アイルランド出身の俳優バリー・ウォード

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社会派の名匠ケン・ローチ監督の新作「ジミー、野を駆ける伝説」が1月17日公開する。1930年代アイルランドを舞台に、教会や地主から理不尽な抑圧を受けていた庶民が、自由に、人生の喜びを見出して生きることを説いた実在の活動家ジミー・グラルトンの姿を描く。ジミー役に抜てきされたアイルランド出身の俳優バリー・ウォードが来日し、撮影を振り返った。

弱者を救うために各地の政治闘争に参加するかたわら、アートや娯楽をこよなく愛したジミー。10年ぶりにアメリカから帰国すると、希望を失っていた若者たちから熱烈な歓迎を受け、かつて自身が建設した、庶民が芸術やスポーツを楽しむための集会所「ホール」の再開を決意する。しかし、「ホール」が人々の憩いの場であったのはつかの間、歌や踊りに興じる庶民の姿を快く思わない勢力と対立し、ジミーは国外追放されてしまう。

長年ケン・ローチ監督のファンだったと明かすウォードは、「とにかくケン・ローチ監督の作品に主演できるということ、出演しているということに興奮し、人生最高の時を過ごしました。楽しいシーンはとことん楽しもうと思ったので、それが映画で反映されていると感じていただければ成功だと思います」と喜びを語る。気になる名匠の現場は「いわゆる演出という人工的な手段ではなく、俳優が役を生きることができる空間を、示唆的に導いてくれるのです」と明かす。

高まいな精神を持つ実在の人物を演じるにあたって、プレッシャーはなかったのだろうか。「ジミーは時代に影響力を持ち、愛された人物でしたが、歴史に埋もれて光が当たることがなかったかもしれない人物です。そのような主人公を演じる経験は貴重でした。不安はありましたが、ジミーはアイルランドでもほとんど知られていないので、誰かの期待にこたえなければならないというプレッシャーは一切なく、演じやすい役でした」

あこがれのケン・ローチ作品でジミーのような人物を演じることは俳優として誇り、アイルランド人としても誇りであると胸を張る。「ジミーは道半ばで国外追放になり、一旦忘れ去られたような人物ですが、今ここで私が彼の功績を語ることで、再び息づいてくるのです。そういった意味で、ジミーの意志は実を結んだといえるかもしれません。ジミーは当時ではかなりの数の国を訪れていました。そして、私がこのように彼の映画を携えて各国の様々な媒体で話すことは何らかの意見交換につながります。それはジミーがホールでやりたかったことの延長線上にあると言えるのではないでしょうか」と知られざる英雄の意志を継ぐように力強く語った。

「ジミー、野を駆ける伝説」は1月17日公開。

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