移籍先が決らないまま新年を迎えた青木宣親が、サンフランシスコ・ジャイアンツと契約を結んだ。昨年の青木宣親は、カンザスシティ・ロイヤルズの2番打者として132試合に出場し、ア・リーグ優勝に大きく貢献した。残念ながらワールドシリーズでは第7戦に惜敗して、世界一の栄冠を逃したのは記憶に新しい。今季の青木は、自身の夢を砕いたジャイアンツの一員としてワールドシリーズ連覇に挑む。

少し古い話で恐縮だが、サンフランシスコ・ジャイアンツで通訳をしていた2002年に出会った現地記者のひとりに、ジョン・シェイというライターがいる。どちらかと言えば地味な佇まいのジョンは、質問をするときもどこか控え気味で小さな声でモゴモゴと話すライターだった。

しかし、ひとたびペンを握るとジョンはとても大きな存在感を示した。私に関するあれこれを取材されたことがあって、とても熱心な記者だなぁと思っていたら、03年の春先に「SHINJO」という書籍が出版されてびっくりした。

朝日新聞社から出されたその本は、ワールドシリーズに進んだ’02年のジャイアンツの戦いぶりを新庄剛志さん中心に描いた本だったが、当の新庄さんはもとより、新庄さんのマネジメント事務所も書籍が出ることなど一切知らずに、ちょっと泡を食わされた。

そんな行動力あふれるジョンが昨年12月に、珍しくツイッターでイチローに関して言及した。「ジャイアンツがイチローの代理人と接触」という短文のあとに「ジ軍は300勝達成目前のランディ・ジョンソンを獲得した。イチローは3000本安打まであと156本」と、彼らしい独特の表現でつぶやいた。

ヤンキースをFAとなったイチローは、エージェントに交渉を任せてトレーニングにいそしんでいるという。シーズン終了直後の10、11月中は、シアトル時代に佐々木主浩さんの通訳を務めたアレン・ターナー氏をパートナーに、無人のヤンキースタジアムで練習を重ねていたそうだ。こうした人知れない努力が実を結ぶ源であることを熟知しているイチローらしい行動だなと思った。

今オフ、イチローは代理人をジョン・ボグス氏に変更した。ボグス氏は西海岸の複数の球団に強いコネクションを持っており、ジ軍のボウチー監督の代理人でもある。ひょっとすると’07年のオールスター戦でMVPを獲得した思い出の地で、イチローがジャイアンツと契約かな? と思っていたところ、ひと足先に青木がジャイアンツと契約を結んだ。共にライトが定位置の両選手がジャイアンツのユニフォームに揃って袖を通すことはなさそうだが、今季のイチローの所属先も程なく決まることだろう。開幕を待ち焦がれる初春のこの時期は、いつだって想像力をかき立てられる。(文=ゆるすぽ編集長・小島克典)

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