イチロー【写真:田口有史】

4番手外野手の獲得に動くマーリンズ、候補はイチロー含めて4選手

 ヤンキースからフリーエージェント(FA)となっているイチロー外野手にマーリンズ移籍の可能性が浮上している。地元記者は、メジャー通算3000本安打の金字塔を目指すイチローの事情で実現を困難だとしながら「一塁コンバート」というウルトラCが獲得の秘策になると指摘。MLB公式サイトのマーリンズ番記者、ジョー・フリサロ氏が自身のブログ「フィッシュ・ポンド」で伝えている。

 現在、マーリンズは4番目の外野手の獲得に動いている。特に左打ちで代打としての役割をこなせる人間を必死で探しており、候補者は4選手いるが、明確な本命は存在しないという。

「フリーエージェントのネイト・シャーホルツ、イチロー・スズキはその中に間違いなく存在する。だが、補強リストは2人だけではない」

 フリサロ記者はこう分析。ナショナルズからFAとなっているシャーホルツ、イチローに加え、ブルージェイズからFAとなっているアンディ・ダークス、パドレスのウィル・ベナブルの2人もマーリンズの補強リストに載っているという。

 理想的な人材はシャーホルツだとして「彼はこの役割に慣れている。守備も堅実で、ピンチヒッターの役割に慣れている」と、ジャイアンツ、フィリーズ、カブス、ナショナルズとナ・リーグ球団を渡り歩いてきた左打ちの代打職人を評価している。

ナ・リーグで4番手外野手なら、先発出場の機会は減少する?

 一方、日本の安打製造機に関しては以下のように分析する。

「イチローは、もちろん派手な名前だ。だが、3000本安打達成まで156本とする41歳の選手が、ナ・リーグの代打の役割を享受すると想像することは難しい。指名打者(DH)制度のあるア・リーグが、より出場機会を手にすることができる」

 マリナーズ、ヤンキースと、その14年間のメジャー人生をア・リーグでプレーしてきたイチロー。だが、マーリンズを新天地とした場合、DH制はないために、交流戦やプレーオフ以外では先発打者の枠は「8」となる。ア・リーグのように、レギュラー外野手を休養のためにDHで起用し、控え選手を先発で起用することもできない。

 投手の打席で代打出場の機会は増えるが、第4の外野手という役割では、ア・リーグ以上に先発機会が減少する可能性がある。メジャー通算3000本という金字塔を達成することにイチローがこだわりを見せるのであれば、マーリンズは最高の環境ではないというのが、番記者の指摘だ。

 マイアミの外野の布陣は現時点で盤石だという。レフトは23歳のクリスチャン・イェリッチ。今季は144試合に出場し、打率2割8分4厘、9本塁打、54打点と活躍した。センターは堅守を誇るマーセル・オズナ外野手。24歳の若手は打率2割6分9厘で、23本塁打、85打点と長打力を兼ね備える。

 そして、イチローの定位置であるライトは、13年総額3億2500万ドル(約384億円)というスポーツ史上最高額の大型契約で延長した25歳のジャンカルロ・スタントン外野手。「マーリンズは、このトリオはナ・リーグ屈指の布陣だと手応えを持っている」とフリサロ記者が伝えているように、若き外野陣は魅力的だ。

 それでも、イチローが必要ないというわけではない。むしろ、ゴールドグラブ賞10度のメジャー史に残る名右翼手について、驚きのコンバート策の可能性を指摘している。

「イチローが一塁に適応できるなら、より出場機会を手にすることができる」

「負傷者は出るもの。そしてスズキのようなキャリアを築き上げたベテランは魅力的だ。マーリンズが41歳の選手の獲得を検討し続けている事実は、チームが創造的な何かを念頭に置いていることを示している。球団は外野の3つのポジション以外で、より多くイチローを起用することを計画しているかもしれない。

 一塁転向というのはどうだろう。イチローはまだメジャーで一塁でプレーしたことはないし、球団の構想を確認したわけではない。だが、もしも、それが可能なら、元オールスター選手をフロリダに引きつけることにおいて重要な意味を持つ。フリーエージェントで獲得したマイケル・モースが一塁のレギュラーだが、選手層は必要だ。イチローが一塁に適応できるなら、より出場機会を手にすることができる」

 マーリンズにおいては、一塁手転向が3000本安打への近道になるという。

 今季、ジャイアンツでワールドシリーズ制覇に貢献した新加入のモースは一塁、外野手をこなせるものの、その控えの層は薄い。奇想天外なアイデアに聞こえるが、マーリンズのペリー・ヒル内野守備コーチはメジャー屈指の手腕を誇るために「コンバートの大きな助けになるだろう」とも分析している。

 メジャー各球団は外野手の補強を着々と済ませている。現時点でレギュラーを探している球団は、オリオールズ、万能型野手のベン・ゾブリストをアスレチックスにトレードで放出したレイズなど、残りわずか。レギュラー枠は少なくなっている。その一方で、マーケットにはイチロー、ロイヤルズからFAとなっている青木宣親外野手、ブルージェイズからFAとなっているコルビー・ラスマス外野手と実力者が残っている。

 イチローの外野手としての絶大な守備力を考えれば、あり得ないと言えるフリサオ記者の独創的なプラン。マーリンズで一塁転向という衝撃の選択肢はあるのだろうか。イチローを巡るマーケットの推移に注目したい。