台風による土砂災害で不通になり、錆びた東海道本線(静岡市清水区内)のレール(2014年10月9日、恵 知仁撮影)。

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日通総研が2014年度と2015年度の経済と貨物輸送について、その見通しを発表しました。それによると国内貨物輸送は全体では低調傾向であるものの、JR貨物は増加が見込まれるとしています。どのような理由からでしょうか。

消費増税とその反動などから低調な国内貨物輸送

 日通総研が2014年12月末、「2014・2015年度の経済と貨物輸送の見通し」を公表しました。

 国内の貨物輸送は2014年度の上期、消費増税に伴う個人消費の減衰や、それに関係し2013年度に発生した駆け込み需要の反動などにより、輸送量が下がっています。

 2014年度下期についてもこの傾向に歯止めがかかっていないこと、公共投資や鉱工業生産なども前年度水準を下回るとみられることなどから、日通総研は2014年度の国内貨物総輸送量について2.8%減になるという見通しを示しました。

 これに対し2015年度は個人消費がいくらか持ち直すこと、2014年度における大幅減の反動などから、消費関連貨物は1%台半ばの増加。生産関連貨物は自動車や石油製品にマイナスが予測されるものの、全体では2%弱の増加が見通されています。

 しかし建設関連貨物については、オフィスなど非住宅部門における建設需要の落ち込みなどから3%台半ばのマイナスが想定されており、全体の国内貨物輸送量は0.5%減。2014年度に続いてマイナスになるというのが、日通総研の発表した展望です。

 このように、2015年度も全体では引き続き低調であろうことが想定されている国内貨物輸送ですが、輸送機関別に見ると、日通総研が増加を見込んでいるものもあります。JR貨物と営業用自動車、国内航空です。

台風や消費増税などの影響を受けた2014年

 2014年度上期、JRのコンテナ輸送は農産品・青果物、食料工業品、紙・パルプなどの大幅な増加を受け、3.3%の増加になりました。

 しかし2014年度下期は台風の影響で日本の大動脈、東海道本線が静岡県内でしばらく不通になるなどし、輸送量が大きく減少しました。また、前年同期に発生した消費増税前の駆け込み需要による反動もマイナス要因になるだろうと日通総研はしています。

 ただ日通総研は、繁忙期における臨時列車運転など需要の受け皿づくりも行われていることから下期のマイナス幅は2%台半ばに留まり、2014年度全体におけるJRのコンテナ輸送は前年度と比べ0.2%、わずかに上回る見込みとしています。

 しかしコンテナではなく、貨車単位で石油やセメント、石灰石を輸送するJRの「車扱(しゃあつかい)貨物」では、2014年5月29日に北海道での貨物列車による石油輸送が終了したこと、石油需要自体の減衰、セメント・石灰石の需要に見られる一服感から、6.6%減のマイナスを予測。このためコンテナ、車扱を合わせたJR貨物全体では1.9%減と、3年ぶりにマイナスになるという見通しを伝えました。

2015年にJR貨物が伸びる理由は「日本の難題」

 日通総研は今回発表したレポートのなかで、2015年度も2014年度と同様に、JRのコンテナは引き続き増加傾向、車扱はマイナス傾向と見ていますが、JR貨物全体では0.9%と小幅とはいえ、2014年度の1.9%減から転じて増加すると予測しました。

 その理由として挙げられているのは、トラックドライバー不足を受けた自動車輸送からの需要のシフトです。これが続くことにより、JRのコンテナは積合わせ貨物や食料工業品などを中心に3%弱の増加が期待できるとしています。

 2014年12月、年末のトラック不足と旺盛な需要、環境保全の目的から、「イオン鉄道輸送研究会」に参加する様々な業界の企業が共同で、東京〜大阪間に貨物列車を運行しました。またJR貨物は2015年3月14日、長距離トラックドライバー不足と環境保全への対応、モーダルシフトの推進を念頭に、ダイヤ改正を実施すると発表しています。

 物流業界のみならず、日本全体が抱える少子化、労働者の減少といった問題。日本における鉄道貨物の将来にも、それが大きな影響を与えそうです。

※「モーダルシフト」:貨物輸送をトラックから大量輸送機関である鉄道、海運に転換すること。