日本人は情報流出への危機意識は高いが、ガードは甘い?最新ITセキュリティレポートで見えた日本の盲点

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世界的に有名なウィルス・セキュリティソフト「Norton(ノートン)」を提供するシマンテックは、モバイルアプリに対するセキュリティ意識調査「ノートン モバイルアプリ調査」を発表した。
調査は、昨年秋に実施され、世界9カ国、合計6,291名のスマホユーザーから解答が得られた。その結果、セキュリティ意識において日本と世界には差があることがわかった。

●日本人の10人中7人はウィルス感染を懸念している
まず調査の内容として日本人が懸念しているのが、ウィルス感染リスクだ。

世界平均では、ウィルス感染への懸念があると解答したのは全体の63%だったのに対して、日本では69%と6ポイントも多い結果となった。

つまり、日本ではおおよそ10人中7人がスマホのウィルス感染を気にしているということとなる。
これは世界的に見ても非常にしっかりした危機認識だと言える。

●日本人は個人情報の流出にもっとも敏感だった
さらに調査内容では、「もっとも懸念している情報」でも日本は世界とは違う結果となっていた。

世界は、銀行の口座番号などといった銀行関連情報が70%だったのに対し、日本は63%とやや低くかった。また世界ではユーザー名やパスワードといった情報流出が70%だったのに対し、日本は73%と高い傾向が表れている結果となった。

なかでも際立った結果が出たのが連絡先情報だ。いわゆるアドレス帳だ。世界で懸念しているのは48%だが、日本では64%が懸念しており、実に16ポイントも開きがあるのだ。

この結果から日本は個人的な情報を特に気にしていると考えられるが、実はそうではない。個人の写真や動画流出に関して世界は49%と約2人に1人が気にしているのに、日本では37%にとどまっている。

これらが意味するのは、なにか。
日本では、自分の情報が流出することよりも、友人や家族といった自分の回りの情報が流出してしまうことを気にしているということだ。

●アプリの利用についてはガードの甘すぎる日本
続いて、無料アプリの利用で情報を提供してもいいか、という項目についてだ。これも日本が世界とは全く違う結果となっている。
全体的に提供してもいいという、情報について甘めの考えを持っている日本人だが、以下の項目が際立っている。

・連絡先情報へのアクセスを許可
世界:17%
日本:43%

・写真へのアクセスを許可
世界:15%
日本:34%

・情報を提供したくない(資料中では上記以外と記載)
世界:34%
日本:14%

となっている。
日本人は、ウィルス感染の懸念や個人情報の流出には関心の高い、逆に無料アプリを使う上での情報提供に関しては寛容という 真逆ともいえる結果を表している。

なんと無料アプリに対して情報を提供したくない人は、世界平均に対して20ポイントも少ない結果だ。
また、調査結果では無料アプリをダウンロードする際に、位置情報については日本人の約半数が同意したことを意識しているが、それ以外の情報同意に関しては7割〜8割の人が意識していないという結果も出ている。

つまり、危機やリスクに関して意識は高いが、実際の具体的な対策や行動に関しては自覚が低いと言っても過言ではない。

日本は意識の高さだけは世界よりも先行している。しかしウィルス対策もそうだが無料アプリで個人の情報を提供する行為や対策にはあまり気を配っていないようだ。

ノートン モバイルアプリ調査|シマンテック


布施 繁樹