)が、3月22日にスプリングSが開催される。そして、3月28日には皐月賞への最終便となる、GIIIの毎日杯(阪神・芝1800m)が行なわれる。次回は、それらの結果を踏まえて、牡馬クラシックを占う最終ランキングを発表する予定だ。

text by Sportiva