日本はジオン軍に支配されている!?さまざまな企業がシャア専用モデルを投入するワケ

シャア専用…多くの人が聞き慣れた、「坊やだからさ」「当たらなければどうということはない」な仮面の人だ。
なぜそう思ってしまうのか、理由がある。
キヤノンが2月上旬に発表した光学30倍ズームのコンパクトデジタルカメラが、まるでシャア専用のようにかっこよかったからだ。
ちなみに、本製品はシャア専用ではない。ただかっこいいだけだ。

PowerShot SX710 HS
※再度言うが、これはシャア専用ではない
「シャア」が良くわからない人に解説すると、1979年にテレビ放送された記念すべき1作目の「機動戦士ガンダム」に登場する「ジオン軍」の士官で、主人公「アムロ・レイ」のライバルである。
シャアは、本当は偽名であり、本名は「キャスバル・レム・ダイクン」だ。「機動戦士ガンダム」以後も、「機動戦士Ζガンダム」「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」「機動戦士ガンダムUC(魂として登場)」、最新作「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」など、数々の人気作品に登場するすでに伝説的ともいえる人気キャラクターである。
近年、そんなシャア専用商品が定期的に登場していることを知っているだろうか。
●パソコン、ケータイ、果ては車まで
シャア専用商品を軽く調べただけでも、いくつも出てくる。
・シャア専用ケータイ(ソフトバンク)
・シャア専用プリンター(キヤノン)
・シャア専用PSPや3DS(ゲーム機)
・シャア専用ポメラ
・シャア専用ノートパソコン
・シャア専用オーリス(自動車)
そう、2013年にはトヨタからシャア専用オーリスという車まで販売しており、価格は約270万円〜330万円となっている。
それにしても、どうして定期的にシャア専用商品が登場するのだろうか。
●ガンダムはもはや文化となっている
1979年に放送開始した「機動戦士ガンダム」から、今年は実に36年目となっている。
当時の放送を観ていた少年が10歳だとしたら、現在は46歳という計算だ。
ここにヒントがある。
30代後半〜40代になると、経済的にもだんだんと余裕が出てきており、自分の好きなものを積極的に購入するようになってくる。
そこに目をつけた各メーカーが、シャア専用○○という商品企画を展開するのだ。
さらに、「機動戦士ガンダム」は1979年で終わりではない。その後継続的に後継作品や、別世界の作品、劇場版、OVA、さらにコミック、小説やゲームと、日本のみならず海外のユーザーも熱中させている。
それはもはや、ただの人気アニメではなく、日本の「文化」と定義してしまっても良い。
そこで年齢の話に戻そう。
シャア専用ゲーム機を発売したとして、40代や50代の人が買うだろうか。
答えは半分イエスで、半分ノーだ。
●50代未満がみんな大好きガンダム
このように書くと少し変だが、ガンダム好きに世代は関係無い。
1979年当時のアニメを観ていた年齢層を最高と仮定しても、継続的に作品が作られているガンダムは、若者から働き盛りまでみんな知っている、日本を代表とするアニメとなっているのだ。
したがって、40代が購入しにくいシャア専用ゲーム機を販売しても、それよりも若い層がしっかりと購入してくれるのである。
当然ながら、リアルタイム世代も購入する人も居るはずなので、半分イエスなのだ。
●シリアスでかっこ良くわかりやすい
今から30年以上前に放送された「機動戦士ガンダム」は、それはもう衝撃的なアニメだったそうだ。
リアルな世界観に、シリアスなストーリーと、大人も満足して観られるアニメとして完成していた。
アニメ中では戦争をしていたのだが、善悪ではなく、両陣営とも正義だった。
つまり、大人が見ても「かっこいい」のである。
また、アニメ中に出てくる「シャア少佐」は「ジオン軍」のカリスマ的な存在であり、赤い機体に乗っている。
これがまたわかりやすい。
●拡散宣伝狙いに使われるシャア少佐
たびたび「シャア専用○○」といった商品が登場すると、「またかよ…」と思いつつも、ついつい確認してしまう。
そう、メーカー側では何もしなくても勝手に宣伝されていくのだ。
定期的にシャア専用商品が登場するのには、マーケティングとしても効率がいいのかもしれない。
なんにせよ、これからも定期的に「シャア専用○○」は登場してくることだろう。
個人的には、シャア少佐よりもジョニー・ライデンのほうが好きなのだが。
布施 繁樹