ペースメーカーがコースを間違えるなどトラブルつづきのびわ湖毎日マラソンで感じたスワヒリ語習得の必要性の巻。

そこはケニアの言葉で言わないと!

今夏の世界選手権代表の選考会を兼ねて行なわれた、1日のびわ湖毎日マラソン。冷たい雨が降り注ぐ厳しい条件ということもあり、日本勢は前田和浩さんの4位(2時間11分46秒)が最高というもうひとつの結果。30キロ過ぎで抜け出したケニアのサムエル・ドゥングに懸命に食らいつくも、最後はぶっちぎられるという格好で、改めてケニア勢の強さと世界との距離を感じるレースとなりました。

このレースは代表選考を兼ねるということもあり、ペースメーカーがついていました。しかし、招集された2人のケニア人ペースメーカーは悪天候もあってかなかなかペースが上がりません。1キロあたり3分のペースどころか、3分5秒からときには3分10秒ほどかかるケースも。

これでたまらないのは後続の日本人選手たち。この大会の日本人上位が世界選手権の代表候補とはなりますが、ほかの3大会と合わせて総勢10名から最大3名を選ぶという狭き門。当然タイムも強く意識した走りが求められることになります。それがくっそ遅いペースメーカーに引きずられる形でタイムを伸ばせないのですから、内心では「金返せ!」くらいの罵倒もペースメーカーに対して飛ばしていたことでしょう。

さらに、このペースメーカーのひとりは21キロの折り返し地点で道を間違えるという体たらく。折り返しのコーンでほかの選手がくるっと回っているのに、ペースメーカーだけが猛然と直進をしていったのです。これに釣られて数名の選手が直進してしまうなど、ペースメーカーどころかペースブレイカーといった様相まで。

もちろん日本人選手も黙っていたわけではありません。世界選手権代表の有力候補、前田和浩さんは23キロ過ぎでペースメーカーの前に飛び出すと、指で3の印を作り「3分ペースで走れ遅せぇんだよバカクソコノヤロー金返せ」の合図を送ります。実際、この合図を受けたペースメーカーはちょっとだけ頑張り、その後は一時的にキロ3分ペースに戻すなどします。前田さんの頑張りが利いたわけです。

一方、同じ状況に遭遇したケニアのドゥング。ドゥングは最終的に優勝するわけですが、この選手の男気対応は別格でした。同郷のペースメーカーが道を間違えて後方に沈むと、その傍に寄って行って先頭に復帰するのを助けてみたり、頻繁に話しかけてはペースアップをうながしたり、それでも上がらないと見るや自分が先頭に立ってペースを作ったりと、勝負以外のところでレースに大貢献します。

さらに、ペースメーカーがお役御免となってレースを外れる段では、「その時計くれ」とペースメーカーから時計を借り、レース終盤のペースを作り始めたではありませんか。結局、ドゥングは自分で作ったペースでほかの選手全員を置き去りにして優勝するのですが、そこまでのレースを見せつけられたあとで「日本人最高」を持ち上げるのには申し訳なささえ漂います。

もともとドゥングはこの大会でペースメーカーを2度つとめた経歴を持つ選手で、そこから飛躍を遂げ2012年大会では優勝もしています。2012年の大会はロンドン五輪の日本代表選考会も兼ねており、最終的に五輪代表となる山本亮・中本健太郎の両名をも破っています。日本代表をチカラでぶっちぎる上に、レース中の貢献という意味でも完全に上回られたというのでは、脱帽するしかありません。

前田さんは世界選手権の代表入りを果たすのでしょうが、ドゥングはケニアでは代表入りにすら届かない選手です。走り合いで遅いのはともかくとして、心意気の部分でまで敗れるというのは何とも寂しい話。遅いペースメーカーに対して「お前行け!」と日本語で言うのか、スワヒリ語で言うのか、あるいは「俺が行く!」と自分が引っ張るのか。その差が結局は、勝負所での差になるように思います。どこで仕掛けるのか、その勇気と決断こそがマラソンの順位をわける要因なのですから。

ということで、世界選手権の代表選考などをにらみつつ、1日のNHK中継による「びわ湖毎日マラソン」をチェックしていきましょう。

◆枠が余っているのに誰も選べないという、逆に物議を醸しそうな選考!

世界選手権代表最後の選考レース、びわ湖毎日マラソン。日本でも数少ない毎日行なわれるマラソン大会です。嘘です。このレースで代表入りを狙うは前田和浩さん。実力者として知られ、世界選手権にも都合3度出場を果たしていますが、むしろ印象に残るのは負けたレースのほう。

2011年〜2012年のロンドン五輪選考レースでは、福岡国際で一時は先頭に立つも川内優輝さんに後ろからまくられて3位。再挑戦となった東京マラソンでは藤原新さんが「ペース上げるぞ!」とほかの選手を手招きしたにも関わらず無視して後方待機したところ、そのまま藤原さんにぶっちぎられて3位。アチャーな2連敗で、代表入りを逃しました。

今回はそのあたりの反省もあったでしょうか。「どんなペースでも食らいついていく」という意気込みで大会に臨みました。しかし、「どんなペース」は主に速いほうを想定していた前田さんに思わぬ敵が現れます。それがクソ遅いペースメーカー。3分5秒から10秒のクソラップを堅実に刻むペースメーカーを前に前田さんは焦ります。「遅せぇな…」と。

↓しかも折り返し地点ではコースを間違えて直進しやがり、ペースメーカーなのに後方に沈むというアクシデントも!


52番はそもそもハーフの選手らしいから、そろそろ終わりの気分だったんだろ!

ちなみにこのペースメーカーのハーフマラソンの記録は、佐藤敦之の持つ日本記録1時間0分25秒より速いぞ!

ケニアからやって来たポンコツペースメーカーのほうが日本記録より速いぞ!

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ペースアップどころからペースダウンに貢献したペースメーカー。遅いくせに、ほかの選手が前に出れば出たで「俺がペースメーカーだ」と手で制したりするポンコツ具合で、ペースは一向に上がりません。前田さんもたまらずペースを上げろと指示を出しますが、スワヒリ語で言わないと上手く通じない模様。ついには約束の30キロを手前に、ペースメーカーが先頭集団から脱落するというポンコツぶりさえ発揮します。道を教えたり、ペースを上げろと要求したりするにあたって、言葉が通じないというのは非常に難しい状況でした。この辺りはスワヒリ語習得を怠ってきた日本陸連および日本選手団の対応の遅れは否めません。

30キロ過ぎ、ケニアのドゥングが残っていたペースメーカーから時計を借り、時計を見ながらペースを上げます。遅いペースに慣らされた影響か、多くの選手がちょっと上げただけで振り落とされます。さらに31キロ過ぎにドゥングがもう一段ペースを上げると、一気に独走状態に。前田さんも帽子を投げ捨ててペースアップを図りますが、日本人最高位を守るのが精一杯。見せ場のないまま選考会を終えました。

↓ドゥングは帽子を捨てることなく独走!コッチが脱帽だ!


最初からドゥングに時計渡しておけばペースメーカーやってくれそうだったなwww

「帽子とかサングラスを捨てると早くなる伝説」は嘘!

これからは「時計を借り」てペースアップを狙え!

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世界選手権の代表選考会はこれで終了。福岡国際マラソン(日本人上位3名)、別府大分毎日マラソン(日本人最高位)、東京マラソン(日本人上位3名)、びわ湖毎日マラソン(日本人上位3名)の4大会、上位10名の中から3名を選抜し、北京大会に臨みます。

↓代表候補たちの選考レースでの結果はこんな感じになりました!

●福岡国際マラソン(優勝タイム2時間8分22秒)
・4位:藤原正和(2時間9分6秒)
・5位:足立知弥(2時間9分59秒)
・7位:高田千春(2時間10分3秒)

●別府大分毎日マラソン(優勝タイム2時間10分18秒)
・2位:門田浩樹(2時間10分46秒)
※中本健太郎は故障で欠場

●東京マラソン(優勝タイム2時間6分00秒)
・7位:今井正人(2時間7分39秒)
・9位:佐野広明(2時間9分12秒)
・11位:五ヶ谷宏司(2時間9分21秒)

●びわ湖毎日マラソン(優勝タイム2時間9分8秒)
・4位:前田和浩(2時間11分46秒)
・5位:野口拓也(2時間12分29秒)
・8位:米澤類(2時間14分13秒)


優勝さえすれば誰でも選ばれそうなのに、誰も優勝できないか!

誰が見ても当確と言えるのは日本人最高位&7分台の記録を出した今井正人さんだけでしょう!

優勝者のタイム、出場選手の顔ぶれを見ると一番レベルが高い大会と言えるのは東京マラソンでしょう。ここで最上位に入り、日本人としてはかなりの好記録となる7分台をマークした今井さんは、当確と言って間違いないところ。福岡最上位&全体2番目の記録の藤原正和さんも、まず選ばれることになるでしょう。藤原さんを選ばないようなら選考会の意味がなくなりますから。ただ、それ以外はタイム的にもレース展開的にもどっこいというところ。誰も選べな…選ぶのが難しい状況です。

しかし、実態としては最後の1枠は前田和浩さんで決定的。何故かというと、前田さんがマラソンナショナルチームのメンバーだからです。お家芸復活を懸けて日本陸連が発足させたナショナルチーム。しかし、ナショナルチーム入りしたもののマラソン全然走らない選手が出るなど、パッとしない事態となり、その存在意義すらアヤしくなっているところ。

ロンドン五輪代表でナショナルチームメンバーの中本健太郎さんも、福岡国際で惨敗し、別府大分での再起を図るも欠場となりました。東京マラソンでもナショナルメンバーの欠場が相次ぎました。その中で、ナショナルチームメンバーの前田さんが「日本人最高位」で代表選考の基準を満たしたのですから、選ばないわけにはいきません。ここで選ばなかったら何のためのナショナルチームかという話になりますからね。「チーム発足の時点から目利き不在」などの批判は受け入れるわけにはいかないのです。

↓早速、陸上関係者の間でも「選ぶため」の伏線張りが始まっている!

<【マラソン】前田が日本人トップの4位も宗猛部長「気候もレース内容も寒かった」>

日本陸連の酒井勝充強化副委員長(54)は「4大会の中で、今回は非常に条件が悪かった。ドゥング選手がスパートした後に対応したのは評価できる」としたものの、宗猛・男子中長距離・マラソン部長(62)は「気候もレース内容も寒かった」と切り捨てた。

すべての選考会が終わり、出場が当確となったのは、東京で日本人歴代6位の好記録をマークした今井だけ。「今井は堅い。あとは横一線。レース内容は藤原より前田。記録は断然、藤原」と宗部長は、残り2人の“ドングリの背比べ”に頭を抱えた。

http://www.hochi.co.jp/sports/etc/20150301-OHT1T50259.html

<マラソン:世界代表へ今井当確 残り2枠は僅差>

前田は佐野より2分半以上タイムが遅い。しかし、日本陸連は選考で「原則、ナショナルチーム優先」を打ち出しており、3人の中で前田が唯一該当する。宗部長はこの日の厳しい寒さについて、「走る以外に体温を維持するエネルギーも使わないといけないので、相当厳しい」と話し、考慮することを示唆。「藤原より前田の方が攻めのレースをしていた」と内容も評価した。

http://mainichi.jp/sports/news/m20150302k0000m050061000c.html


マラソン部長:「レース結果、寒かったですね…」
強化副委員長:「でもレース内容はよかったよな?」
マラソン部長:「確かにレース内容はよかったですねぇ」
マラソン部長:「攻めのレースをしていましたね」
マラソン部長:「走る以外に体温維持も必要ですし」
強化副委員長:「な?大丈夫だよ、選んでも」
マラソン部長:「ですね!」

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選びづらいかといって枠を余らせるのは本末転倒ですから、まぁ今井さん・藤原さん・前田さんの3名が選考されるのは妥当なところ。ただ、このように「タイムならコッチが2分くらい上だぞ」とか「彼も日本人最上位でタイムは上だぞ」など揉めそうな条件下での選考にも関わらず、誰も選びづらいという状態で頭を悩ませているというのは何とも寂しい話。

東京五輪を目指しての強化にあたっては、いっそ「箱根の山登りだけを42.195キロ」などのインチキコースでも設定してやり、山の神、新・山の神、真・山の神をズラリ並べるインチキ編成で臨むしかないかもしれません。いいコンディションでも悪天候でもどっちみち敵わないなら、多少のインチキをしないと地元開催の利がありませんからね。何なら「山登りコース」を設定しておいてから、最終的に「砂浜コース」とか「オール下り坂」とかに直前で変更してやるくらいでもいいかもしれませんね。地元なんで!今後は話が通じるように日本人ペースメーカーも用意してあげてください!