高倉健さんの思い出を語った降旗康男監督

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「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015」で2月20日、昨年死去した高倉健さんの追悼企画として「鉄道員(ぽっぽや)」を上映。同作を含め高倉さんと数々の作品を共にした“盟友”降旗康男監督と坂上順プロデューサーによるトークイベントが行われた。

同作は浅田次郎の直木賞受賞の短編小説を原作に北海道で撮影されたが、高倉さんにとって「動乱」(80)以来の東映作品。坂上氏によると当初、高倉さんは出演に乗り気ではなかったが、かつて東映で「網走番外地」シリーズなどを撮影したスタッフ陣が定年を迎えるにあたって高倉さんとの仕事を熱望したことで「最後に東映東京撮影所のスタッフと一緒にやろうじゃないか」と参加を決めたという。

降旗監督は若き日の高倉さんとの出会いを振り返り「僕が撮影所に入った頃は美男子だけど細かいとこが出てこない人で、撮影所が売り出そうと推薦しても、(外部の)リアリズム派の監督に嫌われて、主演に抜擢されなかった」と説明。だが中村錦之助を相手役にした「日本侠客伝」で“変身”を遂げ「修羅場をくぐり抜けた凄さが加わり、生まれ変わった健さんと出会った」という。

「鉄道員(ぽっぽや)」の中で流れる「テネシーワルツ」は高倉さんのかつての妻で、亡くなった江利チエミさんの代表曲。高倉さんは「特別な曲」と語り「テネシーワルツを歌ったんじゃ芝居できない」と渋ったが、降旗監督は駅のホームで高倉さんを説得。「これが僕の、あるいは健さんの最後の作品になるかもしれない。だから個人的なことが入っててもいいじゃないか。個人的であるがゆえ、余計いいんじゃないか? と言いました」と当時の会話を明かした。

その後も2人は「ホタル」、そして高倉さんの遺作「あなたへ」でもコンビを組んだが、さらなる新作の企画を温めていたそう。降旗は「去年、来年3月に撮影できるのではないかと本を作っていたけど、ダメでしたね。世間話で『あと2本いけるかね?』『1本がせいぜいですよ』と会話してたんですが……」と残念そうに語る。ちなみにその企画は阿蘇山近辺を舞台にしており「(過去作品と)同じで、人間はどうやって年をとったらいいのか? と考えていただけるといいなと思って作ってました」と語った。

常々「健さんは僕のアイドル」と語っていた降旗監督だが「アイドルがいなくなってどうなるか分かりませんが、僕一人で最後の作品を1本ずつ撮っていけたらいいと思う」と新作への意欲をのぞかせ、会場は温かい拍手に包まれた。

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