ジュリー・ベルトゥチェリ監督とブリジット・セルボニ氏

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移民受け入れの長い歴史を持つフランス。パリ市内の中学校の適応クラスに在籍する、国籍も宗教も家庭のバックグラウンドも違う24人の子どもたちと担任教師に密着したドキュメンタリー「バベルの学校」が、1月31日から公開される。ジュリー・ベルトゥチェリ監督とクラスの担任を務めたブリジット・セルボニ氏に話を聞いた。

年間約3〜4万人の移民の子どもたちがフランスでの生活をスタートするが、仏語を話せない子どものために、小学校から高校のすべての年代に向けて集中レッスンを行う適応クラスがフランス全土に設置されている。本作では、アイルランド、セネガル、モロッコ、中国など20の国籍を持つ11〜15歳までの子どもたちが通うクラスに約1年間密着した。

子どもたちは出身国の文化と異なるフランスの生活に戸惑ったり、クラスメイトとぶつかりあいながらも友情を育んでいく。ベルトゥチェリ監督はドキュメンタリーとしてこのテーマを選んだ理由を、「20カ国ほどの子どもたちが一緒に学んでいるということ、そこで一緒に生活をしたら、人生の豊かさが感じられるのではないかと思ったのです。最近はヨーロッパでも人種差別が問題になってきており、このクラスを経験することで、各国の生徒それぞれの個性や価値を見出せたらと思ったのです」と語る。

セルボニ氏はかつてチェコやアルバニアなど中東欧で教べんを執った経験から、帰国後外国人に教える適応クラスで働くことを自ら望んだ。「移民の子どもたちに教えることは、教師としての情熱をかき立てられます。彼らは様々な経験を経て、それぞれの背景を持って適応クラスで学んでいます。自ら望んだわけではなく、両親が政治的理由で亡命を希望したり、貧困など経済的理由です。そういった状況を彼らが言葉にして表現する機会を与えたいと思ったのです。声を上げることで、そういう状況にいるのは自分ひとりではないことを理解させ、連帯の意識を持って欲しいのです」と語る。また反対に、子どもたちから多くの事を学んだという。「個性や国の違いの素晴らしさを彼らから学び、また困難な状況にある子どもたちが、一生懸命いろんなものと戦っていく姿はとても力強いものでした」

人種差別、移民差別はフランスのみならず、ヨーロッパで大きな問題となっているとベルトゥチェリ監督は説明する。「その中では本当に移民に対して排他的な考えを持つ人と、今の政府に不満を持ち、批判する意味で極右を支持している人もいます。メディアでは、何か事件が起きると移民を生贄(いけにえ)にして報道します。しかしこの映画は現実を映しており、移民の子どもたちを十分にケアし社会で自立できる教育を行えば、彼らは社会に馴染んでいけるのです。最初から拒否してしまうと、行き場がなくなり、ネガティブな結果を生んでしまいます。ですから適応クラスはもっともっと作っていくべきなのです」。偏見を持たず、異なるバックグラウンドを持った他者への理解を深めることが何より大事だと、作品へ込めた思いを語った。

「バベルの学校」は1月31日新宿武蔵野館、渋谷アップリンクほか全国順次公開。

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