By Julep67

アメリカ発の「コストコ」は、「高品質な優良ブランド商品をできる限りの低価格で販売する」をコンセプトとした会員制スーパーマーケット。生鮮食品から家電製品までを含む幅広い品揃えや、プライベートブランドの「カークランドシグネチャー」製品を展開していると同時に、アメリカで最大のワイン流通業者でもあるとのこと。そんなコストコがワイン販売でトップに躍り出るための販売戦略が分析されています。

Costco and Global Wine « The Wine Economist

http://wineeconomist.com/2007/08/22/costco-and-global-wine/

「世界中にあるワインブログの中で最も更新が楽しみなブログ」とウォール・ストリート・ジャーナルのワインコラムニストが称した「The Wine Economist」を書いているのがマイク・ベセス氏。ワインに関する本も多く出版しており、ワインがもたらす経済効果について詳しい人物です。ベセス氏は2007年の記事で、アメリカの他のスーパーマーケット・チェーンと異なるワイン販売方式で成功しているコストコを取り上げています。

アメリカのほとんどのスーパーマーケットでは、驚くほど豊富な規模でワインを取りそろえており、平均水準以上のスーパーマーケットMetropolitan Marketでは1500種類以上、Tacoma Boysでは3300種類以上のワインを常時販売しているとのこと。

これとは対照的に、多くのコストコの店舗では、どんな時間でも置いているワインは100種類〜120種類ほど。競合他店に比べると圧倒的に少ない品揃えですが、ベセス氏によるとコストコのワイン売り場では1本5ドルという激安ワインから、ドン・ペリニヨンや、希少なハイツ・セラーの「マーサズ・ヴィニヤード カベルネ・ソーヴィニヨン」といった高級ワインを販売する店舗もあり、「顧客が本当にほしい」と思うものまでカバーしています。

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コストコのウェブサイト上ではボルドーワインの先物を販売していることもあり、フランス・イタリア・スペイン・チリ・南アフリカ・ドイツ・ポルトガル・オーストラリア・南アフリカ・ニュージーランドといった世界中のワインをアメリカ市場へ提供しています。コストコのセレクション力と大量仕入れによって、「高品質」と「低価格」を実現していることが人気の理由である、とベゼス氏は考えています。

ベゼス氏はコストコの販売方式に関する最も良い例として、カークランドシグネチャーのラベル付きで販売されていた、ニュージーランドのワイン原産地セントラル・オタゴ産の「ピノ・ノワール」を挙げています。2007年に「セントラル・オタゴ・ピノ・ノワール」が流行して手に入りづらい時期があったのですが、コストコには大量に並んでいました。その理由は、コストコが多くのワインメーカーと、プライベートブランドラベルワインの契約をしていたから。コストコがワインを仕入れるときの最小ロットは2000本ケースという単位で、これはコストコにとっては小規模でも、多くのワイナリーにとってはかなりの大口注文。これにより、コストコは契約を成立させてきたのだそうです。

By Julep67

また、コストコに並ぶワインは希少なものであっても、1ヶ月後には全て売り切れるように仕入れられています。その回転率の高さによって、時々普通のワイン販売業者では手に入らないような銘柄や、あまり市場に流通していないワインが低価格でコストコに並ぶことがあります。一度見つけたワインを買い逃すと、次は手に入らないことを知る常連客の購入を促す効果や、新たなワインを求める顧客の集客効果が期待できます。

世界の3大輸入市場のアメリカ・ドイツ・イギリスには、それぞれ異なる市場モデルがあります。アメリカ市場では、ワインは基本的にワイン会社のブランドが重要視されており、評判の良いブランドのラベル付きワインは信頼性が高く、好まれやすい傾向にあります。ドイツ市場では「低価格のワイン」が最も重要視され、ドイツ人が購入する平均的なワインの価格は1リットルあたり1ユーロ(2007年当時で約152円)ほど。世界最大のイギリス市場では、世界各国からワインが集まります。その一方で、消費者の混乱を呼ぶ原因ともなっていることから、大手スーパーなどがプライベートブランドラベルのワインの提供を始めているとのこと。

By slack12

国によってワイン市場それぞれに違いがあるわけですが、ベゼス氏いわく、コストコのカークランドシグネチャーはこの3大市場の特色を持ち合わせており、「コストコのイノベーションは、グローバルワイン市場をアメリカへ持ち込むことに成功したことです」と話しています。