結婚式の余興は「祝う気持ち」と「品」が肝心! 世界中にファンを持つ″OFUKU″が伝授

写真拡大

婚礼司会者として数多くの著名人のウエディングを手がけ、著者『人生のステージが変わる、私にも出来るリアルエピソード 心にしみたセレブウェディング』(主婦の友社)を持つ長谷川高士さん。その長谷川さんが司会を務める結婚式で、時々姿を現す芸妓風情の「OFUKU」さん。2008年にはドバイの日本ウィークに出演、パリで開催された食の祭典では日本代表として農林水産省から招へいされるなど、世界中からもお呼びがかかるほど。豪華な着物を纏いカツラをかぶった彼女。顔を見た人は必ず幸せになり、おいど(お尻)に触れると開運間違いなしと評判です。

でも実は「OFUKU」さんの正体は、長谷川さんご自身なのです。「セレブ婚に学ぶ"心にしみる結婚式"のエスプリ」をテーマにした連載の最後を締めくくる今回は、マイナビウエディング編集部が、長谷川さんの持つもうひとつの"顔"である、このOFUKUに迫ります。なぜOFUKUがこの世に誕生したのか、長谷川さんの司会者人生と交えながらお話し頂きました。

どん底人生から幸せを導いた「OFUKU」との出会い

(以下、長谷川さん)私が「OFUKU」を始めたのは25年以上前のこと。その頃、バブル崩壊のあおりを受けて実家の家具屋が倒産の危機に陥りました。あまりに突然のことで茫然としていたら、なぜか家にあったカツラと着物が目に留まったのです。それをなんとなく身につけたところ、これがなかなかいける(笑)。せっかくだからと、芸妓に扮して電車に乗り銀座の街行くと、最初は遠巻きに見ていた人たちがひとり、またひとりと声をかけてくれるようになりました。その方々はみなさんとても笑顔でたまらなく嬉しくなって。それからはこの芸妓の格好をした自分を「お福」と名乗って、神出鬼没に街で姿を現すようになりました。お福はあっという間に人気者になり、お祝いごとやイベントに呼ばれることも増え、自分が司会を務める結婚式でも余興として「OFUKU」をやってほしいとのお声がかかるようになりました。

余興に必要なのは"祝う"気持ちと"品"

結婚式が後半になると、私は司会卓をそっと離れ、ほんの十数分で着物を着てカツラをかぶり、化粧をします。
そして......。

「はるか、お江戸から参りましたOFUKUでございます!
この私の顔を見た方は必ず幸せになるとか。
はたまた不老長寿をかなえるとか。
さらにはおいど(腰)に触れると開運間違いなし!」

と口上を述べながら、扉口から登場。それまで、どこかよそよそしさを感じていた会場がどっと沸き、一気に和やかな空気に包まれます。

私が結婚式の余興で大切だと思うのは、"祝う"内容であることと、"品"があること。OFUKUの場合はまず、最初にお祝いの口上を述べ、おいど(腰)を触ってもらいますが、それは身体の中でエネルギーがみなぎっている部分で"縁起が良い"という前提があってのこと。着物は自前とはいえ高価なもので、着付けも白塗りの化粧も歌舞伎役者や芸者から直接習った一流仕込みです。

これまで司会者としてさまざまな余興を目にしてきましたが、余興次第では場が盛り上がるどころか寒い空気が流れることもあります。そのため、結婚式の余興はすべてのゲストの心に響くもので、かつ新郎新婦を祝う気持ちに溢れていることが大前提。ですから、友人にお願いする場合も決して「お任せ」にはせず、内容を事前に聞き、ゲストの顔ぶれを伝えてそこにいるすべての人に喜んでもらえる余興を新郎新婦側からお願いしてもいいと思います。新郎新婦も余興をする人も、そこにいるすべての人々が幸せな気持ちになれるのが結婚式という、その本質を忘れてはいけません。

私自身、「OFUKU」として、そして司会者として四半世紀以上もの間「人に喜んでもらいたい」という一心でここまできました。その純粋な気持ちでいられる結婚式ってやっぱり素晴らしい。ぜひ、みなさんも自分の想いを込めて、悔いのない結婚式を作り上げてみてください。