大林宣彦監督(右)と舞台挨拶に聞き入った本広克行監督

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原田知世の銀幕デビュー作「時をかける少女(1983)」が2月21日、さぬき映画祭2015が開催される香川・イオンシネマ高松東で上映され、メガホンをとった大林宣彦監督が舞台挨拶に立った。

歌いながら登壇した大林監督は、「1983年の作品だから、32年前か。15歳だった知世ちゃんが47歳か……」と思いを馳せた。そして、「角川・東映大型女優一般募集オーディションを受けたのがきっかけでね、渡辺典子ちゃんがグランプリをとったんだけど、角川春樹さんがほれこんじゃって特別賞にしたんだ。僕もほれこんじゃってね、2人の足長おじさんが知世のために恋の映画を1本だけプレゼントして、引退させようと思ったんだ。そうしたらスターになって、引退できなくなっちゃったね」と明かす。

原田が41歳のときに会ったという大林監督は、タイトルと同名の主題歌を歌っていないことを知らされたという。「『時をかける少女』から離れたかったと言っていたね。細田守君がアニメ版を作ったときも、知世に声優をやってもらいたかったらしいけど、実現しなかった。それでも、40歳を過ぎて大人の思いが分かるようになったんだね。アイドルを請け負って生きることは大変ですよ。今回出会った『ももクロ』の少女たち。彼女たちだったら、知世のように素晴らしい40代、50代の女性になるだろうね」。

また、満員となった場内からの質問にも穏やかな表情で答えた大林監督。「『時をかける少女』も撮影された監督の故郷・尾道ではもう撮らないのですか?」と問われると、「きっと作るでしょうね」と即答。さらに、「故郷で映画を作るって、なかなか難しいんです。行政は観光客を誘致しようとしますからね。あらゆる街にシワがあるのですが、僕は尾道のシワを撮ろうと思ったんです。母親のシワを汚いと思ったことってありませんよね。僕はあのシワを子育て日記だと思っているんですよ。それと同じで、街のシワを撮って故郷孝行をしようと考えたんです」と語った。

そして、「尾道にも素晴らしい若者たちが育ってきている。急な石段、狭い道もいいなあと言ってくれる。いまだに古くて豊かな町ですよ。そろそろ新しい尾道映画をこしらえようとしているところです」と打ち明けると、場内は拍手喝さいだ。また、大林監督作「漂流教室」(87)に警官役で出演した元俳優の男性が来場し、自ら執筆した脚本を大林監督に託すひと幕も見られた。

さぬき映画祭2015は、22日まで。

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